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文字数 2,133文字
そうですねー。
ただ傍にいて、悩みを聞いてくれるのが一番嬉しいですね。
でも大切な人だから話せない悩みもあります。
そんな時はパーッと忘れて遊びまくるのもアリでしょう。
一時的な効果なので、ただの友達としてならですけど。
もうちょっと特別な友達アピールをチラつかせたい時はコレ、王様の耳はロバの耳作戦!
そう言ってテーブルに取り出したるは、お一人様用七夕セット。
インテリアとして机の上に飾れそうな、植木鉢に笹が刺さっているミニチュアだ。
その一言で思い出し、思わず唇を隠すイズミ。
早歩きで立ち去ろうとしたサクトだが、突然踵を返す。
夕暮れ、旧校舎の前で笹に飾られた色とりどりの短冊を見上げる生徒会役員達。
日が暮れ、夜の帳が落ち始める。
アパートに帰宅し2階への階段を登っていくココナ。
玄関の前に黒ずくめの人物が座っている。
それだけ告げるとサクトはさっさと退散した。
茫然と見送ってから受け取った包みの中を確認すると、そこには小さな七夕の笹のインテリアが入っていた。
メッセージカードの代わりに短冊が一つ。
『ココナが誕生日を嬉しいと思える日でありますように』
――ぽろぽろ。
あの日から生まれて来たことを後悔し、誕生日を楽しめなくなっていた。
そしてお母さんのように祝おうとしてくれた人をまた悲しませてしまった。
思い出を無駄にしたくない――何かがココナの中で変わり始めた日だった。
ゴトッ。
帰宅後、晩御飯と一緒にもう一つの七夕セットをヒメリの部屋の前にお供えした。
自室のベッドで悶えるサクト。
昨日までの態度はどこへやら。
骨折してない方の足を椅子の上でブラブラさせながら、卵サンドをパクついている。
――我が妹ながらチョロ過ぎだな。
岩戸はあっさり開いた。
ヒメリの部屋のインテリアには二つの短冊が飾られている。
『ヒメリの足と頭が早く良くなりますように』
『おにぃがいつまでも妹を可愛がってくれますように』
Quest:7 星に願いを ――END
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