『春は、間引き。』

文字数 3,046文字

※僕のツイッターを見てないと分からない話がいくつかあるので、一部ツイッターに投稿したのとは変更した点があります。ご了承ください(ーー;)

前巻までのあらすじ

とある惑星へとやってきた望。そこでは銀河連邦による大会議が行われていた。「宇宙確率的に地球の5000年後の生存確率は……」なにやら小難しい話。議長らしき人物は真面目に語っているが他の役人たちはあまり真面目に聞いていない。寝ていたりボッーとしていたり。そこは地球と同じなのだな、と感じた望。すると議長が「そういえば、今地球では教育現場の質の低下が問題になっているらしい。例えばこの人物」そして画面に映し出された人物はまさかの自分であった!「この人物は教師にもかかわらず授業も真面目にせず、挙句に生徒の目の前で自殺を図ろうとする始末」地球人だけでなく、宇宙人にまで己の非を責められるとは!しかし、いかんせん事実のため言いたくても言い返せない。泣きながら望は月を窓から見つめ、地球へと帰っていった。

・ ・

可符香 「学級菜園です!」

・ ・

千里 「……結構前に埋めてた種が、芽が出て、伸びて、いずれ実る。見てて感動を感じるわね。」

マ太郎 「不思議ト、埋めるって言葉が怖く感じるノナ!」

あびる 「まあ千里ちゃんの、埋めるは種以外にも通じる話だからね」

奈美 「あっ、見て! ミニトマトの種を埋めたところから芽が出てる!!」

麻菜実 「……でもちょっと多すぎだね。少し芽を取らないと」

望 「ちょっと待ってください!大草さん!!」

千里 「あっ、先生。」

望 「何故わざわざ芽を取るのです? せっかく生まれてきた命だというのに!」

麻菜実 「これはですね……先生、間引きと言うんですよ?」

奈美 「間引き?」

美子 「個々の植物の間に隙間がなくなっちゃうと上手く植物が育たない。だからいくつか育ちの悪い物を事前に抜き取って、育ちの良い植物まで共倒れするのを防ぐ作業のこと」

奈美 「……えっと、なんとなく分かった」

美子 「本当に?」

奈美 「ぐっ」

美子 「そんなあなたにオススメの本があります!」

翔子 「それがこちらになります」

サッ

美子 「『よく分かる間引き』今ならお得な500円!!」

奈美 「……買おうかな?」

望 「ダメですっ!日塔さん!騙されてますよ!!」

美子 「ちっ」

麻菜実 「……まあ要するに先生、そういうことです。これはちゃんとこのミニトマトたちが無事に育つために、必要な作業なんですよ?」

望 「そんなこと言われても納得できません!! 全体が上手くいくために一部は喜んで犠牲になれと? 一部が消されたら全体が上手くいくと? 弱者は強者のために消されろということですか!!」

麻菜実 「……そこまでは言ってませんけど」

あびる 「先生変に感情的だから」

望 「全体の幸福のために間引きされてしまっている弱者のなんたる多いことかっ!!」

・いじめられっ子一人のおかげでクラス全体が上手くいく

・親会社存命のためあっさり切り捨てられる子会社

・よくある政治家の秘書のクビ

・漫画家一人が自虐ネタをしてくれるおかげでみんな自分に自信が持てる

望 「絶望したっーー!!全体の利益のために被害を被る『弱者の間引き』に絶望したっーー!!」

あびる 「……確かに農作業としての間引きは納得できるけど、実際人間社会でも同じことが行われていたら許せないよね」

奈美 「誰か一人を犠牲にして得た喜びなんて、もらっても嬉しくないもんね!」

可符香 「そんな間引きを悪く言わないでください!!」

望 「ふ、風浦さん!」

可符香 「確かに先生のおっしゃる通り、世の中には『弱者の間引き』のような悪い間引きもあります。しかし、良い間引きも多くあるはずです!!」

望 「……良い間引き? なんですか、それは?」

可符香 「だって考えてみてもください! 本来、間引きは隙間を確保するために数を減らすことです! そしてそれは人間社会でもよく見られる話。要するに、世の中には良い間引き、もとい『必要枠な間引き』も存在するということです!!」

望 「……『必要枠な間引き』? 例えばどんなのでしょう?」

可符香 「その表情……!先生納得してませんね! 仕方ありません!例を一気にお見せしましょう!ああ、『必要枠な間引き』たちよ!!」

・やっぱりアイドルは5人が洗練されてるよね。多すぎると一人一人をちゃんと見ないもん!

・政治家が多すぎる!税金に見合う仕事をしない政治家は減らすべきだ!

・タレントが多すぎて、どうでもいいことしか言ってないタレントも芸能界に残り続けることができている!

・一気に多くの異世界転生ものが出てきたがために、同じ展開の話がいくつかあってもスルーされている!

・オチなしの数が多すぎて、一つ一つのネタの鋭さの低下をごまかせている!

千里 「確かに世の中には間引きが必要なことが多すぎる!! なのにそのどれも解決へは至ってない!!許せない、決して許してはいけない!」

晴美 「……またこの展開か」

奈美 「ちょ、また千里ちゃんが暴走を」

マ太郎 「猟奇オチの数が多すぎテ、間引きしないと飽きられちゃうヨ!」

千里 「……よくよく考えてみれば、このクラスも少し間引きが必要よね。」

奈美 「えっ」

千里 「女生徒の数が多すぎて、先生の入る隙間がない! だから先生は私とくっつかない!! 女生徒を間引きせねば!!」

晴美 「ちょっと⁉︎ それは違うんじゃない⁉︎」

千里 「さて……まずは誰だ?」

あびる 「……まずは普通じゃない?」

まとい 「普通でしょ」

奈美 「なっ」

望 「ていうかいたんですか」

まとい 「ええ、ずっと」

千里 「……さて、最初の間引き対象はあなたになったわけだけど。」

奈美 「そ、そんな! ひどい、ひどすぎる!!いつもいつも私ばかり! 何か恨みでもあるの⁉︎」

千里 「……恨みはないけど、とりあえず追放っっ!!」

奈美 「ひっっ!」

ガラッ

奈美 「覚えてろよっ!!」

ササッ

千里 「もうみんなみんな追放!! 出て行きなさい!! 間引きよっ!」

・ ・

望 「……誰もいなくなってしまいましたね」

千里 「先生これで私と……。」

望 「えっ、それはありえませんよ?」

千里 「なっ⁉︎」

望 「まあでも静かな教室も新鮮で、居心地が良いですね」

千里 「……先生?」

望 「なんですか、木津さん。えっ」

ドシッ

千里 「農作業中だったので、ちょうどスコップを持っていたんです。これで本当に一人きりになっちゃったなぁ……。」

マ太郎 「そして誰もいなくなったヨ!」

・ ・

あびる 「……結局またオチてない」

可符香 「このNOVEL DAYSには素晴らしい小説がたくさんありますから、あえてこの小説のレベルを落としたのです!つまり、この小説の質を間引きすることで、他の小説の良さを引き立てて、結果、このサイト全体の質をあげることに成功したのです!!」

マ太郎 「物は言いようダナ」

晴美 「……一応、この作品は色んな方に読んでもらったり星いいねをしてもらったりしてるんだからさ、もうちょっとプライドを持とうよ、作者は」
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