『今は昔、いつも通りといふものありけり。』
文字数 3,300文字
前巻までのあらすじ
ある頭脳集団に拉致されてしまった望。「お前は犬派か猫派か」まるで某落語漫画みたいな質問をしてきた彼らと目を合わせぬよう上の電灯ばかりを見つめていた望だが、その電灯にはある暗号が書かれてあり、意図せず望は別の組織の秘密までも知ってしまう。結果として両方から命を狙われることに!「匿ってあげるよ」といってくれたおじさんも明らかに下心あり。だがパトロンは彼だけなので、仕方なく彼に従う始末。
・ ・
あびる 「……おはよう」
奈美 「あっ、あびるちゃん!おはよう!」
千里 「小節さん、おはよう……って小節さん包帯が昨日より増えてるじゃない⁉︎」
あびる 「……ああ。昨日動物園でね」
奈美 「あびるちゃん!これ食べてみてよ!」
あびる 「……これは?」
奈美 「近所で有名なドーナツ屋さんのドーナツ!昨日すごく並んで買ったの!みんなの分もあるよ!」
晴美 「じゃあありがたく」
愛 「わ、私の分まで!すいません!すいません!私のようなものの分まで買ってもらうなんてすいません!」
カエレ 「……もらうわよ」
千里 「ってみんなちょっと待ってよ!!」
奈美 「……どうしたの?千里ちゃん?大丈夫だよ、千里ちゃんの分もあるよ?」
千里 「そうじゃなくて!みんな心配しないわけ⁉︎ 小節さん、包帯の数が昨日よりさらに増えてるのよ⁉︎」
奈美 「……確かに心配だけど、それはいつも通りだし」
カエレ 「まあ今に限ったことじゃないね」
あびる 「……ありがとう、千里ちゃん。でも気にしなくていいわ」
千里 「小節さんがいいならいいけど……。」
奈美 「あっ、もうそろそろ授業が始まっちゃう!」
キーンコンカーンコン
晴美 「やっぱり先生来ないなぁ」
奈美 「……一時限目は自習かな」
千里 「ちょっと⁉︎みんな、納得しないでよ!!先生としてあるまじき事態!!そろそろお偉い方に相談しましょうか。」
カエレ 「でもこれがいつも通りじゃん」
芽留 『流石に慣れたろ?』 メルメル
千里 「ちょっと音無さん!今は自習といえども授業は授業でしょ!携帯をいじるのはやめなさい!」
芽留 『うるせぇよ』 メルメル
千里 「なんですって⁉︎ み、みんなだって授業中は携帯ダメだと思うでしょ⁉︎」
晴美 「でも今更だよね」
奈美 「いつもそうじゃん」
千里 「なっ……!」
ガラッ
望 「これこそまさに『いつも通りの強行突破』ですね!」
奈美 「あっ、先生」
晴美 「あっ、一時限目終わってる」
千里 「『いつも通りの強行突破』?何ですか、それは。」
望 「簡単に言いますとですね、『いつも通りの強行突破』とはいつも通りという言葉を盾に物事を強行突破しようとする荒技のことです!」
あびる 「某サンデー漫画で、子供が殺人現場に入っているのに、いつも通りだからと、誰ももう既に気にしてないのもそれですか?」
望 「ええ、合ってますよ。ただこの小説を消されないための方向性としては、大いに間違ってますが……」
奈美 「まあこの小説の方向性がおかしいのもいつも通りだから、許されるよね」
望 「……そうだったらいいのですが。それにしても、世の中なんと『いつも通りの強行突破』が多いことでしょう」
望 「よくよく見てみれば、この世界は『いつも通りの強行突破』で溢れています!」
・いつも通りだからと、辞めるだけで許される政治家
・いつも通りだからと、気持ち悪いことを言ってもなんとなく許される芸人
・いつも通りだからと、オチがないのを開き直って縁起がいいなどと言い出す漫画家
望 「絶望したっーー!! 世の中にはびこる『いつも通りの強行突破』に絶望したっーー!!」
奈美 「……そんな恐ろしい人たちがいるなんて。でも私は大丈夫ね、そんな強行突破なんてしないし」
あびる 「いや奈美ちゃんも結構強行突破してるよ」
奈美 「えっ?」
あびる 「ウザいこと言ってても、いつも通りだからって、誰もウザがるだけで問い詰めたりしないし」
晴美 「まあ無自覚だからわざわざ言うのも悪いし……」
奈美 「ウザいって言うなぁ!」
可符香 「奈美ちゃんのギャグが新境地に!!」
マ太郎 「言うほど変わってないナ」
望 「って風浦さん⁉︎」
可符香 「……先生、それにしても『いつも通りの強行突破』なんて」
望 「あるわけないですよ、って言うんでしょ⁉︎ いえ、風浦さんには悪いですが、これに関しては実際あるんです!生徒を例に出すのは気が進みませんが……致し方無し、みなさん一緒に来てください!」
トコトコ
千里 「ここは……宿直室?」
ガラッ
霧 「あっ。先生」
望 「やあ、小森さん。早速で申し訳ないのですが、小森さんを例の一つとして紹介させてもらいます」
霧 「えっ?」
千里 「なるほど……。いつも通りだから気に留めてなかったけど、よくよく考えてみれば、不下校なんて本来はいけないこと。これはまさに『いつも通りの強行突破』!」
望 「あとは常月さん。いるんでしょ?」
まとい 「ええ、ずっと」
千里 「ストーカーだって本来は許されることじゃない!なのに気づけば黙認してた……。私も気づかないうちに『いつも通りの強行突破』に巻き込まれてたのね!こんなこと、私は許せない!」
望 「また木津さんが暴走してしまいました⁉︎ 逃げなくては!」
あびる 「いや、だから先生のせいでしょ」
千里 「まずはその布団を剥がす!で、この部屋から追い出す!」
霧 「ちょっと⁉︎ や、やめてよ!助けて!先生!!」
望 「小森さん……。ごめんなさい、私にはどうにもできません!!」
奈美 「あっ、逃げた」
霧 「そ、そんな」
まとい 「あっ、先生!待ってください!今、私も……」 ガシッ
千里 「あなたもちょっと待ちなさい」
まとい 「えっ」
千里 「私はもう『いつも通りの強行突破』の被害は受けない!許されないことはいくらいつも通りであったとしても、許してはいけない!成敗じゃああ!!」
まとい 「せ、先生!」
望 「すいません……常月さん」
まとい 「そ、そんな!」
千里 「さてさて、どうお前らを調理してやろうか。あっ、あと木村さん」
カエレ 「えっ」
千里 「あなたもいつも通りだからってパンチラなんかするべきじゃない!」
カエレ 「したくてしてるんじゃねぇよ!!」
奈美 「……そうなの?」
千里 「……で風浦さん?」
可符香 「はい!何でしょう!」
千里 「あなたもいつも通りだからってポジティブっぽいことを言って……」
可符香 「でも千里ちゃんもいつも通りだからって猟奇オチで終わらそうとするのはダメじゃないですか!」
千里 「……えっ?」
奈美 「そ、そうだよ!一番『いつも通りの強行突破』の被害にあってるのは、私たちだよ!千里ちゃん、猟奇オチなら毎度やってるから何やってもいいと思ってるもの」
晴美 「確かに人を埋めたり、閉じ込めたり、本来は許されないよね」
千里 「なっ……!わ、私も『いつも通りの強行突破』をしてたの?そ、そんな。私が許せないことを私も人にしてたなんて……」
望 「……分かってくれましたか? 木津さん」
晴美 「あっ、いつの間に」
望 「かつて孔子の言葉にこんな言葉がありました」
望 「己の欲せざる所は人に施す勿れ、要するに自分が嫌なことを人にしてはいけないのです。たとえ無自覚だとしてもいけません」
千里 「……すみません。」
望 「いえ、別に良いのですよ? 悔い改めれば。人は変わることができますから……それをわたしは教えたかったのです」
千里 「せ、先生……!」
奈美 「絶対違うだろっ!」
・ ・
マ太郎 「オチがないのもいつも通りで許されるのカ?」
可符香 「許されないわよ、マリアちゃん」
ある頭脳集団に拉致されてしまった望。「お前は犬派か猫派か」まるで某落語漫画みたいな質問をしてきた彼らと目を合わせぬよう上の電灯ばかりを見つめていた望だが、その電灯にはある暗号が書かれてあり、意図せず望は別の組織の秘密までも知ってしまう。結果として両方から命を狙われることに!「匿ってあげるよ」といってくれたおじさんも明らかに下心あり。だがパトロンは彼だけなので、仕方なく彼に従う始末。
・ ・
あびる 「……おはよう」
奈美 「あっ、あびるちゃん!おはよう!」
千里 「小節さん、おはよう……って小節さん包帯が昨日より増えてるじゃない⁉︎」
あびる 「……ああ。昨日動物園でね」
奈美 「あびるちゃん!これ食べてみてよ!」
あびる 「……これは?」
奈美 「近所で有名なドーナツ屋さんのドーナツ!昨日すごく並んで買ったの!みんなの分もあるよ!」
晴美 「じゃあありがたく」
愛 「わ、私の分まで!すいません!すいません!私のようなものの分まで買ってもらうなんてすいません!」
カエレ 「……もらうわよ」
千里 「ってみんなちょっと待ってよ!!」
奈美 「……どうしたの?千里ちゃん?大丈夫だよ、千里ちゃんの分もあるよ?」
千里 「そうじゃなくて!みんな心配しないわけ⁉︎ 小節さん、包帯の数が昨日よりさらに増えてるのよ⁉︎」
奈美 「……確かに心配だけど、それはいつも通りだし」
カエレ 「まあ今に限ったことじゃないね」
あびる 「……ありがとう、千里ちゃん。でも気にしなくていいわ」
千里 「小節さんがいいならいいけど……。」
奈美 「あっ、もうそろそろ授業が始まっちゃう!」
キーンコンカーンコン
晴美 「やっぱり先生来ないなぁ」
奈美 「……一時限目は自習かな」
千里 「ちょっと⁉︎みんな、納得しないでよ!!先生としてあるまじき事態!!そろそろお偉い方に相談しましょうか。」
カエレ 「でもこれがいつも通りじゃん」
芽留 『流石に慣れたろ?』 メルメル
千里 「ちょっと音無さん!今は自習といえども授業は授業でしょ!携帯をいじるのはやめなさい!」
芽留 『うるせぇよ』 メルメル
千里 「なんですって⁉︎ み、みんなだって授業中は携帯ダメだと思うでしょ⁉︎」
晴美 「でも今更だよね」
奈美 「いつもそうじゃん」
千里 「なっ……!」
ガラッ
望 「これこそまさに『いつも通りの強行突破』ですね!」
奈美 「あっ、先生」
晴美 「あっ、一時限目終わってる」
千里 「『いつも通りの強行突破』?何ですか、それは。」
望 「簡単に言いますとですね、『いつも通りの強行突破』とはいつも通りという言葉を盾に物事を強行突破しようとする荒技のことです!」
あびる 「某サンデー漫画で、子供が殺人現場に入っているのに、いつも通りだからと、誰ももう既に気にしてないのもそれですか?」
望 「ええ、合ってますよ。ただこの小説を消されないための方向性としては、大いに間違ってますが……」
奈美 「まあこの小説の方向性がおかしいのもいつも通りだから、許されるよね」
望 「……そうだったらいいのですが。それにしても、世の中なんと『いつも通りの強行突破』が多いことでしょう」
望 「よくよく見てみれば、この世界は『いつも通りの強行突破』で溢れています!」
・いつも通りだからと、辞めるだけで許される政治家
・いつも通りだからと、気持ち悪いことを言ってもなんとなく許される芸人
・いつも通りだからと、オチがないのを開き直って縁起がいいなどと言い出す漫画家
望 「絶望したっーー!! 世の中にはびこる『いつも通りの強行突破』に絶望したっーー!!」
奈美 「……そんな恐ろしい人たちがいるなんて。でも私は大丈夫ね、そんな強行突破なんてしないし」
あびる 「いや奈美ちゃんも結構強行突破してるよ」
奈美 「えっ?」
あびる 「ウザいこと言ってても、いつも通りだからって、誰もウザがるだけで問い詰めたりしないし」
晴美 「まあ無自覚だからわざわざ言うのも悪いし……」
奈美 「ウザいって言うなぁ!」
可符香 「奈美ちゃんのギャグが新境地に!!」
マ太郎 「言うほど変わってないナ」
望 「って風浦さん⁉︎」
可符香 「……先生、それにしても『いつも通りの強行突破』なんて」
望 「あるわけないですよ、って言うんでしょ⁉︎ いえ、風浦さんには悪いですが、これに関しては実際あるんです!生徒を例に出すのは気が進みませんが……致し方無し、みなさん一緒に来てください!」
トコトコ
千里 「ここは……宿直室?」
ガラッ
霧 「あっ。先生」
望 「やあ、小森さん。早速で申し訳ないのですが、小森さんを例の一つとして紹介させてもらいます」
霧 「えっ?」
千里 「なるほど……。いつも通りだから気に留めてなかったけど、よくよく考えてみれば、不下校なんて本来はいけないこと。これはまさに『いつも通りの強行突破』!」
望 「あとは常月さん。いるんでしょ?」
まとい 「ええ、ずっと」
千里 「ストーカーだって本来は許されることじゃない!なのに気づけば黙認してた……。私も気づかないうちに『いつも通りの強行突破』に巻き込まれてたのね!こんなこと、私は許せない!」
望 「また木津さんが暴走してしまいました⁉︎ 逃げなくては!」
あびる 「いや、だから先生のせいでしょ」
千里 「まずはその布団を剥がす!で、この部屋から追い出す!」
霧 「ちょっと⁉︎ や、やめてよ!助けて!先生!!」
望 「小森さん……。ごめんなさい、私にはどうにもできません!!」
奈美 「あっ、逃げた」
霧 「そ、そんな」
まとい 「あっ、先生!待ってください!今、私も……」 ガシッ
千里 「あなたもちょっと待ちなさい」
まとい 「えっ」
千里 「私はもう『いつも通りの強行突破』の被害は受けない!許されないことはいくらいつも通りであったとしても、許してはいけない!成敗じゃああ!!」
まとい 「せ、先生!」
望 「すいません……常月さん」
まとい 「そ、そんな!」
千里 「さてさて、どうお前らを調理してやろうか。あっ、あと木村さん」
カエレ 「えっ」
千里 「あなたもいつも通りだからってパンチラなんかするべきじゃない!」
カエレ 「したくてしてるんじゃねぇよ!!」
奈美 「……そうなの?」
千里 「……で風浦さん?」
可符香 「はい!何でしょう!」
千里 「あなたもいつも通りだからってポジティブっぽいことを言って……」
可符香 「でも千里ちゃんもいつも通りだからって猟奇オチで終わらそうとするのはダメじゃないですか!」
千里 「……えっ?」
奈美 「そ、そうだよ!一番『いつも通りの強行突破』の被害にあってるのは、私たちだよ!千里ちゃん、猟奇オチなら毎度やってるから何やってもいいと思ってるもの」
晴美 「確かに人を埋めたり、閉じ込めたり、本来は許されないよね」
千里 「なっ……!わ、私も『いつも通りの強行突破』をしてたの?そ、そんな。私が許せないことを私も人にしてたなんて……」
望 「……分かってくれましたか? 木津さん」
晴美 「あっ、いつの間に」
望 「かつて孔子の言葉にこんな言葉がありました」
望 「己の欲せざる所は人に施す勿れ、要するに自分が嫌なことを人にしてはいけないのです。たとえ無自覚だとしてもいけません」
千里 「……すみません。」
望 「いえ、別に良いのですよ? 悔い改めれば。人は変わることができますから……それをわたしは教えたかったのです」
千里 「せ、先生……!」
奈美 「絶対違うだろっ!」
・ ・
マ太郎 「オチがないのもいつも通りで許されるのカ?」
可符香 「許されないわよ、マリアちゃん」