居残り宇座亭

文字数 3,074文字

ガラッ

木胡桃 「みんなはアウトドア派? それともインドア派?」

魔梨威 「つまんねーこと聞くなよ!」

手寅 「……私はインドア派かな。日々テレビ見たり本読んだりして過ごしてるし。キグちゃんは?」

木胡桃 「うーん、私はアウトドア派かな!東京ネズミ帝国とかしょっちゅう行くもん!」

苦来 「……またギリギリな名前を」

魔梨威 「そんなに楽しいか?その東京ネズミ帝国ってやつは!キグは他にはどんなところに行ってるんだ?」

手寅 「きっとキグちゃんのことだから可愛らしい所に違いない!」

木胡桃 「サンリオピューロランドかな!」

手寅 「流石キグちゃん!可愛らしい!」

魔梨威 「キグは可愛いなぁ」ナデナデ

木胡桃 「……ふっ、チョロい」ぼそっ

手寅 「丸ちゃんは?」

丸京 「……私もアウトドア派かな」

魔梨威 「へぇ。お前はどこに行くんだ?」

丸京 「……まあ東京の色んなところとか、他の県も色々行くかな」

魔梨威 「へぇ。まあいいや、次くくる」

丸京 「ちゃんと聞けよ!!」

魔梨威 「ああ、ごめんごめん。あんまり興味なくてさ」

手寅 「マリーさん!そんなこと言ったらまた殴られるわよ!」

魔梨威 「まあそれもそうか」

丸京 「もう遅い」 ドシッ

バタッ

木胡桃 「マリーさんが倒れた⁉︎」

手寅 「……そういえばくくるちゃんはアウトドア派?インドア派?」

苦来 「……私はインドア派かな。あんまり外に出たくないし」

木胡桃 「でもくくるちゃん!外は楽しいよ?」

木胡桃 「さっき言った東京ネズミ帝国だってすごく面白いんだよ?」

苦来 「……でも私、人混みが苦手だから」

魔梨威 「そういえばあそこって東京じゃなくて千葉だよなー」

手寅 「マリーさんいつの間に⁉︎」

魔梨威 「なんで東京ってついてるんだ!千葉なら千葉ネズミ帝国で良いじゃないか!」

苦来 「……確かにそう。あそこは千葉なのに、東京と名乗ってる!これじゃドイツ村と同じじゃない!おかしい、何かがおかしい!」

手寅 「……東京は千葉のスポットすら東京を誇示している、まさに知名度の横取りね!」

丸京 「ということは東京は千葉に借りがある?」

魔梨威 「つまり千葉は東京に恩を与えてるってことだな!」

苦来 「……でもそれって逆にも捉えられない?」

手寅 「どういうこと?」

苦来 「東京の名前を利用して千葉が儲かっている、とも考えられない?」

魔梨威 「ってことは東京が千葉に恩を与えてるってことか?」

木胡桃 「一体どっちが恩を与えて、どっちが恩を受け取ってるの⁉︎」

丸京 「……ややこしいことになってきたな」

手寅 「うーん。これはちょっと難しい問題よね。世の中には結果的にどっちが恩を与えて、どっちが恩を受け取ってるのか、分かりにくいものがあるもの」

魔梨威 「例えば何だ?」

手寅 「例えば先生と生徒!本来なら教える側の先生が恩を与える側で、教えられる側の生徒が恩を受け取る側なんだけど……」

苦来 「先生がむしろ生徒に教えられることの方が多いって話、よく聞くよね」

丸京 「ますます複雑なことに」

魔梨威 「……そういえば」

手寅 「どうしたの?マリーさん?」

魔梨威 「アウトドア派とインドア派は社会に恩を与えてるのか⁉︎ それとも恩を受け取ってるのか⁉︎」

苦来 「……少なくともインドア派は社会に貢献してると思うけど」

木胡桃 「どうして?」

苦来 「インドア派といえば、ネット。で、今の時代はネット社会。つまりネットを使いこなすインドア派の方が今の時代に合ってるってこと!」

魔梨威 「でもそれって働いてない人も多くインドア派ってことだろ? 働いてないんじゃ社会に貢献してないんじゃないのか?」

苦来 「……でもインドア派の方たちがアニメやら漫画やらにお金を使ってくれてるから日本経済は成り立ってるとも言われてるし」

手寅 「確かに今じゃアニメ文化は外国でも人気が高いよね? 日本経済の中心と化してるといっても過言じゃない!」

魔梨威 「でもそんなこと言ったら、アウトドア派だって負けてないぞ!」

木胡桃 「うん!アウトドア派の人たちが観光名所をまわったり、遊園地に行ったりするだけで、十分社会に貢献できてると思うよ!」

丸京 「でもそんなこと言ったらオタクの聖地巡回はインドアなのか? アウトドアなのか?」

手寅 「……微妙なラインの話はとりあえず放っておいて、一応私はインドア派だからインドア派を支持するコメントをするわね!」

苦来 「……頑張って」

手寅 「インドア派はアウトドア派よりも社会に迷惑をかけてない!なぜなら安全だから!」

魔梨威 「どういうことだ?」

手寅 「アウトドアには必ず危険が伴う。そして、事故に遭うことだってしばしばあるわ!それに比べインドア派は安全。レスキュー隊も必要ないし、テレビで報道されることもない!つまり比較的周りに迷惑をかけていないということ!だからまだアウトドア派よりは社会に貢献してるはずだわ!」

丸京 「いや!その考えはおかしい!例えばインドア派だってネットやらツイッターやらを荒らして周りに迷惑をかけてるやつがいるじゃないか!」

苦来 「……ていうかさっきから、アウトドア派、インドア派というよりも、本当に一部の人の話をしてない?」

魔梨威 「待てよ、みんな!一回落ち着こうじゃないか。ここは多数決で決めよう!アウトドア派、インドア派、どちらの方が社会に恩を与えてるのかを」

木胡桃 「私もそれ賛成です!!」

手寅 「……分かったわ、そうしましょう」

シーン……

魔梨威 (よし!上手くいったな!私はもちろんアウトドア派だからな、で、くくるとテトラがインドア派、丸京とキグがアウトドア派だから、この勝負確実にもらったぁぁ!)

魔梨威 「じゃあまずはアウトドア派、手を挙げて!」

丸京 「はい」

木胡桃 「はい!」

魔梨威 「はい!!」

魔梨威 「じゃあ次はインドア派!」

苦来 「……はい」

手寅 「はい!」

覆面 「はい」

魔梨威 「なるほど、なるほど。3対3で引き分けか……って何でだよ⁉︎」

木胡桃 「引き分けって結局どっちなの⁉︎」

苦来 「……でも実は引き分けで良かったのかも」

丸京 「なんで?」

苦来 「インドア派もアウトドア派も社会に貢献してる面もあれば、社会に損を与えてる面もある」

魔梨威 「要するにどっちもどっちってことかい!」

手寅 「今更どっちの方が良い、悪いを決めること自体が間違ってたのかもね」

魔梨威 「……悪かったよ。インドア派のこと悪く言って」

丸京 「どっちも大事だよな、インドア派もアウトドア派も!」

木胡桃 「本当に引き分けで良かったです!!」

手寅 「じゃないと気づけなかったもんね!」

苦来 「……これで平和に終わ」

? 「はい!」

一同 「えっ」

ウザンヌ 「私はアウトドア派です!!」

魔梨威 「う……うぜぇぇ!!」

苦来 「いい感じに終わりかけたのに!」

手寅 「台無しよ!」

・ ・

ウザンヌ 「みんなー!私のために最後まで見てくれてありがとう!!」

苦来 「いや違うでしょ」

ウザンヌ 「あっ、私に惚れちゃった感じですか〜?」

魔梨威 「うぜぇぇぇ!」
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