『国境の長いトンネルを抜けると白ずくめであった。』

文字数 2,759文字

前巻までのあらすじ

とある山奥の村へとやってきた望。そこではあらゆる争いが勃発していた。あるところでは「たけのこ!たけのこ!」「きのこ!きのこ!」さらに別のところでは、「猫!猫!」「犬!犬!」慌てて少し離れると「ソース!ソース!」「醤油!醤油!」限界に達した望はさらに遠くへ駆け抜ける。すると漫画界の片隅で「景!景!」「命!命!」の争いがっ⁉︎ 自分はいなかったことに深い悲しみを覚えながら、望はまた山の奥へと迷い込んでいった。

・ ・

テレビ 「真実はいつも一個!」

霧 「……今週も面白かったね」

交 「でも黒ずくめの組織、超怖かったぞっ!!」

霧 「……まあ悪役だし」

交 「あんなのが近くにいると思うだけで……」

霧 「いや、アニメの話だから」

望 「いや、現実にもいますよ、黒ずくめの組織」

霧 「……先生」

あびる 「アニメの話でしょ?」

望 「いや、黒ずくめの組織は現実にいるんです!」

霧 「……いるわけないじゃん」

望 「いるんです!!」

奈美 「どこに?」

望 「彼らのことは別名、ブラック企業と呼びます!」

奈美 「それ違うだろ⁉︎」

望 「ああ、恐ろしや!黒ずくめの組織!怖くて怖くて震えそうです!」

・残業代? もちろん、出ませんが?

・労働時間? 労働基準法? 知りませんが?

・育児休暇? そんなことより働けば?

・パワハラ? 部下を育てるための必要事項だろ?

奈美 「……なんか学生辞めたくなくなったなぁ」

あびる 「普通なこと言わないでよ、奈美ちゃん」

奈美 「普通って言うなぁ!」

まとい 「ところで先生」

望 「いたんですか」

まとい 「ええ、ずっと♪」

晴美「……やけに機嫌がいいね」

あびる 「前回はあのやりとり、できなかったからね」

まとい 「ブラック企業とやらはそんなに多いものなんでしょうか? 国が取り締まっていたりするのでは?」

望 「……それは難しい話なんですが、やはり不況もあり、ブラック企業が無くならないのが現状ですかね。それに仮にブラック企業であろうと、自分の会社が潰れたりしてしまったら無一文の生活」

あびる 「訴えようにも、訴えられない」

望 「……そういうことです。ああ、よっぽどアニメの黒ずくめの組織の方が怖くありませんよ! 結局は眼鏡の子供一人に翻弄される程度なんですから!」

奈美 「……せめていじるならマガジンにしようよ」

望 「黒ずくめなのは会社だけではありません!!金やら権力やら黒ずくめな組織はあらゆるところに存在します!」

・総理大臣とつながる保育園

・夫婦二人が牛耳る体操業界

・弟子が許可して師匠がいじって、結局は読者の笑いを取れる計画

・奈良判定

・ジャニーズ VS 元SMAP

望 「絶望したっーー!!世界中にはびこる、『黒ずくめの組織』に絶望したっーー!!」

奈美 「今回のはギリギリすぎる!!」

あびる 「……本当に消されるかもね、この小説」

マ太郎 「原作のフンイキ、マネしてるだけなのにナ!」

可符香 「問題発言よ、マリアちゃん」

望 「……って風浦さん! ということはまた、そんなことはありません! とか言うつもりですか!」

可符香 「……いえいえ、反論する気なんて全くありませんよ、先生!! だって事実、黒ずくめの組織はいるんですから!」

望 「おや、珍しい!」

可符香 「でも先生!」

望 「……なんでしょうか?」

可符香 「黒ずくめの組織より、よっぽど白ずくめの組織の方が怖い!」

望 「なっ」

可符香 「例えばこれはとある会社の求人広告ですが……」

・残業なし!

・デスクワークで楽しい!

・上司も優しい!

・交通代支給!

みんなニコニコハッピースマイル!!心から微笑むことができる会社です。

望 「ひっっ!!」

奈美 「なんか逆に怖いっ!」

可符香 「……白すぎると逆に裏があるように感じてしまい、恐ろしいったらありゃしません! よっぽど黒ずくめの方がマシです!」

望 「ですがやはり黒ずくめの方が恐ろしいに決まってます!! あくまでそこはホワイト企業なんでしょ?」

可符香 「……でも、事実会社に入ってみたら思ったのと違う、そんなことは多々ありますよ?」

あびる 「……胸に刺さるなぁ」

晴美 「ていうか可符香ちゃん、学生でしょ」

望 「しかしいまいち確信が持てませんねぇ……」

可符香 「なら仕方ありません! さらに例を出すだけです!」

可符香 「世の中に溢れる、白すぎて逆に黒く感じる『白ずくめ』たち!!」

・無邪気に大きく笑ってる、子役

・えなりくん

・さかなクン

・家に訪ねてくる宗教の方々

・天然ドジっ子

・セリヌンティウス

望 「……確かに白いはずなのに、黒く感じますね。なるほど! これが『白ずくめ』ということですか!」

奈美 「反論した割に折れるのが早い⁉︎」

晴美 「……まあ先生だし」

望 「それにしても困りましたね。極端に黒いと当然ながら危険視されますし、逆に白すぎても疑われる始末!実に厄介です」

望 「でも良かった。自分で言うのもなんですが、私は実に中途半端な人間ですから……黒でも白でもなく、あえて言うならグレーです!だから疑われる危険はありません!」

あびる 「……でも先生。疑われないとは思うけど、そんな曖昧なこと言ってたら」

千里 「何よ!グレーって!どっちなのよ⁉︎」

あびる 「……千里ちゃんが」

望 「ひっっ!」

千里 「……先生、私は鬼ではありません。ホワイトな人間です。そんなブラック企業みたいに人を追いつめたりしませんよ。」

望 「そ、それは本当ですか?」

千里 「ええ。だから何もしないのでこちらに来てください。そうすれば許しますから。」

望 「し、信じますよ?」

トコトコ

ガシッ

望 「えっ?」

千里 「つ・か・ま・え・た♪」

望 「ひっっ!ちょ、ちょっと待ってください!さっきホワイトだって言ったじゃないですか⁉︎」

千里 「……先生。」

望 「な、なんです?」

千里 「白ずくめが真の黒ずくめ、黒幕なんですよ?」

望 「そ、そんな!!」

バシャジクッビジャアアドドドォオ

千里 「『グレーが嫌だ』と私が言ったから今日は血まみれ記念日♪」

マ太郎 「良かったじゃないカ!黒でも白でもグレーでもなくテ、赤色になったヨ!」

・ ・

あびる 「ブラックジョークも微妙。かといってホワイトでもない。グレーなオチだよね」

可符香 「それが売りですから!!」
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