第19話 初めての護符作り
文字数 1,642文字
翌日、アラタは冒険者ギルドの受付にいた。
もちろん仕事である。
アラタはあくびをしながら、教育係のスライムさんに話しかけた。
「教育係のスライムさん、何で僕はEランクなんでしょうか?」
アラタはまた同じことを聞いている。
「ですので、普通、誰でも最初はEランクっスよ」
「では、『備考:職人スキルがあるかも』ってなんでしょうか?」
「それは職人スキルの才能があるかもってことっスね。
そのままの意味っス」
「つまり戦闘スキルや魔導スキルの才能はないってことでしょうか?」
教育係のスライムさんは面倒くさそうな顔をする。
「そういう意味ではないっス。
初めはEランクなんですっス。
クエストをクリアして経験値をつんでいくとランクが上がるっス。
それが普通なんですっス。
備考欄に何か書かれていることも稀なことなんですっス」
教育係のスライムさんは「ああそうだ」と言って『初めての護符作り』という本と『誰でもできる簡単護符作りキット』という箱を持ってきた。
「『備考:職人スキルがあるかも』なら、護符を作ってみるといいっス」
「護符って何ですか?」
「お守りのお札のことっス。うまく作れたらこの受付で売るっス」
「う、売るんですか? そんな勝手なことしていいんですか?」
「勝手ではないっス。
今まで職人スキルのあるヒトがいなかったからやっていなかっただけっス。
どの冒険者ギルドでも売ってるっス」
そんなことも知らないのか? といいたげな口調であった。
「教育係のスライムさん、護符作りなんて面倒くさいです」
「あなたの方が面倒くさいっス。
いつまでも冒険者のランクなんて気にしてるっス」
「教育係のスライムさん、闇ギルドで働いていることギルド長に言いつけますよ」
「あなたこそ、闇冒険者になったっス。
つまり、あなたは犯罪者ですっス。バレたら牢屋に入れられるっス。
あなたの方が罪は重いっス」
そうですか。仕方ないどうせ暇だしと思いアラタは護符を作ることにした。
そして数日、アラタは護符を作り続けた。
受付で売ってみると、なぜかアラタの作った護符は飛ぶように売れた。
毎日のように買っていく人もいたし、冒険者ではない一般の人も買ってくれている。
護符の売れ行きとともに、この冒険者ギルドに登録していく冒険者も増えたので、ギルド長のエイジ・エル・エラルドも喜んでくれたらしく、アラタはちょっと誇らしい気持ちになった。
そうこうしているうちに、翌日が定休日という日の午後に、通信機だという『小さな壺』からクエスト依頼がきた。
クエスト依頼は『ミニデーモンを三匹討伐せよ』というものである。
どうしよう? 初めてのクエストだ。
そうだ、僕には魔導書の精・クロヒメさんがいるんだった。とアラタは思ったのだが、あの日以来、全然出てきてくれない。
どうやったら出てきてくれるのかもよく分からないし。
「教育係のスライムさん、クエスト依頼がきました」
「そうっスか。ちょうどこの冒険者ギルドの定休日に合わせて依頼がくるように、わたしが調整しておきましたっス」
「そうでしたか、それはご丁寧にありがとうございます」
いや、そんなことより初めてのクエスト依頼だ。
どうしたら良いか分からない。
そこへちょうどベアーがやって来たので、アラタは正直に闇冒険者ギルドに登録したことを言ってみた。
「初めてのクエスト依頼でやんすか、そしたらあっしがお手伝い致しやすが」
「ベアーさん、ベアーさん、ありがとうございます! ありがとうございます!」
「親分は武器を何も持っていないでやんすから、とりあえず明日の朝一番に武器屋にいきやしょう」
あ、でも僕、お金ないですよ。とアラタが言ったらベアーが買ってくれるという。
ベアーさん、なんていい人なんでしょう!
アラタは、もう一度、ありがとうございます! と言った。
もちろん仕事である。
アラタはあくびをしながら、教育係のスライムさんに話しかけた。
「教育係のスライムさん、何で僕はEランクなんでしょうか?」
アラタはまた同じことを聞いている。
「ですので、普通、誰でも最初はEランクっスよ」
「では、『備考:職人スキルがあるかも』ってなんでしょうか?」
「それは職人スキルの才能があるかもってことっスね。
そのままの意味っス」
「つまり戦闘スキルや魔導スキルの才能はないってことでしょうか?」
教育係のスライムさんは面倒くさそうな顔をする。
「そういう意味ではないっス。
初めはEランクなんですっス。
クエストをクリアして経験値をつんでいくとランクが上がるっス。
それが普通なんですっス。
備考欄に何か書かれていることも稀なことなんですっス」
教育係のスライムさんは「ああそうだ」と言って『初めての護符作り』という本と『誰でもできる簡単護符作りキット』という箱を持ってきた。
「『備考:職人スキルがあるかも』なら、護符を作ってみるといいっス」
「護符って何ですか?」
「お守りのお札のことっス。うまく作れたらこの受付で売るっス」
「う、売るんですか? そんな勝手なことしていいんですか?」
「勝手ではないっス。
今まで職人スキルのあるヒトがいなかったからやっていなかっただけっス。
どの冒険者ギルドでも売ってるっス」
そんなことも知らないのか? といいたげな口調であった。
「教育係のスライムさん、護符作りなんて面倒くさいです」
「あなたの方が面倒くさいっス。
いつまでも冒険者のランクなんて気にしてるっス」
「教育係のスライムさん、闇ギルドで働いていることギルド長に言いつけますよ」
「あなたこそ、闇冒険者になったっス。
つまり、あなたは犯罪者ですっス。バレたら牢屋に入れられるっス。
あなたの方が罪は重いっス」
そうですか。仕方ないどうせ暇だしと思いアラタは護符を作ることにした。
そして数日、アラタは護符を作り続けた。
受付で売ってみると、なぜかアラタの作った護符は飛ぶように売れた。
毎日のように買っていく人もいたし、冒険者ではない一般の人も買ってくれている。
護符の売れ行きとともに、この冒険者ギルドに登録していく冒険者も増えたので、ギルド長のエイジ・エル・エラルドも喜んでくれたらしく、アラタはちょっと誇らしい気持ちになった。
そうこうしているうちに、翌日が定休日という日の午後に、通信機だという『小さな壺』からクエスト依頼がきた。
クエスト依頼は『ミニデーモンを三匹討伐せよ』というものである。
どうしよう? 初めてのクエストだ。
そうだ、僕には魔導書の精・クロヒメさんがいるんだった。とアラタは思ったのだが、あの日以来、全然出てきてくれない。
どうやったら出てきてくれるのかもよく分からないし。
「教育係のスライムさん、クエスト依頼がきました」
「そうっスか。ちょうどこの冒険者ギルドの定休日に合わせて依頼がくるように、わたしが調整しておきましたっス」
「そうでしたか、それはご丁寧にありがとうございます」
いや、そんなことより初めてのクエスト依頼だ。
どうしたら良いか分からない。
そこへちょうどベアーがやって来たので、アラタは正直に闇冒険者ギルドに登録したことを言ってみた。
「初めてのクエスト依頼でやんすか、そしたらあっしがお手伝い致しやすが」
「ベアーさん、ベアーさん、ありがとうございます! ありがとうございます!」
「親分は武器を何も持っていないでやんすから、とりあえず明日の朝一番に武器屋にいきやしょう」
あ、でも僕、お金ないですよ。とアラタが言ったらベアーが買ってくれるという。
ベアーさん、なんていい人なんでしょう!
アラタは、もう一度、ありがとうございます! と言った。