第16話 魔道具屋の店主
文字数 1,882文字
闇冒険者ギルドへ行こう! とはりきったアラタであったが、闇冒険者ギルドがどこにあるのか知らない。
闇冒険者ギルドってどこにあるんだろう? アラタは、そうだ、女神様に聞いてみようって思ったのだが......いない。
アラタはあたりを見回してみたが、やっぱり、いない。
(どこ行っちゃったんだろう? でもまあいいか。そもそも、なんで僕につきまとっているのかもよく分からないし。いない方が気楽でいいかも......)と彼は思うことにした。
それで、闇冒険者ギルドがどこにあるのか分からないまま、アラタは町の路地を歩き回った。
路地では酔っ払いが立ち小便をしている。
まったくこんな真っ昼間からお酒なんて飲んでと思ったが、アラタは絡まれないようそーっと酔っ払いを避けて歩いていった。
歩いていくと、目の前に真っ黒な建物があり、かすかに甘い香りが漂ってくる。
怪しい建物だ。真っ黒だし、これがきっと闇冒険者ギルドだ! アラタは確信した。
勇気を出してドアを開けると、建物の中は書物でいっぱいであった。
どうも魔導書のようである。
あれ、魔導書屋さんだったのかな?
店のカウンターの上には紫スライムがいた。
紫スライムというのはその名の通り、紫色のスライムである。
彼がこの店の店主だろうか。
紫スライムはアラタをちらりと見た後、キセルを取り出すと先端の火皿に干した葉っぱを丸めて入れると火をつけた。
甘い香りが漂ってくる。
この香り、違法タバコかな?
「ここは子供の来る場所じゃないよ!」
「す、すみません......スライムのおじさん、ここは冒険者ギルドでしょうか?」
「冒険者ギルドのわけないだろう。ここは魔道具屋だ! それから、あたしはおじさんじゃないよ!」
スライムの性別は見分けがつかない。どうも女性のスライムだったようである。
「魔道具屋さん......ですか。魔導書がいっぱいですね」
「あたしは魔導書が好きなんだよ、ああでも力の石だとか薬草の類も扱ってるよ、でも子供には売らないよ、あたしは子供は嫌いなんだよ」
「あ、あのちょっとお聞きしたいのですが、このへんに闇冒険者ギルドというのがありませんか?」
「闇冒険者ギルド? おかしなことを聞くガキだね。知らないよ、何度も言わせないでくれ、あたしは子供は嫌いなんだよ、ガキはさっさと帰りな!」
アラタと魔道具屋の店主がそんなやり取りをしていると、
どうしたことか、奥の方の書棚の黒魔導書がカタカタと音をたてた。
「なんだい騒がしいね。魔導書が騒いでいる。不吉だねえ。これは不吉だよ。坊や悪いことは言わないよ、さっさとおうちに帰りな」
魔道具屋の店主はしきりに帰れと言う。
わかりました、帰りますよ。帰ればいいんでしょ。アラタはちぇっという顔をした。
店のドアまで行くと、ドアの隙間から赤い魔障......ああ、こないだと同じやつだ。
また、クロノ鴉かな?
アラタがそーっとドアを開けてみると、やっぱりクロノ鴉であった。
しかも今回は三匹もいる。
「店主さん、クロノ鴉です」
「クロノ鴉? 異界の生き物じゃないか。ああ、もう終わりだよ、坊やも短い人生だったねえ」
「いや......短い人生って、まだ死にたくないんですけど!」
死にたくないし、クロノ鴉は異界の生き物であるが、スライムも異界の生き物なのではとアラタはこんなときに冷静に疑問に思った。
「店主さん、スライムも異界の生き物でしょ?」
「坊や、いまそんなこと聞いてる場合じゃないよ!」
「そ、そうですね」
あ、そうだ! こないだみたいに不思議な力でクロノ鴉をやっつけられるかも。
アラタはそう思って、不思議な力! 不思議な力! と念じてみた。
がしかし、何も起こらない。
あの力はいったい何だったんだろう?
仕方ない、自力で戦うか!
アラタがドアをさらに開けると一気に店内に入ってくる三匹のクロノ鴉。
彼めがけて打ち込んでくる無数の【魔法の矢】、やはりクロノ鴉はアラタを狙っている。
無数の【魔法の矢】......なんだけど、意外と遅い?
遅い! アラタは先日と同様にスローモーションのように感じた。
飛空術で宙に浮かびながら、彼はすべての矢を避けた。
元剣聖、ウキグモ・ジョサ・レイクに鍛えられたアラタにとっては、クロノ鴉の【魔法の矢】がスローモーションのようにしか見えない。
親方の【剣の舞い】の方が遥かに速い! と彼は思った。
闇冒険者ギルドってどこにあるんだろう? アラタは、そうだ、女神様に聞いてみようって思ったのだが......いない。
アラタはあたりを見回してみたが、やっぱり、いない。
(どこ行っちゃったんだろう? でもまあいいか。そもそも、なんで僕につきまとっているのかもよく分からないし。いない方が気楽でいいかも......)と彼は思うことにした。
それで、闇冒険者ギルドがどこにあるのか分からないまま、アラタは町の路地を歩き回った。
路地では酔っ払いが立ち小便をしている。
まったくこんな真っ昼間からお酒なんて飲んでと思ったが、アラタは絡まれないようそーっと酔っ払いを避けて歩いていった。
歩いていくと、目の前に真っ黒な建物があり、かすかに甘い香りが漂ってくる。
怪しい建物だ。真っ黒だし、これがきっと闇冒険者ギルドだ! アラタは確信した。
勇気を出してドアを開けると、建物の中は書物でいっぱいであった。
どうも魔導書のようである。
あれ、魔導書屋さんだったのかな?
店のカウンターの上には紫スライムがいた。
紫スライムというのはその名の通り、紫色のスライムである。
彼がこの店の店主だろうか。
紫スライムはアラタをちらりと見た後、キセルを取り出すと先端の火皿に干した葉っぱを丸めて入れると火をつけた。
甘い香りが漂ってくる。
この香り、違法タバコかな?
「ここは子供の来る場所じゃないよ!」
「す、すみません......スライムのおじさん、ここは冒険者ギルドでしょうか?」
「冒険者ギルドのわけないだろう。ここは魔道具屋だ! それから、あたしはおじさんじゃないよ!」
スライムの性別は見分けがつかない。どうも女性のスライムだったようである。
「魔道具屋さん......ですか。魔導書がいっぱいですね」
「あたしは魔導書が好きなんだよ、ああでも力の石だとか薬草の類も扱ってるよ、でも子供には売らないよ、あたしは子供は嫌いなんだよ」
「あ、あのちょっとお聞きしたいのですが、このへんに闇冒険者ギルドというのがありませんか?」
「闇冒険者ギルド? おかしなことを聞くガキだね。知らないよ、何度も言わせないでくれ、あたしは子供は嫌いなんだよ、ガキはさっさと帰りな!」
アラタと魔道具屋の店主がそんなやり取りをしていると、
どうしたことか、奥の方の書棚の黒魔導書がカタカタと音をたてた。
「なんだい騒がしいね。魔導書が騒いでいる。不吉だねえ。これは不吉だよ。坊や悪いことは言わないよ、さっさとおうちに帰りな」
魔道具屋の店主はしきりに帰れと言う。
わかりました、帰りますよ。帰ればいいんでしょ。アラタはちぇっという顔をした。
店のドアまで行くと、ドアの隙間から赤い魔障......ああ、こないだと同じやつだ。
また、クロノ鴉かな?
アラタがそーっとドアを開けてみると、やっぱりクロノ鴉であった。
しかも今回は三匹もいる。
「店主さん、クロノ鴉です」
「クロノ鴉? 異界の生き物じゃないか。ああ、もう終わりだよ、坊やも短い人生だったねえ」
「いや......短い人生って、まだ死にたくないんですけど!」
死にたくないし、クロノ鴉は異界の生き物であるが、スライムも異界の生き物なのではとアラタはこんなときに冷静に疑問に思った。
「店主さん、スライムも異界の生き物でしょ?」
「坊や、いまそんなこと聞いてる場合じゃないよ!」
「そ、そうですね」
あ、そうだ! こないだみたいに不思議な力でクロノ鴉をやっつけられるかも。
アラタはそう思って、不思議な力! 不思議な力! と念じてみた。
がしかし、何も起こらない。
あの力はいったい何だったんだろう?
仕方ない、自力で戦うか!
アラタがドアをさらに開けると一気に店内に入ってくる三匹のクロノ鴉。
彼めがけて打ち込んでくる無数の【魔法の矢】、やはりクロノ鴉はアラタを狙っている。
無数の【魔法の矢】......なんだけど、意外と遅い?
遅い! アラタは先日と同様にスローモーションのように感じた。
飛空術で宙に浮かびながら、彼はすべての矢を避けた。
元剣聖、ウキグモ・ジョサ・レイクに鍛えられたアラタにとっては、クロノ鴉の【魔法の矢】がスローモーションのようにしか見えない。
親方の【剣の舞い】の方が遥かに速い! と彼は思った。