本を返しに―――あれ?いない…。
どこいっちゃったんだろ…。
結弦葉さんなら、朝から出かけると言って電車に乗っていきましたよ。
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いわゆる満員電車ってやつだな。
この人数が本当に電車の中に入るのかなー?
何故わざわざ混んでいるとわかっている電車に乗るのだ?
これに乗らないと着かないとこだからだよ!
叶うならあたしだって乗りたくないよ…。
うぅ…めちゃくちゃ窮屈だ…。
これに何十分も耐えないといけないのか…。
まだ3分くらいしか経ってないぞ?
これ乗っていいのかな…?
―――ありゃ?
降りる駅通過しちゃったぞ?なんでだ?
うわぁ…すごい複雑な駅だなぁ…。
どこいけばいいんだろ…。
どうなってやがんだチクショーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
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よくわかんねえ駅のよくわかんねえ所にいるんだ…。
もう疲れた…。ここどこだよ…。
ちょっと待っててくださいね。
エリー先輩呼んできます!
目印…そうだな…エスカレーターに沿って、アニメやらなんやらの広告がいっぱいあるな。
エスカレーターにアニメの広告…多分あそこですわね!
先輩、今から行きますので、そこから動かないでくださいまし!
はえ~、やっぱり都会に住んでいると分かるんだね…。
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そちらのほうが分かりやすいかも知れないからですの。
うーん、そうなんだけど…これ何線なのかな?
まあいいや乗っちゃえ。
着いた。一駅一駅が短くて油断すると乗り過ごしちまうな。
あとは…でっかい電光掲示板がビルにくっついてて…って、なんかここテレビで見たことあるぞ?
ここはみどりちゃんが行った方がいいよ!
エリーだとまた道に迷うだろうし…。
でも…この人混みから、先輩を探さないといけないのか…。
(みどりちゃんが泣きそうになってる…!これじゃあこっちが迷子みたい…!)
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あっ、こちらが先日紹介した、立河みどりさんですの。
よろしく、みどりちゃん。
なにか困っていることがあったら、なんでも言ってね。
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エリーの奴、いい考えを思いついたから、駅のプラットホ―ムにいてくれ、って、一体何をするつもりなんだ…?
でも乗ってくれって言ってたからなぁ…。
いいや、乗っちゃえ!
ところで、一体どうしてあたしの乗った電車は、他に乗客がいなかったんだろう?
そうして都会駅まで一度で行けるようにしたのですわ。
うちは財力だけはあるんですの。
お役に立ててよかったですわ。
それなら、なんでエリーは自分の電車を使わないんだ?
自分の電車を使えば、いつでも座れるし、横になったりもできるじゃないか。
なのにどうして一般の電車に乗るんだ?
わたくしは少しでも庶民…普通の人と同じ生活がしたいんですの。
彼らの気持ちが分からない人にはなりたくないんですのよ。
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お父様に頼んで全ての電車を一本ずつ買ってもらいましょう!
どうしたエリー、こないだと言ってることが真逆だぞ…。
それがすごい人で…。
押しつぶされそうになった挙句に、急ブレーキしたせいで大勢の人が寄りかかってきましたの!
そしたら、ほら!
大事なパソコンが割れてしまったのですわ!
あんな人だかりはもう懲り懲りですわ!
快適な電車の方が良いに決まってますもの!