第46話 神の存在

エピソード文字数 3,671文字

さあ今週は先週の来週だ!

言いたいこと全部吐いてもらおうじゃないか!

まずは…なんだっけ………そう!

お前たちマスコットが何故地球にいるか、だ!

……そうだな。

それを話さねば始まらないだろう。

言っておくが、くれぐれも他言無用だからな?
わーってるよ。

そこまでひた隠しにしてるんだ、きっとバレたら何かしらの弊害が起こるんだろ?

もちろんだ。
今までも、そしてこれからも、我々の目的を知る地球人はお前だけだろうな。
いいからいいから、勿体ぶらずに話せよー。
……。
……一つ、質問がある。
あんだよ、いきなり。
結弦葉、お前には、神が見えるか?
は?どういうこと?
質問を変えよう。
結弦葉は、神を見たことがあるか?
あるわけねえじゃん、そんなの。
そうか。

その為に、私は10年間お前と行動していたのだがな。

お前さっきから言ってることよく分かんねえぞ。

もっとストレートに言えよ。

我々マスコットが地球にいるのは、神という存在を確かめるだ。
え??
それ…本気で言ってるのか?
当然だ。
マスコットが地球という惑星を発見したのは、今からおよそ5000年前になる。
私は生まれていなかったが、その時には既に我々は高度な知能と技術を持ち合わせていたようだ。

当時の時点で、宇宙のほぼ全てを論理的に解析できたようだ。

ほぼ全て…か…。
我々は多くの生命反応を観測し、この地球を発見した。

当時の人間の文明は、まだ動物に近い生活をしており、人間的なものは文字くらいであった。

しかし、しばらく観察すると、人間は何かに対し崇拝しているような仕草を見せた。

時には一人で、また時には集落一斉に集まって、何かに手を合わせていた。

驚くべきことに、この行為は大陸を隔てた別の文明でも行なっていたのだ!

人種も、文化も、言葉も違う、生物的行為以外では全く共通点の見られない人々が、同じような所業をしていたのだ。

人々の崇拝の対象には色々な名称があった。

私のいるこの国では、”神”という言葉であった。

……。
我々は疑問に抱いた。

世界中で崇められている、この神という存在は、一体何者なのだろうと。

そして何故人間は多くの自然法則を神の仕業としているのだろうか、と。
マスコットに神の姿は見えなかった。

それは地球と我々の見える光源の違い…一般の地球人に我々が見えないように、地球人には見えて我々には見えないものがあるのだろうと考え、この惑星の光の屈折率や人間の色覚をほぼ完璧に解析した。

しかし、神の姿は観測できなった。
年月が経ち、人口が増えても、神は変わらず存在していた。

1000年前から変わらない名称を用いる国もあれば、幾多の名前がある国もあったが、たしかに神に違いなかった。

んん…。

古い記録書には、神から啓示を受けた商人が何度も戦争をおこない国を作ったと記してあった。

私の父は、500年ほど前に、一人の少女が神の声を聞いたと言って戦争に行くを見たと、いつも言っていた。


このように神のために戦争が起こることも少なくないようだ。

そう、人間は神を巡って争いを始めるだ!

神とは、命を賭してまで祈り続ける存在なのかと、我々はますます分からなくなった。

あー…。
この5000年間で人間による神の目撃情報は数多く耳にした。

しかしマスコットは誰一人として見ることは出来ていない。

そこで仮説を立てた。

人間には、神が見えるようになる特定の時期があるのでは、と。

そうして統計をしたところ、人間は10歳~14歳の時、大きく思想が変わることが分かった。

つまりこの時期に神と接触している可能性があるのだと。

この考察を支柱に、ついにマスコットは人間への直接的干渉を始めた。

これが今から約20年前の話だ。

へぇ~…
しかしあまり介入しすぎると人間の文化を乱してしまう。

あくまで現状を保つことが絶対条件だったため最低限の干渉しかできなかった。

そこで生み出されたのが、魔法少女だ。
・我々の観測衛星から、周辺で困っている人、あるいは軽い事故に繋がる可能性の高い人を見つけ、依頼という形で助けるのを仕事とする。

・全員ではなく、血縁者と直接的関わりが少なく兄弟のいない女性という、限られた人間にのみ採用する。

・対象者が魔法少女ではなくなる場合、マスコットの存在が漏れないために関係性のある記憶を抹消する。


これらは全て我々が人間と関わるためのものだ。

そうして絶対に、マスコットは、神について人間と話をしないことという掟がある。

質問!
どうした?
いや、色々突っ込みたいところはあるんだけどさ、まずなんで魔法少女なの?

ほかのものでもよくない?

魔法少女を採用したのは今の我々のトップであるが、理由は地球で流行っていたからだそうだ。
なんだそりゃ…。
流行りものであれば、協力してくれる人間も増えるだろうという魂胆だ。
人間にとって我々と接触する利点はほぼ無いに等しい。

それでも協力してもらうためには少し工夫が必要だったのだろう。

そう、それだよ。

第二の質問は。

??
お前らが作り上げたその魔法少女は、人間側にメリットが一つもないじゃねぇか。

さすがに都合が良すぎじゃないか?

…。
…結弦葉もそう思うか。
当たりめぇだ。

見返りが無さすぎる。

現在、それが我々の中で問題視されつつあるのだ。
ここ最近になって、魔法少女の数が減る一方なのだ。

対象になる女児が減った訳ではない。

一時的に魔法少女になる人数も一定だ。

つまり、短期的に辞めてしまう人が後を絶たないのだ。

去年、3ヶ月以内に辞める人は過去最高の約30%になった。

すごい割合だなそりゃ…。
これではいつまで経っても目的を達成できない。

故に我々の中でも改革の必要を挙げる者が増えたのだ。

現在のトップは、後継者が決まり次第第一線を退くと仰っている。


その後継者として選んだ人物、それが……

結弦葉、お前だ。
え????
え?え?え?

待って、あたし??

そうだ。お前だ。
候補として選ばれたのはおよそ8年前。

真面目で活気に溢れる子がいると、トップが目をつけた。

数人の候補者をこれからの3年間で評価する方針で、いくつかの条件でふるいをかけ、数を減らしていった。


最低条件は、5年以上の継続で、かつ依頼の放棄が3回以下であることだった。

そして、お前は一度も依頼を放棄することはなかった。

口は悪くなったが、その姿勢がトップから高い評価を得たのだ。

なんか嬉しいような悲しいような…。

さらに他の候補者が次々に辞めていってしまった。

その結果、大学を卒業するまでは、如何なる理由であっても魔法少女を辞めさせるわけにはいかなくなったのだ。
はぁーん、そういうことだったのね。
そうして、これからお前にこの話をするタイミングを見計らっていた時に、そっちから持ちかけてきたのだ。
これからお前をトップに会わせる。

直々の懇願だ、ぜひ快諾して欲しい。

んん…まぁ、会ってから考えるよ…。
ところで、そのトップってのはどんな奴なんだ?
安心しろ、お前も何度もあったことがある人だ。
今から外にいるようだ。

行こうか。

お、おう…。


……


こんにちは、ゆづちゃん。
あ、こんにちは。
…シャウラから話は聞いとるか?
…え?
爺さん…?もしかして…
…今まで黙っていてすまんかったの。
わしが、太陽系第三惑星調査隊管理統括局局長、つまりマスコット達の代表じゃ。
え、ええぇぇぇ!?!?!?
ちょっと待て、なんで爺さんは人間の姿してるんだ??
これは仮の姿。

わしぐらいの歳になれば、人の姿に変わることなんて簡単じゃよ。

と、歳??

お前らにも年齢があるのか??

もちろんじゃ。

平均寿命は1200歳くらいかの。

わしの年齢は1782歳じゃ。

随分と長生きなんだなぁ。
トップは常にこの村と結弦葉を近くで見続けていた。

依頼が多かったのも、お前の誠意を見るためだ。

それであんな頻繁に田んぼに落ちてたのか!?
そうじゃ。

そしてゆづちゃんはなんと全てこなしてくれた。

本当にありがとう。

んんん…はめられてたようでちょっと悔しい…。
折り入ってお願いがあるんじゃ。


このジジイの跡を継いでくれんか?

わしらは所詮、人間から見れば宇宙人。

彼らの気持ちは彼らの仲間しか知らんのじゃ。


わしはいつ死んでもおかしくない身じゃ、死んで混乱が起こる前に第一線を退きたい。

もちろん人間がマスコットの社会に干渉するのは前代未聞の異例。


それでもわしはゆづちゃんにやって欲しいんじゃ…!

うむむ……たしかにあたしは無職になってしまったから、どうしようかと思っていたけど…。
もちろんじゃが、君の意見を尊重したい。

断りたかったら断ってもいいんじゃよ?

んん〜〜〜……
…分かった、やるよ。
本当か!!!
ありがとう、ゆづちゃん!

本当にありがとう!!!

いやぁ、何か面白そうだしな。

魔法少女の経験を活かせるのならこちらも有難いし。

…ゆづちゃん。
ん?なに?
一つ、言い忘れていたんじゃが…
なになに改まって。
魔法少女のままで跡を継ぐことは厳しいじゃろう…。

初めてのことじゃ、何が起こるか分からんし…。

え?
もし後継者をやってくれるのなら、残念じゃが、魔法少女は…、辞めてもらう。
えっ…?
それじゃあ、もう…魔法少女じゃ、いられない、ってこと……?
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登場人物紹介

黒嶺 結弦葉 (くろみね ゆづは)

21歳

田舎生まれ田舎育ち

魔法少女歴10年のベテラン

跡継ぎ問題に悩まされている

シャウラ

マスコットと呼ばれる白くて丸い地球外生命体

結弦葉を魔法少女に引き込む

渋い声

爺さん

結弦葉の隣の家に住む老人
よく田んぼに落っこちる

黄更城 エリー  (きさらぎ エリー)

13歳

魔法少女歴4年

都会出身

超一流企業の社長の一人娘

リゲル

エリーと共にいるマスコット
若々しい男の人の声

立河 みどり  (たちかわ みどり)

8歳

魔法少女歴1ヶ月の新人

孤児

ポルックス

みどりと共にいるマスコット
落ち着いた女の人の声 

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