第14話 挨拶

文字数 325文字

 亡夫が小学校を卒業して何回目かの同窓会。
戦争を挟むでいるから、同窓会が始まったのは戦後、経済が
落ち着いてからだろうと思う。

 いつからか、同窓会の挨拶は、その年に1番輝いた者がする
のが暗黙の了解だったようだ。

 口下手で、注目されるのは苦手な亡夫が、
「今年は挨拶が回ってきた。仕方ないけん簡単にやるわ」
組1番のわんぱく坊主だったという、亡夫は取った顔をして
はにかんでいた。
 逆算したら卒業から37年目の同窓会。
 長かった苦節を思い出した。ほんとにご苦労さんでした。
亡夫の心中を察して私も胸が熱くなった。

 「おとご『末っ子』の15は世の盛り」と言った
祖母の言葉が脳裏をよぎる。末っ子は丁度15歳だった。
 
 人生で1番よかった頃。遠い昔に残した1つの足跡。

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