第4話 三拍子と棚行

文字数 398文字

 飲む、買う、打つの三拍子揃いの親父にもいいところがある。
親孝行と先祖を尊ぶことだ。祖先、子孫、美風というか。
 夏休み中に棚行の行事がある。他家はほとんど年寄りの守備範囲
である。が、親父は子供たちを引き連れて棚行に行く。
 子供たちが成長するに従い、家族総出のこの棚行は、恥ずかしい。
理由をつけて、一人減り、二人減り最後に夫婦二人になった。

 長男が結婚し四人の孫が生まれた。
「親の背」を見て暮らした息子。但しこの息子、真面目で勤勉、鬼子だ
自分も同じように四人の子供を引き連れて恒例の棚行にゆく。
恥ずかしいと訴えていた孫娘がまず「クラブを抜けられない」と
棚行を卒業した。次々ともっともらしい理由をつけて欠けていった。
遂に親と同じく息子も夫婦二人きりになった。
 歴史は繰り返されるというが、孫息子も同じように
子供を連れて墓参するのだろうか?
 その時私は「よう来たのう。ありがとう」と、言っているだろう。
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