第二四章 【ヒビキ】(1/3)

文字数 599文字

 夜10時、持ち物は特にないか。
車のスマートキー持って、セイラにラインしてっと。
[子ネコのママ会 カリン(そろそろ出るよ)、セイラ(おk)]
「ヒビキ、行くのか?」
「はい、社長。納品日ですから」
「そうか」
「あの」
 本当にいいんですか?
「よろしく頼む」
 更生室に寄ってから行こう。これ終わったらなくなるし。
 最近は北村シニアマネが新事業立ち上げに奔走しててカイシャにいないから、変わって吉田クンが更生室を占拠してる。
役場倒壊事故の責任取らされてヤオマン建設代表取締役から経営戦略室付き平取締役に降格になってから、社長の水平リーベ棒。
一応ぶーらぶーらは黄緑のバランスボール使用。
「お、ヒビキくん。よく来たね。こっちのに座りなさい」
 いえ、紫のは遠慮しときます。
「いよいよか。社長は何か言ってたかい?」
「よろしくとだけ」
「二人のことだから、僕も横から口は出せないが……」
 お、何か言うつもりか? 
ぶーらぶーら、ぶーらぶーら、ぶーらぶーら、ぶーらぶーら。
いつまでやってるの?
「満太郎もビックリだ」
 はあ? あんた二人の同期だろ。
何かないのか? 
二人のなれ初めとか、
愛情示すエピソードとか、
社長の気持ち代弁するとか。
そのためにここにいたんじゃねーの? ほれ。
「そろそろ終わったころだな。さて、仕事、仕事っと」
 行っちゃったよ。
印刷室入っていった。
あーそうね。そういうことですね。
ただの印刷待ちじじーだったのね。
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