第九章 【レイカ】(3/3)

文字数 568文字

 窓口業務って、人がいなくなればネイルとかしててもゼンゼン平気な感じ。ウチのスマフォおかしーから、前使ってたガラケー持ってきた。ひさしぶりにワンセグ。『モールス』やっててラッキー。クロエちゃんやばーい。かわいー。今度『キャリー』も観てみよ。

 10時か。いつもながら誰も来ない夜間窓口。あれ? 今、窓の外を誰か通ったよ。ちょっと見て来よ。ってのは死亡フラグだから。ミワちゃんにキツク言われてるし。

窓口から離れません。
それから、話しかけられても答えません。
そんで、誰が来てもビビりません。

でも、これはないよ。うそっしょ? 無理無理無理無理無理。まじでウチ腰抜けそ。

「レイカ、ココロだよ」

(知ってる。知ってるから。逆に、お口のまわりべっとり血ィついてるし。制服のどす黒いのも血?)

「ウチら友だちだよね」

(その制服、辻女の夏服だよね。しかも、なんか、くっさ。かと思ったら、日向のニオイする。なんでゾンビがほっこりしたニオイさせてんの?)

「レイカは返事してくれないんだ」

(それに、その爪伸びすぎだから。女の子なんだから、ちゃんとお手入れしよ。机の上のネイル。それ新作の御影石ラメ。それあげっからさ。もう、帰って。お願いだから)

やっと帰ってくれた。なんか言いたそうだったけど、何なの? もう。

ココロがゾンビになって戻って来たって、みんなに言うべき?
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