『ダメ特典の匂いを残したまま、出て行かなくてはならない。』

文字数 2,807文字

?? 「マリア!」

マ太郎 「どうしたのナ?」

?? 「お腹減ったヨ!」

マ太郎 「私もお腹減っタ……よし、絶望に頼むか!!」

* *

マ太郎 「おい絶望!」

望 「関内くんですか。何でしょう?」

マ太郎 「食料が欲シイ」

望 「なら……釣りに行きましょうかね」

可符香 「ということで今回は釣りに来ました!!」

マ太郎 「沢山釣るゾー! ベルベッタが待ってるノナ!!」

望 「ベルベッタ?」

奈美 「ベヨネッタ?」

晴美 「それはゲームのキャラ」

千里 「マ太郎の友人ですよ。」

望 「記憶にないですね……」

晴美 「それより先生、竿」

望 「おっ、早速反応が! 幸先がいいですね」

グイッ

バシャッ

奈美 「先生のくせに大物!!……う、美味そうだ!!」

望 「さてさて、家に持ち帰って煮込みでも……」

奈美 「美味そうだなぁ〜」

望 「とりあえずクーラーボックスに入れて……」

奈美 「ルックデリシャスだなぁ〜」

望 「……分かりましたよ。みなさんで刺身にでもして、食べましょう」

一同 「やったぁあ!」

望 「あっでも包丁がありません」

千里 「それなら大丈夫です。包丁を念のため持って来てて正解ですね。」

望 「何の念のためかは聞きませんよ」

サッ

望 「あっ、しかもこの魚。小さい魚を何匹か丸呑みしてたそうで、思わぬ収穫です」

まとい 「思わぬ収穫……思わぬ特典……度々ありますよね、そういうの」

望 「いたんですか」

まとい 「ええ、ずっと」

奈美 「ところで思わぬ特典って、例えば??」

望 「例えば古本屋。たまたま見つけた古本がまさかのサイン入りだったり初回盤だったり……。思わぬ特典です!」

あびる 「たまたま入った店が、開店して一年記念とかで安くなってたり」

晴美 「たまたま好きなミュージシャンのCDが安くなってたり」

可符香 「ちなみにたまたま今だったら、電気グルーヴがお得ですよ!」

千里 「それはたまたまじゃないからっ⁉︎」

あびる 「むしろプレミアムがついて高い可能性」

望 「本を買おうとしてサインも手に入ったり、普通の買い物をするつもりが記念セールで爆買いできたり……世の中には思わぬ収穫や特典がしばしば現れるのです!! 他にもこんなたくさんの思わぬ特典が!」

・散歩してたら偶然有名人に遭遇
・散歩してたら偶然NHKに取材される
・散歩してたら偶然隠れた名店を見つける
・文化祭の部誌を気まぐれに開いたら、偶然まさかの同志を見つける
・ラーメン屋に行ったら偶然好きなミュージシャンの曲が流れてた
・行列のできる店に行ったら偶然今は空いていた

まとい 「本来の目的とはまた別に、手に入るラッキーな収穫……羨ましい限りですね」

望 「いやそうとも限りません!」

奈美 「えっ?」

望 「世の中には、思わぬ収穫や特典だけでなく、思いもせず被ったダメ収穫やダメ特典だってあるのです!!」

千里 「なるほど……。私もありました、そういうの。つい最近晴美の同人誌を買いにコミケに行ったんですけど。」

晴美 「えっ」

千里 「私はただ、友達の作品を買いに来ただけなのに、忙しいからと売り子の手伝いを強要されたダメ特典!! こんな経験……私には要らぬっ!!」

晴美 「だってあのときは本当に忙しかったし……」

千里 「他にもあります、ダメ特典!! 晴美に頼まれてとらのあなに本を買いに行ったときに、くじ引きでたまたま景品を当ててしまったがために、他のお客にジロジロ見られてオタクだと誤認識されたダメ特典!! こんな経験……私には要らぬっ!!」

晴美 「そ、それはちょっと仕方ないというか……」

千里 「言われてみると晴美のせいで私が被ったダメ特典は数知れず……。許さぬっ!! ダメ特典もダメ収穫も!! マ太郎!! 私と一緒にダメ特典とダメ収穫を潰しに行くわよ!!」

マ太郎 「マリア、魚を釣らないト」

千里 「手伝ってくれたらいくらでも魚はあげるから!」

マ太郎 「分かったヨ!!」

望 「ああ……また大変なことに……」

マ太郎 「まずはここダヨ」

晴美 「ここは国会議事堂……?」

議員 ガミガミ
議員 ガミガミ

望 「話し合いだけで解決すべき政治に挟まる子供のような口喧嘩……まさにダメ特典!」

マ太郎 「おいみんな!」

議員 「何ですか、あなた! 今私たちは国を良くするために一生懸命……」

マ太郎 「マリア……お金に困ってるヨ。今日だってご飯に飢えてヘロヘロダヨ。それはこの国の問題点でもあるヨ。なのに議員さんたちは口喧嘩するくらい元気、あるノナ!」

議員 ガビーン!!

議員 「わ、私は……口喧嘩には力を入れて、こんな子供一人さえ救えない国を変える努力はしてこなかった……なんてことを!」

マ太郎 「分かってくれればイイヨ」

あびる 「いやそもそもマリアちゃんは不法入国者だからお金に困ってるんでしょうに……」

マ太郎 「次はここダヨ!」

奈美 「万世橋くんの家??」

万世橋 「おいこれハヤテの孤独じゃなくて、さいなら絶望先生じゃん!! 間違えるなよ!?」

母 「どれも同じようなものじゃない!!」

万世橋 「全然違うわ!! このババァ! さいなら絶望先生の方はラブコメじゃねえんだよ!!」

母 「それよりこの漫画、健全なやつって言ったよね??」

万世橋 「えっ表紙はどう見ても普通だろ?」

母 「店でもらった特典のポスター……裸の女の子が載ってるんだけど!!?」

万世橋 「なっ」

マ太郎 「特典のせいで誤魔化そうとした趣味嗜好がバレちゃう、ダメ特典ダヨ!!」

望 「ダメ特典というよりも、この場合、万世橋くんがダメ人間なような気がしますが……」

どよんど

?? 「マリア、もうやめてヨ!!」

マ太郎 「エッ?」

望 「あの方は?」

千里 「あれがマ太郎の友人です。」

友人 「私のためニ、多くの人傷つけてるッテきいたヨ。そんなの申し訳ないヨ!!」

マ太郎 「でもこのままジャ、お腹いっぱいにならないのナ!!」

友人 「でもだからっテ、マリア困る必要ナイヨ!」

マ太郎 「ベルベッタ……!」

奈美 「ベヨネッタ?」

晴美 「だからそれはゲームのキャラだって」

* *

まとい 「オチなしですね」

望 「関内くんの良い話に、ダメ特典をつける必要はありませんから」

あびる 「なんて開き直り」

千里 「ちなみにあの後、私が何十匹も魚を釣ってマ太郎にあげたから、それに関してはご安心ください。」

マ太郎 「オチのおかげでいっぱい食べられて幸せな、思わぬ特典ダヨ!!」

友人 「うん!!」

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