嵐の前の静けさ 2-(1)
文字数 458文字
「ミーシャ」
呼びかける声が上ずってしまう。
肩に置かれたミハイルの手がなんだか怖くて。
不安が彼の名前を口にしていた。
少し歩く速度も速いし、なんだかあせっているみたいだ。
「ミーシャ」
「あ、ごめん。歩くの早すぎたかな」
「ちょっと」
さすがに足の長さがちがいすぎてきつい。
「あの、わたしなんか変なことしてた?」
ミハイルの表情がどこか硬いような気がする。
ダミアンとの会話中、何かやらかしたのではないか。会話になっていなかったけれど、王族に対して失礼な態度だったとか。
それともひどすぎる英語が問題だったのか。しょぼんと肩を落としていると頭をなでられた。
「そんなことないよ。だいじょうぶ。アヤは何も心配しなくていいよ」
目尻を下げて笑うミハイルに胸の奥がこそばゆくなる。
彼は失敗をとがめる人ではないから、多少目をつむってくれている部分もあるだろう。沈んでいた気持ちがそのひと言で浮上するのだから我ながら現金だと思う。
「お腹も空いたし、部屋に戻ってお昼ご飯にしよう」
「うん」
ミハイルの差し出した手を彩那は握り返した。
呼びかける声が上ずってしまう。
肩に置かれたミハイルの手がなんだか怖くて。
不安が彼の名前を口にしていた。
少し歩く速度も速いし、なんだかあせっているみたいだ。
「ミーシャ」
「あ、ごめん。歩くの早すぎたかな」
「ちょっと」
さすがに足の長さがちがいすぎてきつい。
「あの、わたしなんか変なことしてた?」
ミハイルの表情がどこか硬いような気がする。
ダミアンとの会話中、何かやらかしたのではないか。会話になっていなかったけれど、王族に対して失礼な態度だったとか。
それともひどすぎる英語が問題だったのか。しょぼんと肩を落としていると頭をなでられた。
「そんなことないよ。だいじょうぶ。アヤは何も心配しなくていいよ」
目尻を下げて笑うミハイルに胸の奥がこそばゆくなる。
彼は失敗をとがめる人ではないから、多少目をつむってくれている部分もあるだろう。沈んでいた気持ちがそのひと言で浮上するのだから我ながら現金だと思う。
「お腹も空いたし、部屋に戻ってお昼ご飯にしよう」
「うん」
ミハイルの差し出した手を彩那は握り返した。