第41話 雪の日に…【後編】

エピソード文字数 3,785文字

【このお話は、前回の話の続きとなっております。】
どこだろうなぁ、ここ。

いつもの山の中ってのはわかるんだけど…。

シャウラの奴め、この大事な時にどこ行きやがったんだ。
とりあえず山を下ってみるかぁ。

最悪、ケータイの電波が届くところに辿り着ければいいし。

え?誰?
あっ!
(人に出会えるなんて!これは奇跡だ!!)


(それにしても、あたしにそっくりだな…。)

あんた、どこから来たの?

見かけない顔だけど。

ええと…実は…遭難してしまって…。

ふーん。

遭難でこんな場所まで来る人初めてなんだけど。

あんた、名前は?
く、黒嶺 結弦葉…。
黒嶺…?聞いたことない姓ね。
隣の村にもそんな名前の人は居なかったし…。


それで、どこから来たの?

山の麓にある小さい村からです…。

怪しい…。

この山の麓には、私達の村しかないはずよ。

じゃあ、その村から来ました…。
嘘ね。

あんたみたいな人、うちの村にはいないわ。

それにおかしな服装してるし、髪の毛ときたら金箔まで貼り付けてるじゃない。


そんなに目立つ人がいたらすぐに分かるはずよ。

(あたしにとっては、着物姿で山に登るあんたの方がおかしいんだよなぁ…。)
悪いけど、あんたの考えてる村とあたし達の村は違うみたいね。
えー!そりゃあないよ~!
絶対そこの村なんですって!!
鬱陶しい…そこまで言うなら付いて来なよ。

違うってことを分からせるから。

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……


着いたよ。

どう?見たことない景色でしょう?

んー……
いや、道なりとか田んぼの位置は合ってる。
え!?
でも電車が通ってないなぁ。

車も止まってないし。

ででで、電車??

くるま???


なにわけのわからないこと言ってるの?

?なんかあたし変なこと言った?
(…あ、そうだ。ここならケータイ使えるかも…!)
――――あれ?(圏外だ…。)
あんた、それ何?
え?ケータイだけど。
????
(いやこのご時世にケータイ知らない方がおかしいって!)
(ん?いや、まさかとは思うが…、もしかしてこれは……)
君、名前は?
ゆきは。


白崎家の長女、ゆきはよ。

ゆきは、今、何年の何月?
ええと…1719年の3月よ、たしか。
……。
ゆきは、実はあたしは、未来から来たんだ。
は、はあ!?!?
理由は分からない。

でも、ワケ合ってこっちの時代に来ちまったんだ。

そんなこと、どうやって信じればいいのよ!
このケータイは、未来にできたモノなの。

見たことないでしょ?

え、ええ…まあね…。
それから、あなたの姓である白崎は、あたしのお母さんの旧姓。
だから、あなたはあたしのご先祖様ってことだ。
ちょっと待って…展開が急すぎてついていけないわ…。
えっと…じゃあ…あんたは、あたしのずっと先の孫にあたるの?
うん、そうなる。
そ、そんなことが…。
でもたしかに…言われてみれば顔が似ているような…。
だから、あたしもここの住民なの。

まあ、300年後だけど。

じゃ、じゃあ、あんたの家はどこにあるのよ!
未来の住民なら、ここの土地勘もあるはずよ!
えっとね、こっち。


……
ここかな。この家だ。

嘘…。

あ、あたしの家だわ…!
じゃあ、代々ここの土地を受け継いでいるってことかな。
…駄目だ…頭がこんがらがってきた…。
……わかったよ、一旦、あんたの言うことを信じるよ…。
ふう、よかった。
おや?ゆきはちゃんじゃないか。
ん?


なんだ、村長か。

(じ、爺さん!?!?なんで300年前にも!?)
(まあ、そっくりさんの人違いだよな…村長って言ってたし。)
今日はお友達と遊んどるようじゃのう。
別に、友達じゃないし。
もう、昔のように山で遊んだりせんのかい?
うるさいなぁ、ほっといてよ。


つーか、話しかけないで。

爺さん(?)は寂し気に去っていった。
おいおい、随分冷たいじゃないか。
だって嫌いなんだもん、あの爺さん。
急に村に入って来たくせに、今までのこと全部否定してきたし。
ふむ…。
色々、聞いてもいいかな?
……。
家のとなり…
神社があったの。
なにぃ!?
(この村にも社があったんだ…。)
そこのお坊さんがとても良い人だったの。

友達とよく遊びに行ったわ。

でも10年前…、その神社、火事があって燃えちゃったの。
そうだったんだ…。
それから、同じ場所にすぐに建てられたのが、あの爺さんの家。
(それから爺さんの家系があの場所に…。)
爺さんは村長を名乗って、元々あった神社のことは無かったことにしたの。

お坊さんはどうなったのか知らないわ。

あたし達は神社の存在が忘れ去られることが嫌だった。

だから、焼け跡に残っていた、あるものを守り続けることを決めたのよ。

家に隠すと見つかりやすいから、山の中に隠したの。
ふむ…。
それから、大人たちにバレないよう、山に色々仕掛けた。
仕掛けた?
今考えると、ちょっとしたイタズラかな。
誰かがそこに近づくと、竹馬に乗ったまま真っ白な布を被って帽子を深くかぶるの。

山の中に、背の高い女の人が不気味に立っているんだから、ちょっと怖いでしょう?

たしかにちょっと怖いな…。
あと、平らなところに石を積み上げたものをいくつか作ったわ。

これだけでも怖いけど、人が通ると石の塔が崩れるから合図にもなるの。

へえ…。
あとになって、山の中で秘密の場所を見つけたの。

小さい穴をくぐらないと行けないところなの。

ほう…?
すぐにそこはあたしたちの秘密基地になったわ。

いつもあの場所で遊んでた。

でもそうしたら、あたしたちの行動を疑う大人が出てくる。

突然子供たちが山の中で遊び初めて、遅くまで帰って来なかったから。

中には、日が暮れて山を降りた時を狙って、ずっと付け回してくる奴もいたわ。

周りが暗いし服が黒いしで怖かった。

あたしも経験あるわ…。

ホントに怖かった…。

でも……
大人達は次第に飽きてきたの。

あたし達が山に行くことが当然になっちゃったのかな。

そうすると、あたし達もつまらなくなってきた。

秘密基地に行く人も段々と減っていった。

なんというか…寂しくなっちゃったな…。
忘れないようにと約束したあたし達が忘れちゃったワケ。

笑っちゃうわ。

でも、あなたは忘れずに覚えているじゃないか。
もうあたしだけよ。覚えているのは。
そう…か…。
……。
…ねえ。
ん?
お願いがあるの。
未来の世界でも、あたし達が守ってきたものが残っているか、教えてくれない?
え…?でも…
あんた未来から来たんでしょ!?

だったらこれも分かると思うの!!

あたし達の努力が生きているのか、それとも無駄になったのか。
教えて!

お願いだから!!

いや、だから…
何を守ってるのか、あたしは分からないんだけど…。
…そうよね。

ごめん、早とちりすぎたわ。

……わかったわ。

あんたを秘密基地に案内する。ついてきて。

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……
ここよ。
ここって…
この穴をくぐるんだけど、今じゃあもう入れない。

回り込もう。


……


(やっぱりこの場所か…。)
この奥、花の形に見える岩の後ろに隠してるの。
でも…、そんな岩見当たらないけど…?
しゃがんでみて。
ん……?


―――――あっ!

あの岩、少し下から見ると花の形をしてるの。

だから子供にしか分からない。

この裏にあるもの――――これよ。
ゆきはが持っていたのは、石でできた30㎝ほどの小さい仏像だった。
あっ…。
これが、あたし達がずっと守り続けていたもの。
……。
これ、見覚えある?
…あるよ。
その仏像は、未来でも大事にされているよ。
…そう。
じゃあ、こんなところに置かなくても大丈夫だよね。
うん。

後は子孫に任せてくれ。

…ありがとう。

その言葉、信用するわ。
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……

村の中心を流れる川、ここの沿いに置いておくわ。
もしこれに何かあったら、化けて出てくるからね。
へへへ、そいつぁ怖い。
あたし達の宝物、絶対、大事にしてね。
心配しなくても、神様みたいに扱うから大丈夫だよ。
ふふっ。

色々とありがとう。これでスッキリしたわ。

方法があればお礼をしに行きたいな、キツネにでも生まれ変わって。
それは楽しみだな。
そういえば、これからどうやって未来に――――
うおぉっっ!!!
結弦葉は目の前にあった田んぼに思いきり落っこちた。

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……

――――結弦葉。
結弦葉、起きろ。
うーん……
結弦葉。
……はっ!
ここは……洞窟の中?
やっと目が覚めたか。
あれ…?晴れてる…?
お前が意識を失ってから、すぐに雪が止んで晴れたのだ。
今なら場所も把握できる。帰れるぞ。
よし、じゃあさっさと帰ろう。

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……


ただいまー!
結弦葉、お前宛てに荷物が届いているよ。
荷物?誰から?
それが、書いてないんじゃよ。
ふーん…これか。
……。
これは…大量の…
きつね…油揚げだな。
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登場人物紹介

黒嶺 結弦葉 (くろみね ゆづは)

21歳

田舎生まれ田舎育ち

魔法少女歴10年のベテラン

跡継ぎ問題に悩まされている

シャウラ

マスコットと呼ばれる白くて丸い地球外生命体

結弦葉を魔法少女に引き込む

渋い声

爺さん

結弦葉の隣の家に住む老人
よく田んぼに落っこちる

黄更城 エリー  (きさらぎ エリー)

13歳

魔法少女歴4年

都会出身

超一流企業の社長の一人娘

リゲル

エリーと共にいるマスコット
若々しい男の人の声

立河 みどり  (たちかわ みどり)

8歳

魔法少女歴1ヶ月の新人

孤児

ポルックス

みどりと共にいるマスコット
落ち着いた女の人の声 

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