電車でこんなところまで来ちゃった…。
どこなんだろうここ。
でも、ここは平和そうだな~。
のどかだし、人も少ないし。
こんなところにもかぁ。
一応会って、一緒にできるか聞いてこよ。
あの時はコテンパンにやられちゃったね。
年下の仲間なんていらないって。
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うん。
オーラが弱々しかったから、ありゃあ多分まだ日が浅い。
それでこれまで何回逃げられていると思っているんだ。
あたし子供は好きなんだけど、あやしたり機嫌よくさせるのは苦手なんだよねぇ。
既に向こうはここにはいない。
今回も期待しない方が良いだろう。
ああ、子供と触れ合える仕事に就きたい。
センセイって呼ばれたーい!
さっきポスト見たら、また不採用のお祈り通知が来てた。
もうヤケクソ。
んあー、他の魔法少女があたしの就活手伝いの依頼受けないかなー。
自分から依頼を出すことはできん。
ただ今まで依頼が出ていないということは、結果的になんとかなるということだ。
その自信はどこからくるんだこのポジティブ饅頭がああああああ!!!
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しょうがない。あの魔法少女さんに会って話をしてみるよ。
ポルックス、ちょっと休憩させて。
すぐ、また動くから…。
駅前?
暗い夜道の話し相手か酔っ払いの迎え代行あたりだな。
まあいいや、行こう。
私はポルックス。
みどりちゃんの監視をしているマスコットです。
ぶっ倒れてるじゃねぇか!
こりゃああたしじゃなくて救急車呼ぶべきだぞ!
微妙だなそれ。
とりあえず、あたしん家連れてくぞ。
ほら、立てるか?
んん…。
(あったかいからもうちょっと腕の中にいたいな)
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食い物かぁ。
子供受けがよくなさそうな物しかないな。
言いたいことはわかる。
だがな、今うちにあるのはこれくらいなの。
そ、そうか。
それはよかった。
(よく食べるなぁコイツ)
あっそうだ!
わたし、立河みどりっていいます。
よろしくお願いします。
もともと都会にいたんですけど、追い出されちゃったんです。
わたしの武器は盾だけだから、向こうが剣じゃあどうしようもなくて…。
そのあと電車に乗って転々としていたら、ここに着いたんです。
ばあちゃんは極端な早寝早起きなんだ。
7時くらいには寝ちまうけど、3時にはもう起きてる。
うちは、ちょっと厳しいなぁ。
(魔法少女とはいえ、食いっぷりがあそこまでいくとあたしらが食うものがなくなる)
それ以外であたしにできることなら協力するけど、何か頼み事とか、欲しいものとかないか?
金だとぅ!?
悪いがうちも金があるわけじゃねえからな~。
だいたいな、お前ほどよく飯を食う奴がいても、金に余裕があるところなんて…、
ひとつだけ心当たりがある。
とんでもないほどの大富豪の家が。
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嬉しいですわ。ゆづ先輩から連絡をいただけるなんて。
こいつらは、仲間同士でテレパシーみたいのを送ることができるらしくってな。
それでこれを伝えてくれと頼んだんだ。
みどりはな、住むところがないんだ。
だから、お前のところに居候できねぇもんかなって。
そ、そうでしたの…。
(どうしてわたくしに追い出された人がゆづ先輩と…)
はい…。
(どうしてわたしを追い出した人が前にいるんだろ…)
親御さんに相談した後でいいから、なんとか養ってあげられねぇか?
家の手伝いくらいはさせるからよ。
そ、そうですわね…。
(ここで断ったら、ゆづ先輩に嫌われてしまうのでは?…それだけは避けたいですわ)
(頼む!お前が了承しないとあたし達が飢え死にするんだ…!)
…わかりましたわ。
ゆづ先輩の言うことなら仕方ありませんわ。
生まれて初めて先輩と呼ばれまして…、ちょっと感動してますの。
そ、そんなに言っても何も出ませんでしてよ?
…お金以外は。