『みなさんは「運命の赤い糸」という言葉をご存じか。』
文字数 2,219文字
望 「あっ移動教室でしたか」
千里 「はい。美術でした。」
望 「どんな授業をしたんです?」
千里 「色の働きについて学びました。」
望 「色の働き……ですか?」
千里 「ええ。例えば緑はリラックスするとか赤は危険色だから危険を知らせるのに最適だとか、ですね。」
望 「なるほど……ん?」
奈美 「先生、どうかしましたか??」
望 「それってつまり……」
奈美 「?」
望 「運命の赤い糸は危険ってことですか⁉︎」
奈美 「そ、それは違うだろ⁉︎」
望 「確かに言われてみると、運命の出会いってロクなものじゃありません!!」
望 「運命的な出会いから一ヶ月も経たない間に結婚したら即離婚なんてよくある話! できちゃった婚も以下同文! 相手のことをあまり把握していないくせに結婚して新婚旅行して成田離婚だってよくある話!!」
千里 「運命的な出会いをした全員が全員、そういうわけじゃないでしょ⁉︎」
望 「まあ要するに……運命的な出会いは運命的な別れを呼ぶってことです!!」
晴美 「なら殆どの漫画とかアニメを否定してることになるけど」
望 「それは作品を進める際に必要な、必然的な出会いなので大丈夫です」
奈美 「必然的と運命的って違うの?」
あびる 「そもそもメタいうえにチキンだし」
望 「運命的……というのは本当に奇跡的な確率の出会い、言うなら0.000001%くらいでしょうか。必然的というのは必然なので100%ですね」
まとい 「辞書的な意味とはズレてますが」
望 「わー! わー! ……都合の悪いことは聞こえません!!」
あびる 「やっぱりチキン……」
望 「ていうかいたんですか」
まとい 「ええ、ずっと」
奈美 「でも運命的な出会いが運命的な別れを呼ぶって夢がないじゃん! それおかしいよ、はい論破!」
望 「それって主観じゃないですか……」どよんど
あびる 「でもそれだとシンデレラとかどうなるの?」
奈美 「確かに……! シンデレラって典型的な運命の出会いじゃん! でもあれハッピーエンドで終わってるし、はい論破!」
望 「確かにシンデレラはあの時点ではハッピーエンドですね……」
千里 「あの時点……?」
望 「あの作品は結婚して幸せモードなところで終わってるじゃないですか! まだ倦怠期も定年後の暮らしも一切経験していない! なのに運命的な別れをしないと言い切れるんですかね??」
千里 「そんな昔話に島耕作みたいなリアルな愛を描かなくても……。」どよんど
望 「これで逆論破です!!」
奈美 「ええっ⁉︎」
あびる 「地味に先生、奈美ちゃんのはい論破にイラっとしてたんだ」
望 「あの後きっと王子とシンデレラは熟年離婚をしていたり、再び魔女の罠に引っかかっていたりしているに違いありません!」
晴美 「まあ確かに久米田先生が太鼓判を押した漫画にそんなのがあったけど……」
可符香 「でもそんなこと言ったら、世界中にいる生徒と先生、その中で私たちと先生が巡り会えたのも運命的……ってことになっちゃいますよ?」
奈美 「あっ可符香ちゃん」
あびる 「ということは私たちは運命的な出会いをしてるから……」
望 「運命的な別れをしてしまうということですね!!」
望 「私にとって、みなさんは大切な生徒です。そんなみなさんと運命的な別れは正直したくありません」
奈美 「せ、先生……!」
望 「そして運命的な出会いをしてしまった以上、恋愛をしたら確実に運命的な別れを迎えます!! つまりみなさんとは付き合えません!!」
千里 「……はっ?」
望 「これで大義名分ができました! 非常に、非常に、残念ですが!! みなさんとは付き合えません! 運命的な別れはしたくありませんから!」
奈美 「なんて滅茶苦茶な理論⁉︎」
晴美 「とはいえ」
あびる 「私たちも話に乗っかっていた以上、異議を唱えにくい」
まとい 「ど、どうすれば……」
千里 「ねえ日塔さん?」
奈美 「えっどうしたの千里ちゃん」
千里 「尊い犠牲よね??」
奈美 「はい?」
グサッ
まとい 「なっ⁉︎」
望 「ひっっ! 理由は分かりませんがまた木津さんが暴走し始めました!!」
千里 「そして他の皆様も尊い犠牲ですので」
グサッ グサッ グサッ
千里 「これで先生と私は二人っきりですね」
望 「ひっっ⁉︎」
千里 「ちょっと! 逃げないでくださいよ。」
望 「飛行機で海外逃亡です!!」
ビューーン
ドカーーン
望 「な、なぜか急に飛行機が墜落しました!!」
千里 「そしてここは無人島です。」
望 「ひっっ! だ、誰か……」
千里 「無駄ですよ。乗客も他の女生徒も、みんなみんな私が消してしまったので!! これでは先生は他の人とは出会えない……つまり、私と先生との出会いは100%、必然的な出会いですね!!」
望 「た、助けてください! 神様仏様!!!」
千里 「神は死んだー!!!!」
* *
マ太郎 「マリア大事なこと思い出したヨ……」ガクガクブルブル
可符香 「大事なこと?」
マ太郎 「赤は危険色なのナ!」
可符香 「運命の赤い糸よりよっぽど、必然の血塗りの赤い糸の方が怖いですもんねー」
千里 「はい。美術でした。」
望 「どんな授業をしたんです?」
千里 「色の働きについて学びました。」
望 「色の働き……ですか?」
千里 「ええ。例えば緑はリラックスするとか赤は危険色だから危険を知らせるのに最適だとか、ですね。」
望 「なるほど……ん?」
奈美 「先生、どうかしましたか??」
望 「それってつまり……」
奈美 「?」
望 「運命の赤い糸は危険ってことですか⁉︎」
奈美 「そ、それは違うだろ⁉︎」
望 「確かに言われてみると、運命の出会いってロクなものじゃありません!!」
望 「運命的な出会いから一ヶ月も経たない間に結婚したら即離婚なんてよくある話! できちゃった婚も以下同文! 相手のことをあまり把握していないくせに結婚して新婚旅行して成田離婚だってよくある話!!」
千里 「運命的な出会いをした全員が全員、そういうわけじゃないでしょ⁉︎」
望 「まあ要するに……運命的な出会いは運命的な別れを呼ぶってことです!!」
晴美 「なら殆どの漫画とかアニメを否定してることになるけど」
望 「それは作品を進める際に必要な、必然的な出会いなので大丈夫です」
奈美 「必然的と運命的って違うの?」
あびる 「そもそもメタいうえにチキンだし」
望 「運命的……というのは本当に奇跡的な確率の出会い、言うなら0.000001%くらいでしょうか。必然的というのは必然なので100%ですね」
まとい 「辞書的な意味とはズレてますが」
望 「わー! わー! ……都合の悪いことは聞こえません!!」
あびる 「やっぱりチキン……」
望 「ていうかいたんですか」
まとい 「ええ、ずっと」
奈美 「でも運命的な出会いが運命的な別れを呼ぶって夢がないじゃん! それおかしいよ、はい論破!」
望 「それって主観じゃないですか……」どよんど
あびる 「でもそれだとシンデレラとかどうなるの?」
奈美 「確かに……! シンデレラって典型的な運命の出会いじゃん! でもあれハッピーエンドで終わってるし、はい論破!」
望 「確かにシンデレラはあの時点ではハッピーエンドですね……」
千里 「あの時点……?」
望 「あの作品は結婚して幸せモードなところで終わってるじゃないですか! まだ倦怠期も定年後の暮らしも一切経験していない! なのに運命的な別れをしないと言い切れるんですかね??」
千里 「そんな昔話に島耕作みたいなリアルな愛を描かなくても……。」どよんど
望 「これで逆論破です!!」
奈美 「ええっ⁉︎」
あびる 「地味に先生、奈美ちゃんのはい論破にイラっとしてたんだ」
望 「あの後きっと王子とシンデレラは熟年離婚をしていたり、再び魔女の罠に引っかかっていたりしているに違いありません!」
晴美 「まあ確かに久米田先生が太鼓判を押した漫画にそんなのがあったけど……」
可符香 「でもそんなこと言ったら、世界中にいる生徒と先生、その中で私たちと先生が巡り会えたのも運命的……ってことになっちゃいますよ?」
奈美 「あっ可符香ちゃん」
あびる 「ということは私たちは運命的な出会いをしてるから……」
望 「運命的な別れをしてしまうということですね!!」
望 「私にとって、みなさんは大切な生徒です。そんなみなさんと運命的な別れは正直したくありません」
奈美 「せ、先生……!」
望 「そして運命的な出会いをしてしまった以上、恋愛をしたら確実に運命的な別れを迎えます!! つまりみなさんとは付き合えません!!」
千里 「……はっ?」
望 「これで大義名分ができました! 非常に、非常に、残念ですが!! みなさんとは付き合えません! 運命的な別れはしたくありませんから!」
奈美 「なんて滅茶苦茶な理論⁉︎」
晴美 「とはいえ」
あびる 「私たちも話に乗っかっていた以上、異議を唱えにくい」
まとい 「ど、どうすれば……」
千里 「ねえ日塔さん?」
奈美 「えっどうしたの千里ちゃん」
千里 「尊い犠牲よね??」
奈美 「はい?」
グサッ
まとい 「なっ⁉︎」
望 「ひっっ! 理由は分かりませんがまた木津さんが暴走し始めました!!」
千里 「そして他の皆様も尊い犠牲ですので」
グサッ グサッ グサッ
千里 「これで先生と私は二人っきりですね」
望 「ひっっ⁉︎」
千里 「ちょっと! 逃げないでくださいよ。」
望 「飛行機で海外逃亡です!!」
ビューーン
ドカーーン
望 「な、なぜか急に飛行機が墜落しました!!」
千里 「そしてここは無人島です。」
望 「ひっっ! だ、誰か……」
千里 「無駄ですよ。乗客も他の女生徒も、みんなみんな私が消してしまったので!! これでは先生は他の人とは出会えない……つまり、私と先生との出会いは100%、必然的な出会いですね!!」
望 「た、助けてください! 神様仏様!!!」
千里 「神は死んだー!!!!」
* *
マ太郎 「マリア大事なこと思い出したヨ……」ガクガクブルブル
可符香 「大事なこと?」
マ太郎 「赤は危険色なのナ!」
可符香 「運命の赤い糸よりよっぽど、必然の血塗りの赤い糸の方が怖いですもんねー」