シャワーとか、歴史とか 2

文字数 556文字

——なんじゃこりゃ? 中世の貴族?
 ゼ―ヴェリング侯爵、エーデルツィンマー伯爵、ゴルトグランツ男爵……。
 何やらむずかしい名前が、ずらりとならんでいる。
 補足には【現在のローゼンシュタイン公国の前身となった公爵領時代から、王家を支えていた五家の爵位】とある。本当に現代の話なんだろうか。ふだん貴族や身分社会になんて全然縁がないから、いまいちぴんとこない。現在はこれらの爵位が名誉称号として閣僚に与えられるようだ。
「首相つぇ、ツェツー、リエ? ・ドレッセル。副首相ゲオル……ゲオルグ・チェルハ……」
 だめだ。舌がもつれる。しかも前副首相の名前には、オイゲン・フュルスト・フォン・ラウエンシュタイン——第十六代ゼ―ヴェリング侯爵家当主とまである。すごく貴族っぽい名前だ。当主ということは、この「ゼーヴェリング侯爵」は、ラウエンシュタイン家が代々受け継いでいるものなんだろう。
——貴族って実際にいるんだ
 王子様と同じ部屋にいながら今さらだけれど。功績やら何やらの仰々しい記載を流し見ていると、最後の一文に目が止まる。

【オイゲン・ラウエンシュタイン副首相罷免——後任ゲオルグ・チェルハ ネーベルガルト侯爵】

 罷免ということは不正でも行ったのだろうか。
「アヤ。次どうぞ」
 そんなことを考えているとミハイルの声が耳に届いた。
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