最終章 【レイカ】からの、【ヒビキ】(2/4)

文字数 1,024文字

「こんばんは」
 こんな夜更けに女子の部屋に土足でヘルメット? その上チェーン・ソー持参ってのはぶっそーすぎだよ、前園のオジサン。
「すまないね。窓が開いてたんで、屋根伝いにお邪魔しに来たよ」
「で、何の用? お茶しに来たわけじゃ、ないよね」
「あー、そうだね。そんな穏やかな用件じゃない。
君の命をいただきに来た」
「それはそれは、いらっしゃいませ。
そうやって、ママの命もいただいちゃったわけだ。
カスが!」
 お葬式のあと、ママの命を奪ったやつがどこから侵入したのか考えてたら、ヘイちゃんが教えてくれたよ。
あんたが屋根伝って来たってね。
人嫌いのヘーちゃんをスルー出来るのあんた意外に誰がいる?
他の人間だったら食い殺されてるもん。

「最近の子は目上に対する言葉遣いがなってないな。
それに君は女の子だろう。
もっと上品にしないといけないんじゃないかな。
そんなことじゃ、雄蛇ヶ池に捨てたママの首が悲しむよ」
 首を捨てた? 
雄蛇ヶ池に? 
持って行っちゃったの? 
お葬式でママの顔を拝めなかったのは、お前のせいだったのか。
「ミワちゃんが手引きしたの?」
「ミワちゃん? あー、あの腹ぼて女か。いや、関係ないよ」
 そうなんだ。よかった。
「可笑しんだ。チェーン・ソー見せてやったら、産気づいちゃってね。
帰るとき『病院に連絡してって』って腰にすがりついてきたな。
振り払ったけど」
 それってツリだ。ミワちゃん、お葬式のあとの出産だったもん。
「さっさとかかってこいや! 
皆様が待っていらっしゃるんだろ! 
ウチの血を!」
「ご名答。
それとヘイゾーのカタキ」
「え? ヘーちゃんは老衰じゃないの?」
「あ、そーだったかな。
まー、なんでもヴァンパイアのせいにするのが、辻っ子のいいところでね」

ブウィ、ブウィ、ブウィ、ブウィイイーーーーーーン。

「今夜もいい音だ。
俺はホーケー仮面!
天下の名刀、TCS。
テキサス・チェーン・ソー受けてみよ、
ってね。
有名な怪物の獲物でやられるってのもわるくないだろ。バチもんだけど」
「怪物? 『テキサス・チェーン・ソー』のレザーフェースは人間だ。文字通り人の皮被ったサイコパスだ」
「皮を被ったサイコパス? そいつはホーケーの僕にぴったりだ。それに人間が怪物を狩るのは、自然の摂理ってもんだ」
「消えな! でないと」
「まてまて、もう少し話をさせてくれよ。これを見てる人たちがいるんだから」
 前園のオジサンの頭の上、目玉おやじのカメラついてる。
なにこれ、『スレイヤー・R』なの?
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