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文字数 2,009文字
人見知りの激しい妹が賑やかになったリビングを、敵意丸出しの目で階段から伺っている。
恐らく一晩中兄とゲームするつもりだったのだろう。
リビングにはたくさんのゲーム機とソフトが並べられていた。
いつの間にか妹の姿が消えていた。
たぶんまた部屋に引きこもったのだろう。
いつの間にか妹が戻って来ていた。
リビングのテーブルに本を置くと、小慣れた様子で松葉杖をついて2階に戻って行く。
サクトに戦慄が走る。
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『いただきまーす!』
男3人、女3人。
かつてここまで賑わったことのない影浦家のリビングには食卓が追加され、その上にはカレーライスとフルーツサラダ、そしてよく分からないぐちゃぐちゃの卵料理が6人分並んでいた。
「この程度か」と言わんばかりのヒメリの表情。
そう、彼女(?)達は試されていたのだ。
嫌味な小姑かよ。
最初にカレーを口にしたハルの一言。
こいつは普通に美味いと言えんのか。
イエーイと手を合わせるココナとカナセ。
ちなみにサラダも二人で作ったらしい。
こっちのフルーツで彩られたマッシュポテトも中々美味い。
問題はオム……スクランブルエッグだが……。
――失礼はお前だよ!
社交辞令を覚えたかに見えたが、ただストレートに感想を述べただけだった。
慈悲の無い素直さに打ちひしがれるイズミ。
ココナのフォローがもはや痛々しく感じる。
気まずい空気を変えるためにカナセが話題を変えた。
「ちょっとアドバンテージ取ったからっていい気になるなよ。
今度はこっちがゲームでボコボコにハメ殺して絶望の味をご馳走してやる」
そういう顔だ、これは。