秋の声

文字数 440文字

 2011年9月の表紙絵につけたストーリーです、物憂げな女性、でもなんとなく吹っ切れたような印象を持ち、ちょっと散文的なものを書いてみました。





               『秋の声』
 
 今にも彼がひょっこり『ただいま』と帰って来るんじゃないか……。
 一年目はそう思いながら暮らした。

 別離がこんなに辛いのならいっそ出会わなければ良かった……。
 二年目はそう思いながら暮らした。

 そして三年目、ようやく『彼と出会えた、それだけで幸せなことだったんだ』と思えるようになった。

 だから、彼に伝えに行かなくちゃ……『もう俯いて暮らすのはやめるわ』って……。
 
 彼の故郷は秋の訪れが早い。
 顔を上げて、ひんやりとした風を胸いっぱいに吸い込んで……彼の声に耳を澄まそう。
 
 もうすぐお彼岸……今年はきっと笑顔で会いに行くわね、あなたの好きだったおはぎを作って……。
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