第六章 【レイカ】(2/4)

文字数 940文字

「十二時か、Vフェス終了。今回もだめだった」
 ひさご出て三人で町をプラプラした。というより、セイラの家に行こうってことになって歩いてた。そしたら、道の向こうから、若い男が走って来て、
「おーい、いたぞ!」
 って、駅舎で山椒屋のオジサンがやったみたいな格好してる。すり鉢を頭に乗せてスリコギ持って。そしたら脇道からもおんなじよーなのが三人出てきてウチらを取り囲んだ。駅舎で見たときはなんかおかしかったけど、街なかだとあまりのぶっ飛びようにかえって怖い。
「ターゲット!」
「パツキン。真ん中のヤツ!」
 セイラのこと?
「いかにもだな」
「どこの制服だ? 超レアなんじゃないか?」
「おう、俺が見たことないってことは、かなりだ」
 制服じゃないっしょ、明らかに。ぽいはぽいけど。
「宮木野制服図鑑には載ってないぞ」
 本のページ必死にめくってるやつ。
「県北女子高御三家でもない」
「他県のだろ?」
「横の君たち! 今、僕らが助けてあげるから!」
「さー、本性を現せ! このヴァンパイア」
「バーカ! セイラは人間だよ」
「しゃべった? ヴァンパイアが?」
 向うがひるんだ瞬間、カリンが、
「こんっの、キャベツに代わってお仕置きだ!」
 って、キャベツの半キレ、先頭の男にぶん投げた。そのキャベツどこにあった?
「いった!」
「ちょっと、なにすんの」
 スマフォ出した。なんなの? トーサツ?
「待った。ピンの場所間違ってないか?」
「あ、住所違ってる。ここ青物市場だってジャン」
「おいおい、青墓だぞ、今夜の出現場所は」
「青しかあってねーし」
「マップ担当、しっかりしろよ」
「ターゲット誤認。本隊は撤収する!」
「「「スレイヤー!」」」
「紛らわしいカッコすんな。ブスが!」
 カリンが長芋を握りしめてる。だから、それどこに落ちてた?
「やっかましー。なめてっとすり潰すぞ! こら!」
「「「こえー」」」
「先を急ぐぞ。夜は短い」
「進攻先再設定。今度こそ青墓の杜へ」
「おしりぺーんぺーん」
 行っちゃったよ。なんだ、あいつら。
「死ねー!」
 カリンが長芋ミサイル発射。キレーな放物線描いて、……命中! 敵一匹、撃沈。さすが辻女のスリーポイント・シューター。
「ったく。今度会ったら、チェストパス顔面にたたき込んでやっから」
 鼻と前歯いわしちゃうね。
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