番外編 『可符香の部屋』

文字数 3,232文字

ルルルールルルー

可符香 「今回のゲストは……まといちゃんです!!」

まとい 「よろしくお願いします」

可符香 「さてどんなトークをしましょうか! やっぱりあれですかね〜先生のことですかね??」

まとい 「まあそれしかないでしょうね」

可符香 「じゃあ早速。ズバリ! まといちゃんは先生のどこが好きなんですか!!」

まとい 「愚問ね、全部よ」

可符香 「具体的には?」

まとい 「まずは優しいところ、守ってあげたくなるところ、なんやかんや素直なところ、生徒思いなところ、セールスマンを冷たく追い払えないところ、ティッシュ配りの人に遠慮していくつもティッシュをもらっちゃうところ、金持ちなのにケチなところ、好きな女優とかが恥ずかしくて言えないところ、無駄にプライドが高いところ、ロープの品質にやけにこだわるところ、昔はやんちゃしてたところ、派手な眼鏡は恥ずかしくてかけられないと……」

可符香 「以上です!」

ルルルールルルー

可符香 「今回のゲストは……マリアちゃんです!!」

マ太郎 「ところでこの番組に出たラお菓子もらえるの本当カ?」

可符香 「本当ですよ、はいどうぞ」 サッ

もぐもぐ

可符香 「ところでマリアちゃん」

もぐもぐ

可符香 「……あのねマリアちゃん?」

もぐもぐ

可符香 「そんな急いで食べなくても大丈夫だよ?」

もぐもぐ

可符香 「以上です!」

ルルルールルルー

可符香 「今回のゲストは……千里ちゃんです!!」

千里 「よろしくお願いします。」

可符香 「じゃあ趣味でも聞きましょうか!」

千里 「趣味は国勢調査。」

可符香 「えっ?」

千里 「いざという時のためにね。」

可符香 「いざという時というのは……?」

千里 「そりゃあもちろん××××」

可符香 「国によって消されないために……以上です!」

ルルルールルルー

可符香 「今回のゲストは……霧ちゃんです!!」

霧 「えっとこれは……?」

可符香 「徹子の部屋ならぬ可符香の部屋です!!」

霧 「なんでわざわざ宿直室でするの?」

可符香 「そりゃあ……先生に見せつけるためですよ!!」

望 「正直困るのですけど……」

可符香 「好きな食べ物はなんですか!」

望 「ってスルーしないでください⁉︎」

霧 「しかも意外とベタな質問」

可符香 「ちなみに私はいちごが好きです」

霧 「あっしかもそっちが答える感じなの」

可符香 「以上です!」

望 「終わらせないでくださいっっ!!」

ルルルールルルー

可符香 「今回のゲストは……芽留ちゃんです!! さてさて! どんなトークをしましょうか!」

芽留 「……」もじもじ

可符香 「……」

芽留 「……」もじもじ

可符香 「以上です!」

ルルルールルルー

可符香 「今回のゲストは……愛ちゃんです!!」

愛 「すいません! すいません! こんなオーラもないような人間が、大人気企画である可符香の部屋に出るなんてなんとも図々しいことです。すいません! すいません!」

望 「大人気企画なんですか、これ」

可符香 「じゃあまずは何を話そうかなぁ〜愛ちゃんの好きな人とか??」

愛 「えっ」

可符香 「発表しちゃいましょうよ!」

愛 「えっ、その、あの……」
(で、で、でも目の前に先生が……!!!)

可符香 「レッツ発表です!!」

愛 「無理です!! 私にはそんな勇気ありませんっ!!」

サッ

ガラッ

望 「加賀さん出て行ってしまいましたね……」

可符香 「以上です!」

ルルルールルルー

可符香 「今回のゲストは……桃色係長です!!」

望 「そのあだ名で呼ばないでくださいっ!」

可符香 「さてさて! 何を話しましょうかね〜」

望 「特に話すことなんてありませんよ。まあ……あえて言うことがあるなら、このまま企画をやられるのは少し困るということですかね……」

可符香 「そうですか……」

望 (って風浦さんがすねている⁉︎ ま、ま、まずいですよ、このままじゃ『生徒に心ない言葉を発言した教師』としてアンケートに書かれ、マスコミに盛るに盛られた挙句、先生をクビにされるかもしれません!! いや最悪、逮捕の可能性だって……。薬をやったミュージシャンでも、ツイッターで暴言を放った政治家でもないのに! 逮捕されるかもしれません!!)

望 「べ、別に私は風浦さんの企画が悪いとは思ってないんですよ? むしろ生徒の色んな面を見ることができるし、とても素晴らしい企画だと思っています! た、ただですね、やはり宿直室でやるのは問題かなと……」

可符香 「私はみんなが楽しいかなぁと思ってやってたのに」

望 「なっ」

奈美 「可符香ちゃん、かわいそう」

あびる 「かわいそう」

晴美 「かわいそう」

千里 「まさに外道。」

望 「ひっ」
(アンケートに書かれる→先生クビ、生徒にツイッターで呟かれる→先生クビ、生徒に嫌われる→心折れて先生引退……。どれにせよこのままじゃアウトじゃないですか! どうにかしないと)

望 「ち、違うんですよ。ほ、本当に風浦さんの企画は素晴らしいと思いますし……」

可符香 「なら続けますね!」

望 「いやあのそれはちょっと」

可符香 「ダメなんですか……?」

望 「えっと、そのぉ……」

奈美 「可符香ちゃん、かわいそう」

あびる 「かわいそう」

晴美 「かわいそう」

千里 「さらに外道。」

望 「そ、そんな!!」

千里 「これはPTAに直訴しないといけないわね。」

望 「ひっ、このままじゃ本当に先生の道が閉ざされてしまいます!!」

まとい 「先生。ここは一旦折れる方が賢明だと思います」

望 「い、いたんですか」

まとい 「ええ、ずっと」

望 「確かにここは折れて、風浦さんに合わせる方が賢明かもしれません……」

千里 「では先生。生徒の総意に基づいて、PTAに直訴する方向に……。」

望 「わ、分かりました! 風浦さん! 良いですよ、良いです!! 可符香の部屋、せっかく素敵な企画ですから、続けても構いません!」

可符香 「本当ですかぁ!」パァ

望 (なんて眩しい笑顔⁉︎ これじゃますます辞めさせられなくなってしまうじゃないですか……)

可符香 「……ありがとうございます、先生。嬉しいです!」

望 「なら良かったです……」
(やれやれ。仕方ないですね……)

可符香 「では以上です!!」

ルルルールルルー

可符香 「今回のゲストは……奈美ちゃんです!!」

奈美 「へへっ。楽しそうだから来ちゃったよ」

可符香 「じゃあ何から話しましょうか?」

奈美 「なら私から話してもいい??」

可符香 「もちろんです!」

奈美 「こないだ超面白いことがあってね」

望 (自らハードルを上げるスタイルですか)

奈美 「……でね、そしたらその猫、ワンっ!って吠えたの! 猫なのにワンっ!だよ?? 超面白くない??」

望 (しかも大して面白くなかったですね)

奈美 「それでね、後で聞いた話なんだけど」

望 (内容が微妙な上に無駄に長い)

奈美 「まあ面白かった!って話!」

望 (結局はオチなしですか)

可符香 「……先生」

望 「なんですか、風浦さん」

可符香 「先生に頼んでまで続けることにした可符香の部屋なんですけど……申し訳ないですがもう辞めますね」

望 「それが賢明ですよ……」

こうして可符香の部屋は終了した。短い期間ではあったが、可符香の思いつきで始まったこの企画、意外にクラスメイトは楽しんでいた……。地味に望も途中から楽しくなっていたのは秘密である……。





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