第31話 中秋の名月

文字数 408文字

 近くに中央分離帯の低木でもあれば、草も生えているだろうが、
住まいの近くには草もない。車の駆け抜ける騒音を聞くだけが日常になり、
ひぐらしの声も聞くことなく暮らしている。
芒を探して中洲の土手へ行く。ネコジャラシイと名も知らぬ秋草を持ち帰った。
 遮るものは何もない東の窓辺に、円形の小さいテーブルを出し白い布をかけた。
芒の代用品を活け、団子も配した。後は、ワクワクと月の出を待つばかりだ。

 濃い、薄い雲に覆われて次は顔をを出さない。月に叢雲なんて詩的な月ではないが、
雲の晴れ間から少しだけ姿を表した幻想的なこの月の月。 瞬時、月明かりが暗くした
部屋を照らした。
 日常のリズムを少し変えただけでも、酷暑に耐えた体には血流がよくなったように
感じる。こ雲は遅々と流れ月、はすぐ隠されてしまった。
 
 諦め、食卓へ草花と団子を移して、ゆっくり食べた。
 翌朝5時、西の空にまんまるい名月を見た。どうしてだろう?月は遠く小さく感じた。


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