第35話 専属使用人?

文字数 2,316文字

モグモグモグ…
……ふう。

ごちそうさまですわ。

使用人さん、食器を下げてくださいまし。
……あら?


……


お腹減っちゃった。
さっきお昼ご飯食べたばかりじゃないですか…。
…あれ?
あら、みどりさん。
エリー先輩、何してるんですか?

もう食べ終わってるみたいですけど…。

使用人さんを待っていたのですわ。
お父さんの使用人の方なら、今日は休みでしたよ。
え?
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お父様!
おおぅ、なんだなんだ。
わたくしにも、そろそろ専属の使用人が欲しいですわ!
そうすれば、わたくしも家事の時間を勉強に充てられますの!
だから言ったじゃないか。

専属使用人をつけるのは、18歳になったときだ。お前には早い。

それまでは我慢して、自分のことは自分でやりなさい。
うぐぬぬぬ…
もうすぐ新幹線の時間だから、私はもう出るよ。
それではお父様?
ん?
自分で見つけて自分のお金で雇った使用人ならお許しくださいますか?
…ああ、まあ、いいだろう。
本当ですの!?
ただ、代々黄更城家の使用人は、直轄の専門学校で優秀な成績を修めた生徒から選抜している。

相応の基準と試験は設けるぞ。

大丈夫ですわ!立派な方を見つけてみせますわ!
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とは言いましても…
使用人なんてどこにいるのでしょう…。
それに見つけたとしても…
お父様の試験で落とされるかもしれない…。
はぁ…どうすれば…。
先輩、どうしたんですか? しけた顔して。
みどりさ―――――――――――


そうですわ!!

??
みどりさん、あなたをこれからわたくしの専属使用人として育成いたしますわ。
え!?なんでそんないきなり…
そうすれば、一生ここにいても大丈夫ですわよ。
ええでも…、先輩にはリゲルがいるじゃないですか。
リゲルは使用人とはいえませんわ。

いうなれば…、キーホルダーみたいなのですわ。

でも、わたしじゃなくても…。
もし無事に使用人になりましたら、一生好きなだけこの家でご飯食べても構いませんわ。
ほんと!?
ええ!
それだったら…。
決まりですわね!

それでは早速訓練に移りましょう!

わああ、ちょっと待ってください!


……


まずは紅茶を出す練習ですわ!
普通に出せばいいんじゃないんですか?
とにかくやってみましょう!
ええと…こんな感じですか?
全然なってないですわ!

もっとお上品に、美味しそうに。

美味しそうに…?
つまり…その…立ち振る舞いですわ!
???
では、もう一度!
うへぇ~…。


……


次に着付けですわ。
なんですかそれ?
ええと…だから……
…服を着させる役ですわよ!
ええー!?いやですよぉ!
これも仕事ですわ!我慢なさい。
先輩は嫌じゃないんですか?わたしが先輩の着替えを手伝うの。
……。
で、でしたら、わたくしが着る服を選んでくださいまし!
このいっぱいあるクローゼットからですか?
ええ。
うーんと…じゃあ…、これでどうですか?
うーん…今はその気分じゃありませんわ…。
えーそんなこと言われても…。
わたしなんかより好きなことが合う人の方が良いんじゃないですか?
そのような人、すぐ近くにいませんもの…。
むぅ…。
まあこれは、やっていくうちに分かるようになってくださいまし。


……

お次は…うーん…意外とやる事が多いですわね…。
お腹減った…。
んー、では、今日はここまでですわ。お疲れさま。
あ、はい。お疲れ様です…。
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その日の夜
zzz…


……



……


おいエリー、今日からお前は俺の召使いな。
ええっ!?そんな急ですわ…!
うるへー口答えすんな。

ほら、これから着替えるから服選べ。

ええと…これとこれで!
ああ!?こんなんじゃあ表出れねえよ!やり直し!!
ひぃぃ。


……


おい、飯まだか?
はい、すぐお持ちいたしますわ…。
おいおいおいおいおい、なんだその出し方は。

もっと上品にやれよ。

は、はい…。
お前にはやる事が山ほどあるんだよ。

家事に着付け、外出の付き添い、それから勉強…

あ、あわわわわわわわわわわわわわわ……


……


……


ハッ!!
夢…ですの…?
(それにしても、ゆづ先輩は悪役が似合いますわ…。)
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翌朝
おはようございま―――――――――――
みどりさん。
うえぇ!ビックリした!

どうしました?

みどりさんは、本当にわたくしの使用人になりたいですか?
うーん……
怒らないから、正直に言ってくださいまし。
……
あんまり…なりたくないです…。
そう…ですわよね。
わかりましたわ。では訓練はもうやめにしましょう。
え?
無理させてしまって、ごめんなさい。
大人しく、18歳になるまで待ちますわ。
わ、わかりました…。
でも、どうして諦めたんですか?
昨晩、ゆづ先輩に怒られちゃいましてね。
???
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数日後
ごちそうさまですわ。
ごちそうさま。


食器、片づけてくれ。

はい。
!!
それから、明日の出張のための荷造りと、帰りの飛行機の手配を頼む。
かしこまりました。
はわわわわ…羨ましい…。
…先輩?
やっぱり…欲しいですわ…専属使用人!
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登場人物紹介

黒嶺 結弦葉 (くろみね ゆづは)

21歳

田舎生まれ田舎育ち

魔法少女歴10年のベテラン

跡継ぎ問題に悩まされている

シャウラ

マスコットと呼ばれる白くて丸い地球外生命体

結弦葉を魔法少女に引き込む

渋い声

爺さん

結弦葉の隣の家に住む老人
よく田んぼに落っこちる

黄更城 エリー  (きさらぎ エリー)

13歳

魔法少女歴4年

都会出身

超一流企業の社長の一人娘

リゲル

エリーと共にいるマスコット
若々しい男の人の声

立河 みどり  (たちかわ みどり)

8歳

魔法少女歴1ヶ月の新人

孤児

ポルックス

みどりと共にいるマスコット
落ち着いた女の人の声 

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