第2話 都会っ子

エピソード文字数 2,648文字

そういえば、この前都会に行った時にさ、
…気づいていたか。
ああ。

独特な雰囲気があって、感覚で分かるんだよ。

…同志がいるって。

旅行中とか人混みの中とかで、同じような感覚を味わったことは何回かある。

でも今回のは…。

向こうもこちらを探していた。
そう。

明らかにウロウロしていた。


まあ、見た目だけじゃあ誰が魔法少女かなんてわからないからな。

ましてやお前ならな。
ムカつく言い方だな。


とにかく、また都会に行く機会がある。

その時にまた同じ感じがあったら、一か八か会ってみるよ。

お前を魔法少女だと信じてくれるかは分からんがな。
ぶっ潰すぞクソッタレ饅頭!
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数日後


都会

…いるな。
ここから北西の位置か。

それほど遠くない。

向こうも探している。

この感じからしてこの前と同じ奴だろう。

突然だが結弦葉、魔法少女狩りって聞いたことがあるか?
あるよ。

自宅周辺から他の魔法少女を排除したり、邪魔をしたりする連中だろ?

そうだ。
正直わかんねえよなー。

争うものじゃないぜ?これ。

ただの慈善活動だってのに自己中心的なんだからもう~。

そういう年頃なのだろう。


ちなみに、この国の魔法少女の平均年齢は、約13.8歳だ。

結構高くない?
結弦葉を抜くと、12.9歳になる。
けっ!


ところで、もうすぐそこにいるぜ、あいつ。

ん~、この辺なんだけどなぁ。
この辺りですわねぇ。
そうそう。

この近くに…


って誰だお前!?

えぇっ!?

わたくしが見えるのですか!?

うん。ばっちり。
そんな…。

透明化をしているのに…。

あー、透明化か。

そいつは普通の人間には見えない色とか屈折率になってるだけで、魔法少女同士なら見えるぞ。

こいつらマスコットも同じ構成なんだとよ。
うむ。
そ、そういうことだったのですか…。

全く知りませんでしたわ。

でもわたくしよりも年上の魔法少女がいるなんて、なんだか嬉しいですわ。

おいくつですの?

21。

あんたは?

(こいつ自分より年上だとわかった途端に殺気が消えやがった…。)

21!?

わたくしなんてまだ13ですわ。

にしても、なんでこんな都会をウロチョロしてるんだ?
家が近くにありますの。
家って…、ここビルばっかりだぜ?
ええ。

ここをこちらに真っ直ぐ進むとありますわ。

ところで、お名前教えてくださいまして?
黒嶺 結弦葉だ。

結ぶ弦って書いて葉っぱの葉。

じゃあ、結弦葉先輩ですわね。


わたくし黄更城 エリーと申しますの。

ん?きさらぎ?

ど、どうやって書くのさ。

黄色に変更の更に城ですわ。
まさか…!

あの黄更城か!

どうりこんなところに家が建つわけだ…!

知っているのか?結弦葉。
もちろん。

日本で、いや、世界でも10本の指に入る大財閥だ。


金動くところに黄更城ありとなんて言われているほど、その影響力はデカい。

お前らそんなところの御令嬢様を魔法少女にしてたのか…。
我々にとって富豪の娘だろうと捨て子だろうと関係ない。

基準を満たした人間は全て平等に見ている。


そもそも魔法少女へ導く基準は…

『両親を中心に血縁者と関わりが薄い、ひとりっ子の女の子』だろ?

何回聞いたと思ってるんだ。

あのー…、そのマスコットは?
ん?こいつはシャウラ。

あたしを10年以上監査してる変態。

そういえば、エリーのマスコットは?
うるさいからしまっているんですの。


ほら、出てきなさい。

やあ!僕はリゲル!

エリーと一緒にいるマスコットさ!

だろうな。

そうじゃなきゃ、なんでカバンの中にねじ込まれていたかわからない。

そして騒々しい野郎だ。

しまっておけ。

結弦葉先輩はどちらに住んでるんですの?
んまぁこの都会とは程遠いクソ田舎ですの。
まあ!田舎に住んでいらっしゃるんですの!

わたくし、一度は田舎というものを見てみたかったのですわ!

今度お邪魔してもよろしくて?
全然いいよ。


行き方なんだけどな。

ここの都会駅から川ノ手線の内回りで4つくらい行ったあと、最弱線に乗り換えて…、

ここをこう行ってこれに乗り換えて、10個目くらいの荒涼駅ってとこで降りる。


ざっと片道4時間ほどだ。

乗り換えとそっからの道のメモ渡しとくよ。

4時間…。
じゃああたしもう行かなきゃいけないから、気が向いたらいつでも来てくれ。
は、はあ…。

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数日後



黒嶺宅

結弦葉、依頼だ。
はいはい。

今度はどこから?

村にある山からだ。
お、この季節では珍しいな。

行くぞ。

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……
この辺だな。
ん~、それらしきものは…


お、あいつか。

む?

どこかで見たことがある奴だな。

えーと、ここを右に行ったから…。
何してんだエリー。
あ、結弦葉先輩!

これからお家に伺うところでしたの。

逆方向だ。

まず山下りるぞ。

ついてきな。

助かりますわ。
メモに書いた通り、駅を出てまっすぐ歩くと、大きいT字路がある。
そこを右に行けば、道なりに進むだけであたしが住んでる村に着くんだが、逆の左に行くと、山ん中に入っちまうんだ。
山から村に出ることはできるし、むしろ近道なんだが、道がないから迷子になると面倒なんだよな。
ここの住民もみんな右の道使っているから、右に行った方が良いな。
先輩、さっきから誰に話しているんですの?
お前だよ!!
ほら、着いたぞ。
まあ…!

ここが田舎!

全く見たことない景色ですわ!

心なしか、空が広く見えますわね!
そそ。

だから夜なんかは星がよく見えて綺麗だぞ。

結弦葉先輩の家はどちらですの?
あれ。

一応村の中では家は大きい方だ。

ちなみに、あたしの呼び名は「ゆづ」でいいよ。

みんなそう呼んでくれるんだ。

では、ゆづ先輩とお呼びしますわ。
ゆづ先輩の家の周り、なんにもないですわね。
あー、この辺り一帯は田んぼなんだ。

今は見ての通りなんもないが、近々動き出すんじゃないかな。

あら、それは残念ですわ。
もし実っていたならば、今晩の夕食のためにほんのすこし頂きたかったのに。
!?!?
あ、わたくしそろそろ行かないと。

あんまり遅くなると家の者が心配しますの。

短い時間でしたけど、田舎を満喫できましたわ。


それではごきげんよう。

またお邪魔しますわ。

…。
都会の人って…、稲ごと食べるんだな。
…そうらしいな。
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登場人物紹介

黒嶺 結弦葉 (くろみね ゆづは)

21歳

田舎生まれ田舎育ち

魔法少女歴10年のベテラン

跡継ぎ問題に悩まされている

シャウラ

マスコットと呼ばれる白くて丸い地球外生命体

結弦葉を魔法少女に引き込む

渋い声

爺さん

結弦葉の隣の家に住む老人
よく田んぼに落っこちる

黄更城 エリー  (きさらぎ エリー)

13歳

魔法少女歴4年

都会出身

超一流企業の社長の一人娘

リゲル

エリーと共にいるマスコット
若々しい男の人の声

立河 みどり  (たちかわ みどり)

8歳

魔法少女歴1ヶ月の新人

孤児

ポルックス

みどりと共にいるマスコット
落ち着いた女の人の声 

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