第二〇章 【ヒビキ】

文字数 957文字

やっと着いた。服がどろどろ。
セイラも? 
あたしのほうがひどい。
うえー、臭いよ。

議事堂の前、誰もいない。
中で人の声する。
隙間からのぞいてみよ。
壇上でしゃべってるのは、きっとハナゲ町長が変態したハゲメタボだ。
何言ってるのかよく聞こえない。
(町長の声で)「えー、アタシはただのセーヘキ持ちのヘンタイハナゲオヤジなのでー、どうかいますぐ、すり潰していただいてですねー」
「カリン、キャプションつけてるよ」
 あ、つい。女バスの癖が。

傍聴席は満員の人。人? ヴァンパイア? 
「ヒビキさん」
 おっと、びっくり。
「お師匠さん」
「たくさん冒険をして来られたようですね」
 冒険って言えば言えるかな。
「きっとよいお声がでるようになったことでしょう。ちょっと聞かせてくださいませんか?」
「それより、どうしてここにお師匠さんが?」
「そうそう、私もここに呼ばれたのですが、席があんな前なので入りづらくて。度々このような席に呼んでいただくのですが、いっつも席順が高くって結局帰るなんてことが……」
 傍聴席の前の方に6つだけ席があるけど、あれのこと?
「どの席ですか?」
「あの、右端の席です」
 最右翼ってことか。で、よく見ると左翼にセンプクさんとスオウさんが座ってる。ナニゲに北村シニアマネいるし。 
「カリン、前のモニターに、名前が6つ挙がってる」
 六辻家ってあって、
辻王:除籍
辻一:出席
辻まん:出席
ロ乃辻:出席
五カ辻:出席
棒辻:欠席
「お師匠さんって、六辻家なんですか?」
「六辻家ではないのですけど、棒辻は私のことです。あれあれ欠席になってますね」
「誰か、引っ張り出されてきた」
「レイカ様ですね」
 ホントだ。胸になんか刺さってるけど、大丈夫か?
「お師匠さん、シラベレイカをご存じなんですか?」
「はい、ようく」
 どういう知り合いなんだろ。親戚とかかな、やっぱり。
「ねえ、カリン、両脇抱えてるのシオネとココロだよ」
「どうしてこんなところに」
「あの方たちの親が呼んだんでしょう」
 たしかに親はいるけど。
「ヒビキさん。さあ、どうしましょうか? そろそろレイカ様のピンチかと」
 わかってます。
「セイラ! 行こう」
「どうするの?」
「ウチは陽動部隊。議場で騒いでる間にセイラはスレッターをあのモニターに!」
 よっし、これで準備完了! それいけ! カレー☆パンマン。
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