第二三章 【レイカ】(4/4)

文字数 716文字

……。
(どうして裸足なのかって? 
ママとけんかして飛び出してきたんだ。

一緒にいてくれる? 

ねえ、ココロってば、どうして逃げるの? 
どうして……。

ごら、ウチら友だちだろが!)
…………。
………。
……。
…。
静かだな。寒い。
ゴリゴリゴリゴリ。
「レイカ」
「レイカ。目を覚まして」
 ウチ裸だ。で、ここは? 
屋敷? 
全部吹っ飛んでて。
あ、カリン。
ゴマすってんのはセイラっと。
どっかであったシチュだな。
ちがうのはナナミがいること。
「レイカ、これ着な」
「ありがと、これ辻沢の夏の制服。どしたの?」
「役場からがめってきた」
「わー、ぴったり。ナナミありがとー」
 って、そんな目で見んな、カリン。
ウチは制服系のセーヘキ持ちじゃねーから。
「で、どうしたの? セイラ、ゴリゴリもうよくない?」
「あ、ごめん」
 ゴリ。
「宮木野さんからはレイカに変化があったら、とにかく遠くに逃げろって言われててね」
 カリンごと吹っ飛ばさなくてよかった。
「どこに逃げたの?」
「雪隠の隅の個室で小さくなってた。しばらくしたら」
「地響きがしだして」
「そう、お腹の底から響いてくるような。
地面から突き上げるような」
「車が跳ね上がるくらいの縦揺れ。
止んだら、今度は、屋敷の中から七色の彩光が射してきた」
「セイラ眩しすぎて目が開けられなかった」
「ドーーーーーーンって、すごい音がして」
「屋敷が吹っ飛んだ」
「爆風やらなんやらで、もみくちゃにされて」
「車、10回転くらいして、あそこで大破」
「廃車決定」
「新車だったのにね」
「ツライよ」
 光?
「そう、地平線にお日様が出て来た時のような、すごい光」
〈『元始女性は太陽であった』と言ったのは……〉
「「「「はい、はい」」」」
 もう、こんな時にげっぷかよ。
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