第40話 何してたんだ

文字数 1,221文字

 NHKのほめる人、ほめられる人、を偶然見た。
おもちゃ合戦をしてをしていると知った。
今の子供に何が求められるか。何が好まれるか。
企業としては新しい開発に社運を賭けるか。
 
 私は子供に何のおもちゃを与えたのか。
 長男の小さい頃は哲人28号で一人で遊んでいた。
それも夫が買ったものである。
 長女は絵本が好きで数ない絵本を回し読みしていた。
就学してからは、図書室や図書館の本をずいぶん読んだようだ。
本は借りて読むものが我が家の常識になった。
ところが常識はずれが現れた。馬鹿親はそのことさえ知らなんだ。
 二男は気がついたら、ザリガニ取りと、かぶと虫に夢中
になって、知らぬ間に少年期を迎えた。 
 貧しかった、忙しかったでは、片付ける問題ではない。
 私は褒められない人の筆頭に立っている。
子供は元気が一番。手間暇かからないのが二番。
 二男の一年生の一学期の通信簿を見て、愕然とした。
評価は5段階でつけてある。総て五の中に国語は2である。
どうして、こんな評価?バカ親は何も分かっていなかったのだ。
急いで、夏休み中の大学生の姪に来てもらって特訓を受けさせた。
なんとか普通になったかと思ったが、山は高い。
次男の国語を除いて三人とも成績だけはよかったから、
ほったらかし親になり、それが私なりに普通になった。ただ、
二男にだけは勉強しなさいとは言わず、国語の勉強しなさい。と言う。
漢字を2〜3行書いて「勉強は済んだと遊びに飛び出した」
親も親なら子も子である。
 長女は病弱で、食が細く、いつも風邪をひいて医者がよいをして、
腺の細い子供だった。普段はほったらかしといて病気になったら
あたふたする母親を、冷静に見ていたらしい。
また、何を聞いてきても、今忙しいから「また後で」といっていたと言う。
「母さんに勉強を見てもらった覚えはない」と今も言う。
 
 食が細いから給食は完食できない。
こっそり持って帰って自分の机の引き出しに入れていた。
一番に見つけたのはネズミである。私が見つけた時はネズミの赤ちゃんが
5〜6匹、ひと固まりになっていた。生まれだちだろうつるつるしていた。
店の裏でドラム缶で廃材を燃やしていたのでパンと一緒に、打上段に構えて
燃え盛る日の中に投げ入れた。
 その日の夜。私が怒り出す前に「ネズミの赤ちゃんがいなくなった。母さん
何したん」とべそをかいている。火の中に放り込んだとは言えず川に流した。
 情操教育も何もあったものではない。己を顧みて、この子にはお雛も、
おもちゃも買っていない。奮発して等身大のお人形を買った。
ほかにも人形やぬいぐるみは買ったらしいが、記憶にない。
 3年生の夏休みから水泳の飛び込みに夢中になり、風邪も引かなくなり
元気になった。ピアノと飛び込みは父親と二人三脚で、夫がつき切っていた。
全中でも、インターハイでも上位入賞を果たした。
 父さん好きの娘であった。
 今頃反省しても、何にもならん。私は馬鹿親であった。
あったは過去。今も馬鹿親である。







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