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文字数 2,117文字
自分の部屋の天井。
クエストが終われば一時停止していた状態まで遡る。
それは周りの環境だけでなく、プレイヤー達も同じだ。
二人が抱き合って寝ている姿を思い出す。
なんだかんだ言って見た目は二人ともハイレベルだ。
一体何が行われていたのか……思わず性欲が込み上げてくる。
部屋から1階の様子を伺う。
僅かに聞こえてくるTVの音。
まだホラー映画を見ているのだろう。
いつの間にか隣の男の中身が別人に変わっていた、それもある意味ホラーだな……。
まぁ、何も起きないだろ、たぶん。
あいつはまたネタを手に入れたと喜んで隠すタイプだ。
乙森も女になったからと言って特に何かするわけでもないだろう。
部屋に戻ろうとした所で、妹が隣の部屋から覗いている事に気付いた。
――お前もホラーかよ!
ベッドインしてすぐ深い眠りについた。
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そう言い残し、二人とも去っていった。
まさかこれが奇跡の効果なのか!?
こんな運命のねじ曲がり方を体験するとは……。
あのな、ヒメリ。
お前が大人になった事を認めて本当の事を話してやろう。
付き合ってるのはココナと委員長だ。
ついでに言うとハルと乙森も付き合ってる。
そういう漫画見たことあるだろ?
俺はあいつらが二人っきりになれるよう、宿を貸してやっただけだ。
だが秘密の関係だから絶対誰にも言っちゃダメだぞ?
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エンカウントしたわけでもないのに一瞬時間が凍り付いた。
サクトにはそんな風に感じた。
(……これでハッキリしたよね。
サクトはあの事故の事は覚えてた。
忘れたいと願ったのは、姉さんが病院に運ばれてからの彼女との記憶だけだ。
つまりサクトにとって一番辛く許せなかった事は、姉さんを助けられなかった自分に対してではなく……)
Quest:8 秘密の花園 ――END
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