『幼時から父は、私によく、根本のことを語った。』
文字数 3,479文字
前巻までのあらすじ
国家秘密をふとしたきっかけで知ってしまった望。スパイが何人か送り込まれた、という情報が望のところにも知らされる。そのせいでさらに人間不信!クレープ屋の店員も信じれず、服屋の店員も信じれず、あげくには親戚すら信じられなくなってしまった。そこに「俺だよ、俺っ!」という電話が!人から避けて人に飢えていた望は、その息子と名乗る人間に結婚してないくせにお金を渡してしまう。おかげで人間不信は加速していくばかりであった……。
・ ・
望 「……」ふらふら
奈美 「先生どうかしましたか?」
望 「……」 バタン
奈美 「って先生⁉︎」
・ ・
宿直室
ガラッ
奈美 「霧ちゃん!大変!」
霧 「……どうしたの?」
奈美 「先生が倒れた!!」
霧 「えっ」
奈美 「……先生大丈夫かな」
ピピッ
霧 「38.5度、熱がある……」
ガラッ
千里 「先生が倒れたと聞いて!」
ガラッ
まとい 「薬買ってきたわ!」
ガラッ
愛 「大丈夫ですか、先生!」
奈美 「続々と!」
ガラッ
あびる 「ていうかまといちゃんいつの間に薬買ってきたの?流石に早くない?」
まとい 「……先生の様子、ちょっと前からおかしかったからもしかしたらと思って買いに行ってたの。その間に倒れるなんて思わなかったけど」
霧 「……ありがとう、薬買ってきてくれて」
まとい 「……当たり前のことよ」
パチっ
千里 「先生が目を覚ましたわ!」
奈美 「大丈夫ですか先生⁉︎」
望 「……み、みなさん。ええ、私は大丈夫です、それよりそろそろ授業の時間ですね。行かなければ」
霧 「ちょっと⁉︎ 先生、そんな体じゃ無理だよ!今日は休まないと!」
望 「……いや、仮にも私は教師ですから、しっかりしないと」
あびる 「……なんて教師の鑑」
千里 「……でも、おかしくない?」
一同 「えっ」
千里 「あのメンタルチキンな先生が、風邪に倒れても授業をしようとするなんておかしい!!普段の先生ならとっくに心が折れて逃げてるわ!」
あびる 「それにそもそも先生は一時限目から授業はしない」
奈美 「……じゃあこの先生は偽者⁉︎」
霧 「……いやそれは流石にないでしょ」
千里 「じゃあ一体この現象はどう説明がつくの!!」
可符香 「先生はですね〜」
奈美 「あっ、可符香ちゃん」
可符香 「38.5度以上の熱になると、比較的真面目かつ天才になるのです!!」
奈美 「改蔵かよっ⁉︎」
晴美 「……先生が前の回でやけに真面目に授業していたのはその時にもう微熱だったから、か」
カエレ 「でもそれってどうなの?」
奈美 「何が?」
カエレ 「確かに先生は先生かもしれないけど、本来の先生じゃないなら、あながち偽者、もとい別人と捉えても間違いではないんじゃないか?」
あびる 「……流石多重人格者」
奈美 「うーん。でも本当にそれはどうなんだろう? だって先生は先生でしょ? 根本は変わんないじゃない?」
千里 「いやむしろ人格が人の根本なんだから、それが違うんじゃ根本から変わってるんじゃないの?」
望 「根本がどうのこうのという話は、実は世の中に多くあります」
あびる 「いや先生の話なんだけど」
望 「ちょうどいい、今日の授業のテーマはそれにしましょう!」
霧 「だから先生!今日は休まないと!」
千里 「……気になるわね、根本の話。」
千里 「私も今まで桜の根本とかに埋めてきたし」
望 「それは『こんぽん』ではなく、『ねもと』でしょ⁉︎ それに何を埋めてきたというのですか!!」
あびる 「……先生、世の中に溢れている根本の話って例えばどんなのなの?」
望 「例えば規模が違えど根本が同じという話!」
奈美 「どういうこと?」
望 「世の中には状況や規模、場合が違くとも、つまりは何が問題なのか、重要なのか、という根本は一致してるという話があるということです」
奈美 「お好み焼きとパスタは全然違うのに、同じ小麦粉がメインとか?」
望 「……違いますが、日塔さんはその解釈で構いません」
望 「なんたる『根本が同じな話』の多いことか!」
・政治家同士の喧嘩と子供の喧嘩
・世界で起こる差別とクラス内のいじめ
・改蔵でも先生でも羅列ネタは変わらず
・受験社会と格差社会
望 「しかも根本がどうのこうという話は基本的に悪い話のときに出てくるのです!」
奈美 「……なんで?」
望 「例えば幸せな話、良い話では根本を見るよりもその表面を見ます。だって多くのいい話って根本を見てしまえば大体一緒でしょ?『幸せっていいね』これを伝えたいだけです」
晴美 「合ってるかもしれないけど、言い方があるでしょ」
望 「……ですから良い話は基本、その根本をどう伝えるか、どんな例を出して共感を得るか、そこに重心を置きます。一方、悪い話の方は多くの人間が根本を見ようとします!!何故なら悪いことが起きたら、まず原因をみなさんは見るからです!」
あびる 「悪いことは無くすべき。だからみんなまずは原因を調べる。それで多くの社会問題の根本は全部同じだ、とか言う」
望 「その通りです!幸せな話は皆そのままで良いと思いますから、あえて根本を掘り返そうとはしません!だから根本がどうのこうのと言う話は、悪い話のときに出てくるのです!」
望 「絶望したっーー!!悪い話のときに毎度現れる『根本が同じな話』に絶望したっーー!!」
可符香 「そんなことはありません!」
望 「出ましたね、風浦さん!」
マ太郎 「先生、ネツ出てるけド、言うほどいつもと変わらないじゃないカ」
晴美 「これがさよなら絶望先生の王道パターン!」
奈美 「メタいよ⁉︎」
望 「……で、風浦さん、何がそんなことないんでしょうか?」
可符香 「先生、だって考えてもみてください!根本が同じだということは、根っこが繋がっているということです!つまり、孤立化が進んでいると懸念されている現代は、杞憂に過ぎなかったということです!!」
可符香 「みなさん元々、母親のお腹の中という宇宙にいました。そして、そこでは確実にみんな一心同体!!手を取り合っていたはずなんです!そう、根本はみなさん一緒なんです!!」
あびる 「……なんかちょっと、ドグラ・マグラみたい」
望 「……確かにそうですね!なんて素敵なんでしょう、『根本が同じな話』!私も孤立していたようで実はみんなと手を取り合っていたのですね!」
奈美 「先生が可符香ちゃんに反論しない⁉︎」
まとい 「きっと熱のせいで曲がった性格が回復したんでしょう」
望 「あっ、常月さん。ちょうど良かった、みんな揃っているようですし授業をしましょう! 今日は人権をメインに道徳授業を展開させていきましょう!」
あびる 「違和感しか感じない」
まとい 「いたんですか、ええずっと。のくだりがないだけでこんなにつらいなんて!!」
晴美 「まずい!さよなら絶望先生の二次創作小説として軸がぶれている!」
奈美 「だからメタいって⁉︎」
可符香 「なるほど!今回の話は根本が同じという話!ということは多少雰囲気が変わっても根本は変わらないというところを見せてやろうってことですね!」
望 「じゃあ授業を始めます!」
望 「かつてフランス革命という革命がありましたが……」ごにょごにょ
千里 「……」カリカリ
可符香 「先生の喋る声と生徒が鉛筆でノートを書く音だけが響く授業!なんて授業らしい授業なんでしょう!」
望 「日本国憲法の前文には……」ごにょごにょ
マ太郎 「不安しかないケド、もうオチダヨ」
望 「……では今日の授業は終わります」 ガラッ
あびる 「先生、帰っちゃった」
可符香 「……どうでした、マリアちゃん!根本は変わってなかった?」
マ太郎 「むしろ見た目やらキャラは変わってなかったケド、根本が変わっちゃってたカラ、絶望先生の二次創作だと思えなかったヨ!」
奈美 「やっぱり今回はメタすぎる!!」
可符香 「そっかぁ……根本、変わっちゃってましたかぁ」
マ太郎 「あっ」
晴美 「どうしたの?」
マ太郎 「でもオチてないところは、変わってなかったヨ」
あびる 「嫌だなあ、そんな根本」
国家秘密をふとしたきっかけで知ってしまった望。スパイが何人か送り込まれた、という情報が望のところにも知らされる。そのせいでさらに人間不信!クレープ屋の店員も信じれず、服屋の店員も信じれず、あげくには親戚すら信じられなくなってしまった。そこに「俺だよ、俺っ!」という電話が!人から避けて人に飢えていた望は、その息子と名乗る人間に結婚してないくせにお金を渡してしまう。おかげで人間不信は加速していくばかりであった……。
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望 「……」ふらふら
奈美 「先生どうかしましたか?」
望 「……」 バタン
奈美 「って先生⁉︎」
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宿直室
ガラッ
奈美 「霧ちゃん!大変!」
霧 「……どうしたの?」
奈美 「先生が倒れた!!」
霧 「えっ」
奈美 「……先生大丈夫かな」
ピピッ
霧 「38.5度、熱がある……」
ガラッ
千里 「先生が倒れたと聞いて!」
ガラッ
まとい 「薬買ってきたわ!」
ガラッ
愛 「大丈夫ですか、先生!」
奈美 「続々と!」
ガラッ
あびる 「ていうかまといちゃんいつの間に薬買ってきたの?流石に早くない?」
まとい 「……先生の様子、ちょっと前からおかしかったからもしかしたらと思って買いに行ってたの。その間に倒れるなんて思わなかったけど」
霧 「……ありがとう、薬買ってきてくれて」
まとい 「……当たり前のことよ」
パチっ
千里 「先生が目を覚ましたわ!」
奈美 「大丈夫ですか先生⁉︎」
望 「……み、みなさん。ええ、私は大丈夫です、それよりそろそろ授業の時間ですね。行かなければ」
霧 「ちょっと⁉︎ 先生、そんな体じゃ無理だよ!今日は休まないと!」
望 「……いや、仮にも私は教師ですから、しっかりしないと」
あびる 「……なんて教師の鑑」
千里 「……でも、おかしくない?」
一同 「えっ」
千里 「あのメンタルチキンな先生が、風邪に倒れても授業をしようとするなんておかしい!!普段の先生ならとっくに心が折れて逃げてるわ!」
あびる 「それにそもそも先生は一時限目から授業はしない」
奈美 「……じゃあこの先生は偽者⁉︎」
霧 「……いやそれは流石にないでしょ」
千里 「じゃあ一体この現象はどう説明がつくの!!」
可符香 「先生はですね〜」
奈美 「あっ、可符香ちゃん」
可符香 「38.5度以上の熱になると、比較的真面目かつ天才になるのです!!」
奈美 「改蔵かよっ⁉︎」
晴美 「……先生が前の回でやけに真面目に授業していたのはその時にもう微熱だったから、か」
カエレ 「でもそれってどうなの?」
奈美 「何が?」
カエレ 「確かに先生は先生かもしれないけど、本来の先生じゃないなら、あながち偽者、もとい別人と捉えても間違いではないんじゃないか?」
あびる 「……流石多重人格者」
奈美 「うーん。でも本当にそれはどうなんだろう? だって先生は先生でしょ? 根本は変わんないじゃない?」
千里 「いやむしろ人格が人の根本なんだから、それが違うんじゃ根本から変わってるんじゃないの?」
望 「根本がどうのこうのという話は、実は世の中に多くあります」
あびる 「いや先生の話なんだけど」
望 「ちょうどいい、今日の授業のテーマはそれにしましょう!」
霧 「だから先生!今日は休まないと!」
千里 「……気になるわね、根本の話。」
千里 「私も今まで桜の根本とかに埋めてきたし」
望 「それは『こんぽん』ではなく、『ねもと』でしょ⁉︎ それに何を埋めてきたというのですか!!」
あびる 「……先生、世の中に溢れている根本の話って例えばどんなのなの?」
望 「例えば規模が違えど根本が同じという話!」
奈美 「どういうこと?」
望 「世の中には状況や規模、場合が違くとも、つまりは何が問題なのか、重要なのか、という根本は一致してるという話があるということです」
奈美 「お好み焼きとパスタは全然違うのに、同じ小麦粉がメインとか?」
望 「……違いますが、日塔さんはその解釈で構いません」
望 「なんたる『根本が同じな話』の多いことか!」
・政治家同士の喧嘩と子供の喧嘩
・世界で起こる差別とクラス内のいじめ
・改蔵でも先生でも羅列ネタは変わらず
・受験社会と格差社会
望 「しかも根本がどうのこうという話は基本的に悪い話のときに出てくるのです!」
奈美 「……なんで?」
望 「例えば幸せな話、良い話では根本を見るよりもその表面を見ます。だって多くのいい話って根本を見てしまえば大体一緒でしょ?『幸せっていいね』これを伝えたいだけです」
晴美 「合ってるかもしれないけど、言い方があるでしょ」
望 「……ですから良い話は基本、その根本をどう伝えるか、どんな例を出して共感を得るか、そこに重心を置きます。一方、悪い話の方は多くの人間が根本を見ようとします!!何故なら悪いことが起きたら、まず原因をみなさんは見るからです!」
あびる 「悪いことは無くすべき。だからみんなまずは原因を調べる。それで多くの社会問題の根本は全部同じだ、とか言う」
望 「その通りです!幸せな話は皆そのままで良いと思いますから、あえて根本を掘り返そうとはしません!だから根本がどうのこうのと言う話は、悪い話のときに出てくるのです!」
望 「絶望したっーー!!悪い話のときに毎度現れる『根本が同じな話』に絶望したっーー!!」
可符香 「そんなことはありません!」
望 「出ましたね、風浦さん!」
マ太郎 「先生、ネツ出てるけド、言うほどいつもと変わらないじゃないカ」
晴美 「これがさよなら絶望先生の王道パターン!」
奈美 「メタいよ⁉︎」
望 「……で、風浦さん、何がそんなことないんでしょうか?」
可符香 「先生、だって考えてもみてください!根本が同じだということは、根っこが繋がっているということです!つまり、孤立化が進んでいると懸念されている現代は、杞憂に過ぎなかったということです!!」
可符香 「みなさん元々、母親のお腹の中という宇宙にいました。そして、そこでは確実にみんな一心同体!!手を取り合っていたはずなんです!そう、根本はみなさん一緒なんです!!」
あびる 「……なんかちょっと、ドグラ・マグラみたい」
望 「……確かにそうですね!なんて素敵なんでしょう、『根本が同じな話』!私も孤立していたようで実はみんなと手を取り合っていたのですね!」
奈美 「先生が可符香ちゃんに反論しない⁉︎」
まとい 「きっと熱のせいで曲がった性格が回復したんでしょう」
望 「あっ、常月さん。ちょうど良かった、みんな揃っているようですし授業をしましょう! 今日は人権をメインに道徳授業を展開させていきましょう!」
あびる 「違和感しか感じない」
まとい 「いたんですか、ええずっと。のくだりがないだけでこんなにつらいなんて!!」
晴美 「まずい!さよなら絶望先生の二次創作小説として軸がぶれている!」
奈美 「だからメタいって⁉︎」
可符香 「なるほど!今回の話は根本が同じという話!ということは多少雰囲気が変わっても根本は変わらないというところを見せてやろうってことですね!」
望 「じゃあ授業を始めます!」
望 「かつてフランス革命という革命がありましたが……」ごにょごにょ
千里 「……」カリカリ
可符香 「先生の喋る声と生徒が鉛筆でノートを書く音だけが響く授業!なんて授業らしい授業なんでしょう!」
望 「日本国憲法の前文には……」ごにょごにょ
マ太郎 「不安しかないケド、もうオチダヨ」
望 「……では今日の授業は終わります」 ガラッ
あびる 「先生、帰っちゃった」
可符香 「……どうでした、マリアちゃん!根本は変わってなかった?」
マ太郎 「むしろ見た目やらキャラは変わってなかったケド、根本が変わっちゃってたカラ、絶望先生の二次創作だと思えなかったヨ!」
奈美 「やっぱり今回はメタすぎる!!」
可符香 「そっかぁ……根本、変わっちゃってましたかぁ」
マ太郎 「あっ」
晴美 「どうしたの?」
マ太郎 「でもオチてないところは、変わってなかったヨ」
あびる 「嫌だなあ、そんな根本」