『また飽きの季節がやって来た。』

文字数 2,928文字

前巻までのあらすじ

カスカベ市にやって来た望。そこに五歳児とは思えない五歳児が現れる。どうやらその子供は望ではなく、望の後ろにいる女性に興味津々らしい。一方、望はその子供にも後ろの女性にもあまり関わりたくない気持ちだったので、ちょうどいいと考えて、女性がその子供に無理やり話しかけられて困っている瞬間を狙い逃走した。しかしこの街は実に恐ろしい。「悪魔の靴下」や「極道が園長の施設」、「すぐにもなだれが起きそうな押入れ」望は慌ててその街から抜け出したが、次に迷い込んだのは事件率ナンバーワンの杯戸町という町だった……。めでたし、めでたし。

・ ・

あびる 「……あれ、千里ちゃんは?」

望 「連絡が入りました。木津さんは今日は休みです」

奈美 「千里ちゃんが休み⁉︎ 世界の終わりかっ⁉︎」

望 「……急に木津さんのお姉さんが帰って来たらしいです」

晴美 「あっ、なるほど」

望 「それにしても」

望 「九月ですね。九月は秋というより、飽きの季節です!!」

・受験勉強に飽き飽き

・悪いニュースにもう飽き飽き

・政治家やらスポーツ協会やらの汚職に飽き飽き

・HUNTER×HUNTERも宮崎駿も銀魂も辞めたり再開したり飽き飽き

望 「絶望したっーー!!同じ物事が短期間に何回も起きるがために飽きてしまう『飽きの季節』に絶望したっーー!!」

あびる 「……展開が早くない?」

奈美 「……それに今回は千里ちゃんがいないから猟奇オチもできないし、急にどうしたの!!作者は」

可符香 「読者に毎回同じ展開で飽きさせないために、作者もいろいろ工夫してるのです!!」

奈美 「あっ、可符香ちゃん」

晴美 「……なるほど。それで今回は千里を呼ばないことで猟奇オチを事前に回避したってことか」

マ太郎 「不思議だけド、今回も猟奇オチの気がするヨ!」

可符香 「ところでみなさん。」

奈美 「えっ、何、可符香ちゃん」

可符香 「秋といえばなんでしょうか!!」

あびる 「……読書の秋?」

晴美 「……芸術の秋」

奈美 「……食欲の秋!!秋になると、お腹がやけに空いちゃうもん!」

あびる 「……奈美ちゃんはそうでしょう」

可符香 「なるほど、なるほど! 読書の飽き、芸術の飽き、食欲の飽きですね!!」

望 「……漢字が違いますけど」

あびる 「元々先生が、秋と飽きをかけてたけどね」

可符香 「飽きの季節。ならば私たちも全力で物事に飽きなければいけません!!」

望 「いや飽きが多い季節という意味で使ったのであって、別に飽きをしなきゃいけない季節だということではありませんよ⁉︎」

可符香 「いえいえ。先生、自分の言ったことには責任を取ってください!今からあらゆる飽きを探して行きますよ!!」

マ太郎 「……やっぱり猟奇オチにむかってるヨナ」

可符香 「ではまずは晴美ちゃん!!」

晴美 「えっ」

可符香 「芸術の飽きなので、漫画を描くのに飽きてください!!」

晴美 「できるかぁぁ!」

可符香 「いえ、飽きていただかないと困ります!!仕方ありません、少しこちらに……。」

晴美 「こ、こっちに来ないで!!」

可符香 「三日間この部屋に閉じ込めます!!」

奈美 「ってちょっと、可符香ちゃん⁉︎」

可符香 「中にあるのは漫画を描く道具だけ。三日間ずっと漫画を描いていれば飽きるに違いありません!」

あびる 「……普通に締め切り前の漫画家の缶詰め」

晴美 「いやだぁぁ!!」

可符香 「そして次は奈美ちゃん!」

奈美 「えっ」

可符香 「こちらにとあるバイキングの無料券があります。」

奈美 「えっ!!」

あびる 「……ちょっと嬉しそう」

可符香 「バイキングといえど、ずっと食べていたら飽きるに違いありません!食欲の飽き、ですね!」

奈美 「こ、困るなぁ」

あびる 「……やっぱりちょっと嬉しそう」

可符香 「さて次はどうしましょうか?」

あびる 「……展開の飽き」

まとい 「それだけは言っちゃいけません!!飽きのくだり自体がもう飽きだとか言っちゃいけません!」

あびる 「そこまで言ってないけど」

望 「いたんですか」

まとい 「ええ、ずっ」

可符香 「このくだりも毎度毎度です!!まさに展開の飽きですね!!」

まとい 「最後まで言わせてよ⁉︎」

あびる 「……とりあえず展開の飽きはまずいから、一旦このくだりは止めようよ」

3日後

望 「……さて、どうなったのでしょうか?」

ガチャ

晴美 「漫画……漫画を描くの楽しいなぁ。漫画を描くの楽しいなぁ。今日も明日もずっとずっと……幸せだなぁ」

カキカキ

あびる 「……飽きどころか一種の中毒症状化してる」

望 「……さて、日塔さんはどうなってるのでしょうか?」

カエレ 「見ないふりしやがった!」

奈美 「……先生!」

望 「この声は日塔さ……えっ」

ぽにょん

奈美 「やっぱり私には無理でした!美味しいものをいっぱい食べたい、ってよくみんな言うけど、いっぱい食べたら美味しく感じません!」

あびる 「……にしては体型が変わってるけど」

望 「何も変わらない、普通の日常が素敵なのですね」

芽留 『見ないふりしてんじゃねぇよ!』 メルメル

千里 「あれっ、みんなどうかしたの?」

奈美 「あっ、千里ちゃん!!」

千里 「……日塔さん、いつも通りね。」

あびる 「謎のフォロー」

奈美 「いつも通りって言うなぁ!」

あびる 「そして謎のツッコミ」

千里 「……そういえば、晴美は?」

奈美 「あっちに!」

晴美 「漫画描くの楽しいなぁ。幸せだなぁ。もっと、もっと、もっと、描かないと!描かなければ!」

千里 「って何よ、あれ⁉︎」

奈美 「色々あって……」

千里 「誰が原因よ⁉︎」

あびる 「……可符香ちゃんかな。あれっ、可符香ちゃんがいない」

千里 「じゃあ次に原因なのは⁉︎」

あびる 「……先生かな」

奈美 「うん。先生」

望 「なんでですか⁉︎ 今回に関しては全く私のせいではありません!!」

千里 「……先生、晴美をあんな風にして、今回ばかりは許しませんよ?」

望 「だから私のせいではないです!!それにいつも木津さんは私のことを許さないじゃないですか⁉︎」

千里 「黙って裁きを受けろっ!!」

望 「ひっっ!!」

・ ・

マ太郎 「ってやっぱり猟奇オチじゃないカ!展開の飽きダヨ!!」

奈美 「……あれっ、少し太ったかなぁ。少し食べちゃったからなあ」

あびる 「奈美ちゃんはそうでしょう」

まとい 「……今日も出来なかった」

晴美 「漫画を、漫画を私に描かせてください!!先生、漫画が描きたいです!」

・ ・

ペラッ ペラッ

あびる 「やっぱり読書の飽きだけはないなぁ。本は本当にいっぱいあるし、飽きることなんてない」

マ太郎 「でもこの二次創作小説の『読者』の飽きはあるんじゃないカ?」

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