第15話 迷犬ジロー

エピソード文字数 2,410文字

あー、暇だ。
田舎って…
何もやることないですね…。
そーだよー。


だからこーやって、毎日ゴロゴロしてるの。

ゆづ先輩、就活はどうなったんですか?
停滞期。

書類選考の一次すら通らなくなった。

それはお気の毒ですわね…。
ほんと、一生こうやってグダグダ過ごしていたいぜ。
わたしもです。
働きたくない。
その割に来た依頼はこなす気がするのだが。
うるさいっ!
確かに先輩がサボったとこ見たことないですわ。
一応、来た依頼は全部引き受けてる…。
根は真面目なんですね、先輩。
………っ!
…逆にお前らはサボるのか?
エリーは今のところ一度も無視してないよ!
みどりちゃんもですよ。
お前らも偉いじゃないか。
あ、ありがとうございますわ…。
結弦葉、噂をすれば依頼だ。
ん、どこからだ。
ここから少し離れた…山のふもとの辺りだな。
わかった。エリーとみどりも来るか?
いきますわ!
わたしも行きます!
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……


あら?あいつらはたしか…。
子供たちが数人いますわね。
毎年夏休み中だけこっちに来る子供たちだな。
おーい!
あ、ヤンキーの姉ちゃんだ。
ヤンキーじゃねぇっつうの!
えー、ヤンキーじゃなきゃ金髪にならないよ。
なっ…!

こ、これはだな!大学で田舎者だと思われないようにするために金髪にしているのであって…

とにかく来年には黒くなってるから、あたしはヤンキーじゃない!
ふーん。
ところで、お前たちこんなところで何してんだ?
あのね、ジローを探してるの。
じろー?
うん、犬のジローだよ。
いなくなっちゃったのか?
向こうの方に行っちゃったの。
山の立ち入り禁止区域か…。
この先はあたしが探してくるから、お前らはこの辺を探してくれ。
うん、わかった。
ジローは小っちゃくて、毛が白くて、かわいいよ。
私たちも手伝いますわ。
じゃあ、エリーとみどりはあっちを頼む。
わかりました!
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……


エリー先輩~。
どうしかましたの?
随分遠くに来ちゃいましたけど…大丈夫ですか?
来た道を戻れば帰れますわ。
いや、そうなんですけど…
それより、ちゃんと探してくださいね?
は、はい…。
でもこうやって見ると、本当に都会と違いますよね。
田舎のこういう雰囲気、わたくしも好きですわ。
でもわたしは、どちらかというと田舎より都会の方が好きです。

にぎやかな方が落ち着くんですよね。

騒がしすぎるのもよくありませんわ。

たまにはこのような場所が欲しくなりますもの。

エリー先輩は、田舎住まいの方が向いてそうですね。
……って、アレ見てください!
なんですの?あの白いの。
きっと探している犬ですよ!

追いかけましょう!

あ、ちょっと!
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……


この場所は村を知り尽くしたこの俺でさえ入るのを躊躇う。
立ち入り禁止区域に堂々と入れるのもお前ぐらいだろうな。
誰も見てねぇし居ねぇからいいんだよ。
うーん…でも不気味だなぁ…。
だが、この先一度行ったことないか?
あるよ。数年前に。

石が積み重ねてあるのがいっぱいあっただけだったな。

しかし、結弦葉。
どうした?怖いのかぁ?
違う。あのペットについて気掛かりな点があるのだ。
ほう、聞こうじゃないか。
なぜ名前がジローなのだろうかと思ってな。
名前か。ん~…わからん。
私なりの考えとしては、ジローを飼う前にもう一匹犬を飼っていた。
だがすぐに死んでしまった。

だから次の犬には二番目を示す名前を付けた。

ははぁ、宇宙人にしてはまともな考えだ。
ほら、例の場所だぞ……ってあら?
石の塔が崩れてる…?
結弦葉、左側を見ろ。
左?

…あっ、犬!

毛が白くて小さい…多分こいつがジローだな。
犬は結弦葉に見向きもせず、懸命に地面を掘っている。
何を探してるんだ?
しばらくすると、犬は掘ることをやめ、結弦葉に小さくワンと吠えた。
穴の中には……ほ、骨!?
まさか…
シャウラ、どうかしたか?
この骨は最初のペットのものかもしれないな。
この骨を探すために、ジローはここまで来たってことか?
ああ。

なにか神秘的なものが、二匹を繋げたのだろう。

…ふっ、泣かせるぜ。

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あっ!ジロー!
お、この犬であってるみたいだな。
ヤンキーの姉ちゃん!どうもありがとう!
おう。


ところで…

なんで名前がジローなんだ?
僕のパパの名前がイチロウだからだよ。
パパ??
うん。
その前に犬を飼っていたとかは…?

ないよ。ジローが最初だよ。

お、おう…。
じゃあ僕帰らないと!

ヤンキーの姉ちゃん、またねー!

……
おいシャウラ。
てめえ、ありもしねぇことを偉そうに言いやがって!!!!
んぐ、待て、予想とはそんなものだろう!?
うるせぇ!!!お前は〆る!!!!
待て!しかし…
まだなにかあんのか?
あの骨は一体何なのだろうな?
……
……
……今日は早く寝よ…。
はぁ…はぁ…
あら?遅かったなお前ら。
ジローくんに逃げられちゃいました…。
ジローならもう見つけて返したぞ?
え?
え?
だから、あたしが探した方向にいたって。
わ、わたくし達も白い小さいものを追いかけていましたのよ?
あー…それは…
もしかして…
うん、普通じゃ見えないような奴かもな…。
えっ…。
おばけ…?
ま、まぁここはそういうの多いって聞くから、今日はゆっくり休んで…
わたくしもついに見ることができましたわ!
わたしも見ちゃったー!
すごいですわ!

本当にいますのね!!

またおばけ見たいなー!
……今日は早く寝よ…。
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登場人物紹介

黒嶺 結弦葉 (くろみね ゆづは)

21歳

田舎生まれ田舎育ち

魔法少女歴10年のベテラン

跡継ぎ問題に悩まされている

シャウラ

マスコットと呼ばれる白くて丸い地球外生命体

結弦葉を魔法少女に引き込む

渋い声

爺さん

結弦葉の隣の家に住む老人
よく田んぼに落っこちる

黄更城 エリー  (きさらぎ エリー)

13歳

魔法少女歴4年

都会出身

超一流企業の社長の一人娘

リゲル

エリーと共にいるマスコット
若々しい男の人の声

立河 みどり  (たちかわ みどり)

8歳

魔法少女歴1ヶ月の新人

孤児

ポルックス

みどりと共にいるマスコット
落ち着いた女の人の声 

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