第22話 神の必要以上の介入
文字数 1,958文字
女神様がどうしても武器を大量に作れというので、アラタは、ああそうだ『ひのきの短剣』なら僕にも作れそうだと思って、ベアーを経由して町の造園業者から『ひのきの木っ端』をたくさん譲ってもらった。
アラタは冒険者ギルドの受付をしながら護符も作り、さらにひのきの短剣も作った。
彼は確かに職人スキルがあるようで、ひのきの短剣も容易に作ることができたのだ。
女神は【白魔導書・白梅】を揺さぶって魔導書の精・白梅を無理やり魔導書から出させると、アラタの作った護符に「(白魔導をかけろ)」と言う。
「魔導をかけるならM .M .M に許可を得ないと」
「マキナ? フン、そんなものはどうでもいい! 俺が許可するからやれ!」
白梅は「えっ?」という顔をしながらも護符一枚一枚に肉球で触れていく。
彼女に触れられた護符には梅の花の模様がついた。
この白魔導・梅スタンプは〔癒しの術〕の効果があるらしい。
「ご主人様 ! お久しぶりです!」
「クロヒメさん......久しぶりですね」
魔導書の精・クロヒメまで現れたので、アラタは少し驚いた。
「皆さん、工作をして楽しそうですね。私も手伝います!」
そう言ってクロヒメは、アラタが作ったひのきの短剣に勝手に黒魔導をかけ始めた。
短剣を振るうと〔ファイア・ストーム〕が発動するよう加工したそうだ。
女神は「(素晴らしい!)」と言って喜んでいる。
「私、護符の販売も手伝いますね」
「白梅さん、売るのも手伝ってくださるんですか!」
屈強な冒険者たちは、白猫の姿をした魔導書の精に興味があるようで、
白梅が護符の販売を始めると、護符はさらに飛ぶように売れていく。
「じゃあ私はひのきの短剣を売ります!」
「あ、それはダメっス。武器の販売は武器販売業の許可証がないとできないっス」
クロヒメがひのきの短剣を売ろうとすると、教育係のスライムさんに止められた。
武器の販売はダメらしいのだ。
「女神さん、ひのきの短剣けっこうたくさん作りましたが、これどうすればいいのですか?」
「(お前が考えろ!)」
「え? は? お前が考えろって女神さんが大量に作らせたんですよ!」
「(そうだ! だが、これ以上の人間界への介入はできぬ!)」
(ダメだ。この女神様、話しが通じない。おっしゃってることがまるで分かりません)
あ、でも、武器なら武器屋さんに売ってもらえばいいんだとアラタは閃いた。
大量に作ったひのきの短剣は、ベアーと一緒に行った武器屋に売ってもらうことにした。
アラタが短剣作りに精を出していると、闇冒険者ギルドの小さな壺がピピンという音を出して紙を吐き出した。
それには『職人スキルがSランクになりました』と書かれていた。
(Sランク? いきなりSランク?)
アラタは不可解に思いつつ、しかし、Sランクとはすごいと思いつつも、自分としては職人スキルが上がってもなあと思ったのであった。
その後も、アラタは護符とひのきの短剣を大量に作り続けた。
護符については、魔道具屋の紫スライムのおばさんにも売ってもらうことにした。
武器屋の親父も、魔道具屋の店主も、アラタの作ったものはすごく売れるので喜んだ。
「女神さん、なんで武器を作らせたんですか?」
「(人間界への介入はできぬゆえ、言うことはできぬ)」
「まあ、いいじゃないですか。ちょっとだけ教えてくださいよ」
「(そうか、どうなっても俺は知らぬぞ)」
「はい。僕もどうなっても知らないので、教えてください!」
女神はちょっと考えてみる仕草をした後、言った。
「(もうすぐ、この国、シエルクーン魔導王国の王がこの貧民窟の掃討作戦を始める。大量のモンスターがこの町を襲うだろう)」
「はい? なんとおっしゃいましたか?」
「(この国の王がこの町をモンスターに襲わせようとしているのだ)」
なんでも女神様が先日出席した神々会議に、シエルクーン魔導王国の貧民窟掃討作戦のことが議題として出たのだそうだ。
いやいや、そんな重要なこともっと早く行ってくださいよとアラタは言ったが、人間界への必要以上の介入はご法度なのだと女神は言う。
―――(本当はお前にこれを言うことも『必要以上の介入』にあたるのだがな、俺も武神ゆえ血が騒ぐのだ。それゆえ、お前にだけ教えてみることにした。
さて、アラタ・アル・シエルナ、お前はどうする?
この町の住人たちが共に戦うだけの武器は用意できたはずだ)―――
女神、ブシン・ルナ・フォウセンヒメは独り言のようにそう呟いた。
フォウセンヒメは、アラタのことを試したのだ。
アラタは冒険者ギルドの受付をしながら護符も作り、さらにひのきの短剣も作った。
彼は確かに職人スキルがあるようで、ひのきの短剣も容易に作ることができたのだ。
女神は【白魔導書・白梅】を揺さぶって魔導書の精・白梅を無理やり魔導書から出させると、アラタの作った護符に「(白魔導をかけろ)」と言う。
「魔導をかけるなら
「マキナ? フン、そんなものはどうでもいい! 俺が許可するからやれ!」
白梅は「えっ?」という顔をしながらも護符一枚一枚に肉球で触れていく。
彼女に触れられた護符には梅の花の模様がついた。
この白魔導・梅スタンプは〔癒しの術〕の効果があるらしい。
「
「クロヒメさん......久しぶりですね」
魔導書の精・クロヒメまで現れたので、アラタは少し驚いた。
「皆さん、工作をして楽しそうですね。私も手伝います!」
そう言ってクロヒメは、アラタが作ったひのきの短剣に勝手に黒魔導をかけ始めた。
短剣を振るうと〔ファイア・ストーム〕が発動するよう加工したそうだ。
女神は「(素晴らしい!)」と言って喜んでいる。
「私、護符の販売も手伝いますね」
「白梅さん、売るのも手伝ってくださるんですか!」
屈強な冒険者たちは、白猫の姿をした魔導書の精に興味があるようで、
白梅が護符の販売を始めると、護符はさらに飛ぶように売れていく。
「じゃあ私はひのきの短剣を売ります!」
「あ、それはダメっス。武器の販売は武器販売業の許可証がないとできないっス」
クロヒメがひのきの短剣を売ろうとすると、教育係のスライムさんに止められた。
武器の販売はダメらしいのだ。
「女神さん、ひのきの短剣けっこうたくさん作りましたが、これどうすればいいのですか?」
「(お前が考えろ!)」
「え? は? お前が考えろって女神さんが大量に作らせたんですよ!」
「(そうだ! だが、これ以上の人間界への介入はできぬ!)」
(ダメだ。この女神様、話しが通じない。おっしゃってることがまるで分かりません)
あ、でも、武器なら武器屋さんに売ってもらえばいいんだとアラタは閃いた。
大量に作ったひのきの短剣は、ベアーと一緒に行った武器屋に売ってもらうことにした。
アラタが短剣作りに精を出していると、闇冒険者ギルドの小さな壺がピピンという音を出して紙を吐き出した。
それには『職人スキルがSランクになりました』と書かれていた。
(Sランク? いきなりSランク?)
アラタは不可解に思いつつ、しかし、Sランクとはすごいと思いつつも、自分としては職人スキルが上がってもなあと思ったのであった。
その後も、アラタは護符とひのきの短剣を大量に作り続けた。
護符については、魔道具屋の紫スライムのおばさんにも売ってもらうことにした。
武器屋の親父も、魔道具屋の店主も、アラタの作ったものはすごく売れるので喜んだ。
「女神さん、なんで武器を作らせたんですか?」
「(人間界への介入はできぬゆえ、言うことはできぬ)」
「まあ、いいじゃないですか。ちょっとだけ教えてくださいよ」
「(そうか、どうなっても俺は知らぬぞ)」
「はい。僕もどうなっても知らないので、教えてください!」
女神はちょっと考えてみる仕草をした後、言った。
「(もうすぐ、この国、シエルクーン魔導王国の王がこの貧民窟の掃討作戦を始める。大量のモンスターがこの町を襲うだろう)」
「はい? なんとおっしゃいましたか?」
「(この国の王がこの町をモンスターに襲わせようとしているのだ)」
なんでも女神様が先日出席した神々会議に、シエルクーン魔導王国の貧民窟掃討作戦のことが議題として出たのだそうだ。
いやいや、そんな重要なこともっと早く行ってくださいよとアラタは言ったが、人間界への必要以上の介入はご法度なのだと女神は言う。
―――(本当はお前にこれを言うことも『必要以上の介入』にあたるのだがな、俺も武神ゆえ血が騒ぐのだ。それゆえ、お前にだけ教えてみることにした。
さて、アラタ・アル・シエルナ、お前はどうする?
この町の住人たちが共に戦うだけの武器は用意できたはずだ)―――
女神、ブシン・ルナ・フォウセンヒメは独り言のようにそう呟いた。
フォウセンヒメは、アラタのことを試したのだ。