花火大会

文字数 854文字

 2014年8月の表紙絵に付けたストーリーです。
 この絵を見て、ぱっと浮かんだストーリーを掲示板に送ったのが始まりで、毎月の恒例となり、この連載に繋がりました。
 5年前に書いたものですと、読み返すと色々手を加えたくなるものですが、これはほぼ書いた時のままです、当時、○子、○男、○美としていた名前に字を充てただけ、500文字弱と短いせいもあるんでしょうが、あまりいじりたくないんです。
 推敲は大事ですが、あまりいじくり回すのも考えものなのかもしれませんね。



 
                花火大会

 四年ぶりの田舎だ。
 中三の時は高校入試の為の夏期講習で、高一、高二の時は部活で忙しく、去年は大学入試でヒーコラ言っていたのだ。
 晴れて大学生となった今年の夏は、前半はばっちりバイトして後半は思い切り遊ぶつもりで居た。
 ところが……。
「今年は里帰りに付き合ってもらうわよ、運転手としてね……何よ、免許取る費用出してあげたの誰だか忘れたとは言わせないわよ」
 母の一言で俺の計画は大分修正しなくてはならなくなった……。
実際は免許の費用を『出して』くれたのではなく『貸して』くれたのだが、そんなことでたてつくと被害は拡大する一方なので止めておいた。


「おう、恵子、よく来たな、今年は運転手付きか? 義男もしばらく見ないうちに立派になったな」
「お久しぶりです、伯父さん……ちょっと渋滞して遅くなっちゃったけど、花火大会、間に合いますかね?」
「おう、まだ充分間に合うとも」
「義男、あんた車で送りなさいね」
「わかってるって……あれ? おじさんの後ろにいるの、浩美ちゃん?」
「そうだよ、今年は義男も一緒だと言ったら急に浴衣を着るとか言い出してな……ほら、浩美、顔を出しなさい……」
 最後に浩美ちゃんと会ったのは、四年前、彼女が小学校五年生の時、その時はまだ全然子供だと思っていたのだが……。
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