第3話 期待の新人?

エピソード文字数 3,239文字

…はぁ。
電車でこんなところまで来ちゃった…。

どこなんだろうここ。


でも、ここは平和そうだな~。

のどかだし、人も少ないし。

残念だけど、ここにもいるみたいね。

魔法少女が。

こんなところにもかぁ。

一応会って、一緒にできるか聞いてこよ。

都会の時のようにならなきゃいいんですけど…。
あの時はコテンパンにやられちゃったね。

年下の仲間なんていらないって。

それでポルックス、魔法少女はどこ?
こっちの方向ですね。

そう遠くではないかと。

いい人だったらいいけど…。
あっ!

目線の先にいる人がそうです!

目線の先…?
ハハハハハ!

トラクターの扱いも慣れたもんだろ!!

なにせ暇だからな!

これくらいの暴れ馬なら楽勝よ!

結弦葉の奴…、離れて活躍を見ていろという割には、
爆音出しながらコンクリートまで耕してやがる…。
まぁまぁ。

若い子は元気が一番じゃ。

そ、そうですか…。
フハハハハハハハ!!
……。
あれと戦うの…?
…。
死んじゃうよぉ…。
ここは…、戻ったほうがよさそうですね…。
うん。そうする…。
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………
そういえば、さっき魔法少女来てたな。
!!

き、気づいていたのか。

うん。

オーラが弱々しかったから、ありゃあ多分まだ日が浅い。

そこまで見切っていたとは。
これは我が後継者にする絶好のチャンス!
小学校低学年なら長くやってくれるだろう。
それでこれまで何回逃げられていると思っているんだ。
あーもう数えたくないそれは。
あたし子供は好きなんだけど、あやしたり機嫌よくさせるのは苦手なんだよねぇ。

既に向こうはここにはいない。

今回も期待しない方が良いだろう。
へーへー。

どうせ一生あたしは魔法少女ですよ。

ああ、子供と触れ合える仕事に就きたい。

センセイって呼ばれたーい!

今日はやけに騒がしいな。
さっきポスト見たら、また不採用のお祈り通知が来てた。

もうヤケクソ。


んあー、他の魔法少女があたしの就活手伝いの依頼受けないかなー。

自分から依頼を出すことはできん。

ただ今まで依頼が出ていないということは、結果的になんとかなるということだ。
その自信はどこからくるんだこのポジティブ饅頭がああああああ!!!

八つ当たりで投げるなああああああぁぁぁ―――……

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その晩
やっぱりここしかないや…。
ここの先の駅はほとんど人がいなかったなんてね…。
しょうがない。あの魔法少女さんに会って話をしてみるよ。
でも…、おなかすいたなぁ。
ポルックス、ちょっと休憩させて。


すぐ、また動くから…。


……
依頼がきている。
今度はどこの爺さんが落ちたんだ。
いや、駅前だ。

駅前?

暗い夜道の話し相手か酔っ払いの迎え代行あたりだな。


まあいいや、行こう。

あ、あの…!
ん!?

なんだお前。

私はポルックス。

みどりちゃんの監視をしているマスコットです。

でもそいつの姿が見えないじゃないか。
実は駅の前にいるんです!

助けてくれませんか!?

あーそんならこれから行くとこ。


一緒に行こうぜ。


……
確かこの先に…、あっ、いました!

あの子です!

ん~?

っておい!

ぶっ倒れてるじゃねぇか!

こりゃああたしじゃなくて救急車呼ぶべきだぞ!

おいあんた!

大丈夫か!?

うぅ…。
おなか…すいた…。
んあ?

もしかしてこいつ空腹で倒れてたのか?

はい…!

もう今朝から何も食べてなくて…。

微妙だなそれ。


とりあえず、あたしん家連れてくぞ。

ほら、立てるか?

んん…。

(あったかいからもうちょっと腕の中にいたいな)

…しょうがない。

このまま連れていこう。

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食い物かぁ。

子供受けがよくなさそうな物しかないな。

とりあえず、ほいこれ。
ごはんと…、これなんです…か…?
筍とごぼうの煮物と、野草の天ぷら。あとたくあん。
言いたいことはわかる。

だがな、今うちにあるのはこれくらいなの。

まあ、慣れれば美味し…
おかわり。
え?
おかわり、欲しい。…です。
お、おう。


ほれ。

これおいしいですね。モグモグ
そ、そうか。

それはよかった。

(よく食べるなぁコイツ)

あっそうだ!

わたし、立河みどりっていいます。

よろしくお願いします。

あたしは黒嶺結弦葉。

ゆづでいいよ。

お前も魔法少女なんだって?
はい。

まぁ、先月始めたばっかりですけど…。

それで、なんでこんな田舎に?
もともと都会にいたんですけど、追い出されちゃったんです。

わたしの武器は盾だけだから、向こうが剣じゃあどうしようもなくて…。

そのあと電車に乗って転々としていたら、ここに着いたんです。
本当に偶然だったんだな、ここに来たの。
この家は、ゆづさん以外いないんですか?
んにゃ、ばあちゃんがいるよ。

もう寝てるけど。

まだ7時半ですよね?

外は真っ暗ですけど。

ばあちゃんは極端な早寝早起きなんだ。

7時くらいには寝ちまうけど、3時にはもう起きてる。

ところで、みどりの家族は?
お母さんもお父さんも、去年の交通事故で…。
ええ!?

そ、それは聞いて悪かった、ごめん。

だから、居候できる家を探してるんです。
うちは、ちょっと厳しいなぁ。

(魔法少女とはいえ、食いっぷりがあそこまでいくとあたしらが食うものがなくなる)

それ以外であたしにできることなら協力するけど、何か頼み事とか、欲しいものとかないか?
お金。
ん?
お金が欲しい…!
金だとぅ!?

悪いがうちも金があるわけじゃねえからな~。

そうですか…。
だいたいな、お前ほどよく飯を食う奴がいても、金に余裕があるところなんて…、
…あるわ。
あるんですか!?
ひとつだけ心当たりがある。

とんでもないほどの大富豪の家が。

近いうちに紹介するから、一緒に行こうぜ。
あ、ありがとうございます!
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数日後
嬉しいですわ。ゆづ先輩から連絡をいただけるなんて。
でも、どうして連絡先が分かったんですの?
マスコットを通信手段として利用した。
こいつらは、仲間同士でテレパシーみたいのを送ることができるらしくってな。

それでこれを伝えてくれと頼んだんだ。

どおりでリゲルから聞いたわけですわ。
それで、紹介したい人って誰ですの?
うん。こいつだ。
立河みどりです。

よろしくお願いします…。

!!
!!!
みどりはな、住むところがないんだ。

だから、お前のところに居候できねぇもんかなって。

そ、そうでしたの…。

(どうしてわたくしに追い出された人がゆづ先輩と…)

はい…。

(どうしてわたしを追い出した人が前にいるんだろ…)

親御さんに相談した後でいいから、なんとか養ってあげられねぇか?

家の手伝いくらいはさせるからよ。

そ、そうですわね…。

(ここで断ったら、ゆづ先輩に嫌われてしまうのでは?…それだけは避けたいですわ)

(頼む!お前が了承しないとあたし達が飢え死にするんだ…!)
…。(この人ん家のご飯は何が出るんだろ)
…わかりましたわ。

ゆづ先輩の言うことなら仕方ありませんわ。

本当か!

ありがとうエリー!

助かったぜ!!

ほら、お前からもお礼言わないと!
ありがとうございます!

エリー先輩!

せせせ、先輩!?
どうした?エリー。
生まれて初めて先輩と呼ばれまして…、ちょっと感動してますの。
先輩!先輩!先輩!!
そ、そんなに言っても何も出ませんでしてよ?


…お金以外は。

わあ!

先輩大好き!!

ちょっ、押さないで…。 
結弦葉、依頼だ。
ん?こんな時にか。
場所は…、目の前だな。
目の前?
きゃあぁっ!
おー、お前ら盛大に倒れ込んだなー。

大丈夫かー?

わたしは先輩のお陰で大丈夫です。


でも…。

た、助けてください~。
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登場人物紹介

黒嶺 結弦葉 (くろみね ゆづは)

21歳

田舎生まれ田舎育ち

魔法少女歴10年のベテラン

跡継ぎ問題に悩まされている

シャウラ

マスコットと呼ばれる白くて丸い地球外生命体

結弦葉を魔法少女に引き込む

渋い声

爺さん

結弦葉の隣の家に住む老人
よく田んぼに落っこちる

黄更城 エリー  (きさらぎ エリー)

13歳

魔法少女歴4年

都会出身

超一流企業の社長の一人娘

リゲル

エリーと共にいるマスコット
若々しい男の人の声

立河 みどり  (たちかわ みどり)

8歳

魔法少女歴1ヶ月の新人

孤児

ポルックス

みどりと共にいるマスコット
落ち着いた女の人の声 

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