第十一章 【レイカとヒビキ】(8/8)

文字数 697文字

 背中がボロボロになったニットシャツとお尻のとこ血だらけになったデニムの短パンは、ゴミ箱行き。どっちもお気に入りだったのに。
 血はウチのでないよ。ウチは、カーミラさんに背中引っ掻かれたけど、ミミズバレですんだ。
 カリンが血は転んだとき付いたんじゃないかって。掌とか膝とかにべっとりついてたから。靴にくっついてて持ってきちゃった葉っぱにも血がたくさんついてたし。
セイラ、嫌な顔しないでシャワー使わせてくれた。パジャマもありがとね。
 
ウチは疲れちゃって、セイラのベット借りてすぐにでも落ちそうになってたら、
「映ってない。やっぱり」
「映らないの? もしかして」
「ドライブレコーダーにも映ってないし」
「ヘッドライトで明るかったもんね。暗さのせいじゃないね」
「ぶつかったのは事実。車の前面ぼこぼこだった」
「新車なのにね」
「ツライよ。まだローン全然返してない」
「拾ったカメラは、ずっとあの場面映してて役に立たない」
「どうして映らないのかな」
「鏡に映らないから、CMOSやCCDにも反応しないのかも」
「試したことなかったね。シオネたちで」
「セイラ、そんな……」
「エビデンスとるのも大変か」
「システムテストしてるわけじゃ」
「ごめんね。つい……」
「ともかく、今回はレイカに助けられた」
「ホント、セイラたちだけなら二人とも死んでた」
 次の朝、「スレッター」のトレンドで「強制退会処分」ってのがトップになってて、ソースに、
「重大な規約違反が発覚したため、以下のユーザーを強制退会処分、PTを強制解散処置にいたしました。以降当該情報にアクセスすることはできなくなります」
 ってあった。昨晩、実況してたPTも含まれてた。
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