『二人組の絶望役はあまり好ましくない。』

文字数 3,014文字

望 「世の中、絶望することばかりで私は悲しいです!! きっとあの木の花が全て散る頃には、私は人生に絶望して……ぐすっ」

千里 「物思いにふけているところ悪いのですが、そろそろ春なのでむしろ花がもっと咲くと思います。」

可符香 「先生!」

望 「どうしましたか、風浦さん」

可符香 「世の中が絶望することばかりで溢れてるなんて……そんなわけないじゃないですか! それは先生がただ単にネガティブなだけですよ!」

望 「まあ確かに私は暗く物事を考えますが……」

可符香 「ネガティブだと、世界の嫌なところばかりに目が付きます! 良いところだってたくさんあるはずなのに! だから先生もポジティブになれば世の中の素晴らしさに気づけるはずです!!」

望 「な、なるほど。ですがそんな簡単にポジティブになれるものでしょうか……。そもそも私が絶望しなくなったら、誰が絶望してくれるのでしょうか。絶望役がいなければ話が進みません!」

まとい 「相変わらずメタいですね」

望 「いたんですか」

まとい 「ええ、ずっと……ところで先生」

望 「なんですか、常月さん」

まとい 「もし絶望役のキャストにお困りでしたら、私が絶望役をやりましょう! 役不足ですが」

望 「ははっ、そんなこと言わないでください。照れるじゃないですか」

役不足
演劇などで演ずる俳優が、その演目での役割に不満をもつこと。転じて、自分の実力を軽んじられている様を表す。
これが本来の意味だが、自分の実力を過大に評価されたことに謙遜、あるいは重責に思うことと逆の意味に誤解して使われることの多い語である。この誤用を本来正しく言い表すのは「力不足」である。


望 「って力不足じゃなくて役不足じゃないですかっ⁉︎ 絶望したぁぁっ! 遠回しに生徒に下に見られているという事実を伝えられたことに絶望したぁぁっ!」

あびる 「流石仮にも国語教師」

まとい 「まあ冗談ですよ。では絶望役なので早速絶望しますね……世の中許されない愛が多すぎますっ! キリストは愛ならば全て認めるのではなかったのか!!」

・手紙送りつける→破られる
・盗聴する→捕まる
・ついていく→交番に駆け込まれる
・心の目で焼き付ける→とか言いつつ結局盗撮→警察署へ
・ディープラブ→島耕作じゃないからと否定される

まとい 「絶望したぁぁっ! 純粋な愛を否定するこの社会に絶望したぁぁっ!」

望 「って私はそんなことで絶望しませんから⁉︎ むしろそれじゃ周りが絶望します!!」

晴美 「なら代わりに私が絶望しますね。何故オタクはひどい扱いをされるのか……。経済を支えてるのは我らオタクに違いないのにっ!!」

・世界に有名なけ●おん!だって涼●ハルヒだって最初は日本のオタクが評価して広めたんだからなっ!
・フィギュア業界とかおもちゃ業界とか子供より大人が支えてますからっ!
・幕張メッセとかのでかい建物の使用目的の多くはコミケとかオタクが対象のやつだからなっ!

晴美 「絶望したぁぁっ! 未だに消えないオタク差別に絶望したぁぁっ! 何故ガンダムオタクは許容され最近のアニメのオタクはキモいと言われるのか!!」

望 「流石と言いますか、気持ちがこもってますね……」

可符香 「ところで先生?」

望 「なんでしょうか」

可符香 「絶望役が他の人なら、先生は何役なんですか?」

望 「えっ」

可符香 「もしかして桃色係長役?」

望 「そんな役ありませんからっ!!」

どよんど

千里 「でも確かに先生は何役なんですか?? ああ、そういうのイラっとする!! きっちりしてください!!」

望 「ひっっ! 怒らないでください!! 怖いじゃないですか!!」

可符香 「なら先生には私の役をあげます!」

望 「えっ」

可符香 「きっと楽しいですよ?」

望 「……そうですね。じゃあ私は風浦さんの役をやります! ポジティブシンキングです!……世界は絶望ばかり? そんなことありません! 世界は希望で溢れてます!」

・インターネット社会になり多くの人と交流できるようになった!!(ただし人間関係トラブルも増える)
・医療技術の進歩で平均寿命が上がった!!(ただしそれに伴う問題も生まれる)
・昔に比べ娯楽の数も増えた!!(ただし外で遊ばなくなる子供が増える)

奈美 「ポジティブだけどネガティブじゃん⁉︎」

可符香 「先生がポジティブ役なら私がネガティブ役をやりましょう! ……ああ世界は絶望で溢れています!」

・藤原竜也の演技全部似てる
・度々月が落っこちてくる
・ポロロッカ星と最近音信不通
・スイカやパスモだけじゃなくクレジットカードなどもスキャンされてる
・ドンキーも言うほど安くない
・壁ドンは普通に犯罪

可符香 「絶望しました! こんな世の中に絶望しました!!」

晴美 「それは思い込みだからっ!! 偏見だから! 間違ってるから!!」

可符香 「ところで先生?」

望 「なんでしょうか?」

可符香 「それじゃ先生は力不足です! 私の役を演じるならちゃんとポジティブになってください!! 所々にネガティブが丸見えですよ?」

望 「といっても普段絶望ばかりしてるもので……急にポジティブになれと言われましても……」

可符香 「なら私が教えます!!」

三年B組〜! 可符香先生〜!!

可符香 「ってことで私が先生です!」

奈美 「わあ〜可符香ちゃん、先生の服装似合うね!」

望 「で、私は制服姿ですか……。この服を着てると学生時代の謎部活を思い出してしまうので、嫌なんですが……」

まとい 「でも制服姿の先生もお似合いですよ?」

望 「……久しぶりに制服姿のあなたを見ましたね。ゲッペルドンガーは大丈夫ですか?」

可符香 「そこ! お喋りしない! 今から授業を始めますよ?」

あびる 「可符香ちゃんノリノリだなあ」

可符香 「まずはポジティブになるために、ひかく三原則を学びます!」

望 「非核三原則……ですか?」

可符香 「いえいえ! 比較三原則です!!」

望 「ひ、比較三原則……??」

どよんど

可符香 「そうです! ……世の中の全ては捉え方次第ですよね? 黒があるから白があるように。ならば比較によってはどんな暗いことも明るく捉えられるってことです!!」

望 「な、なるほど」

目からウロコ ぽろっ

可符香 「だからまず学ぶのは比較三原則です!! ああ素晴らしい比較三原則!」

・髪の毛が薄い→モ●冬樹を見て安心
・ブラック企業→●ブ●イレ●ンでの問題を見てまだマシと再認識
・反抗期の自分に不安→駅周辺の治安の悪さを見てまだ自分は大丈夫と思える

望 「勉強になります!」

マ太郎 「そうカァ?」

1ヶ月後

望 「可符香様に今日も祈りを捧げないと!! 8時の方向に夜叉の構えです!!」

奈美 「授業じゃなくて宗教に入れられちゃってるじゃん⁉︎」

* *

可符香 「千里ちゃんも私の授業を受けてみませんか?」

千里 「怪しい宗教には入らないから!!」

マ太郎 「でもマア、もっと怖い宗教団体と比較したらマシかもナ」

非怪しい宗教三原則
・入らず
・作らず
・知り合いに布教せず
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