書斎会議 1 ~従兄弟①~

文字数 1,121文字

Yo(よっ。). Endlich(やっ) bist() du(来た) da().」

 書斎に入ると、ひょうひょうとしたドイツ語に出迎えられた。「Ich(まち) habe(くた) es() satt(れた) zu(ぜ、) warten(おふ), ihr(たり) zwei(さん).」ソファに足を投げだして寝ころぶ男が、気だるそうに体を起こす。

 白衣を羽織っているが、医師とはほど遠い粗野さが透けて見える。つかつかとハインリヒが男に歩み寄る。

Autsch(いだだ)! Lasst(だだ) mich(だだ) los(っ!)!」

Seien(いい) Sie(加減) still(にしろ。)! Gottfried(ゴットフリート).」

Nennen(ゲッツ) Sie(って) mich() Getz(んで). Du(くれ) und(よ。) ich(オレ) sind() beste(おまえ) Freunde(の仲じゃ), nicht() wahr(かよ)?」

 ハインリヒに羽交い絞めにされながらも、ゴットフリートは茶化す。その様子を尻目にミハイルはソファに座った。

Aufhören(ギブ! ギブ!)! Lass(殺す) los(気かっ!)!」

 締めあげる力が強くなり、ゴットフリートがじたばたした。

Heinz(まあまあ、ハインツ).」

 ミハイルの一声で、ハインリヒはゴットフリートを解放する。

Seine(さすが) Hoheit(殿下) ist() in() der() Tat() sehr() großzügig(らっしゃる。). Das() Kaliber() des() nächsten(首の) Staatsoberhauptes(器ってか).」

 王族を前にしてもゴットフリートはなれなれしい。

Halt() die() Klappe(つつしめ).」

Du(おまえ) bist(こそ) viel(軍に) eleganter(いる頃とは) geworden(ちがって), als(ずい) du(ぶん) es(お上) in() der() Armee(なったじゃ) warst(ないの).」

 ハインリヒの小言にも彼は聞く耳をもたない。いつものことなのだが、護衛官としては不愉快極まりないらしい。

 ゴットフリートは、かつてハインリヒと同期の軍人だった。現在はローゼンシュタイン国家警察の警察官である。「Oh(), verdammt(たく。人に). Warum(こんな) muss(格好) ich(させ) mich() so() anziehen(ってよ)?」うっとうしそうに、ゴットフリートは襟を持ってばさばさと動かした。

Das(よく) steht(似合) Ihnen(っている) gut().」

 黒髪のかつら頭をがしがし搔く彼にミハイルは笑う。「Allerdings(殿下ほど) nicht(じゃ) so() viel() wie() Seine(せん) Hoheit(がね).」とゴットフリートはだてメガネを持ちあげて見せる。

 ステレオタイプすぎる格好だが、だれが見ても医者とわかるし、白衣の印象が強く残るため目くらましにはちょうどいい。ゴットフリートがたたずまいを正す。

Wie() ich() bereits(きも) sagte(言った), geschah(が、殿下) der() Anschlag(高速) hier() zur() gleichen(われた) Zeit(), als() Seine() Hoheit(時刻) auf(に、) der(こっ) Autobahn(ちでも襲撃) angegriffen(が起き) wurde().」

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