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文字数 2,138文字
ココナパーティーは乙森カナセの加入によってフルメンバーとなった。
彼のスキル『ラブアンドピース』も回数制限付きで、ライフル銃から様々な魔法効果のある弾丸を放てるようだ。
イズミ以外は手数に気を付けなければならないため、より高難易度のクエスト攻略には他の勇者パーティーの協力が必須となってくるかもしれない。
軌道や射程などの性質を把握するため一発ずつ試し撃ちした後、一行はモンスターが居るであろう生徒会室へ向かう。
確かに乙森の言う通りだ。
他にクエスト内容を知るためのヒントは『ブラックオアホワイト』というクエスト名しかない。
しかし七夕を盛り上げたいという願いとどう結びつくのかは全く見当がつかない。
敵が一匹とは限らない以上、これまでのように非武装で歩き回るのは危険だ。
イズミはフルプレートの鎧姿のままでは動けないため、今回は最初からパージしてビキニアーマー姿になっている。
ただスタイルに自信がない彼女にとって、下着姿と変わらない今の状態は公開処刑状態だ。
巨大な盾には車輪がついており、キャリーバッグのように転がして移動出来る。
それを正面にし、裸体を隠すようにして男性陣の後から付いて行っている。
本来はパーティーの盾役である彼女が先頭に立つべきなのだが、お尻を見られないようにココナが最後尾に付き、後方の警戒に当たっている。
杖に仕込まれたスマホカメラで廊下に佇むモンスターを撮影する。
パンダミック LV2 HP 100%
名前の通りパンダみたいな白黒の獣が廊下に寝転がっていた。
敵はまだこちらに気付いていない。
ガラガラ……ドチャーン!
派手な音を響かせながらイズミの盾が階段を滑り降りて壁にぶつかった。
モンスターのヘイトを稼ぐために飛び出すサクト。
いつもならすぐに攻撃に移るところだが、今回の目的はただクリアするだけが目的ではない。
スタン用の魔法を詠唱する。
パンパンパン!
爆竹魔法の光と音が激しく廊下にこだました。
そして態勢を整えた三人がサクトを援護するため戦闘に参加する……が。
二人のサクトが同時にコマンドを詠唱する。
両方の矛先もまた、こちらを向けたままだ。
パイルバンカーで盾を床に固定し防御態勢を取るイズミ。
大爆発が起こり周囲の教室が半壊する。
カメラスキャンすると、二人のサクトは両方ともモンスター名で表示されていた。
片方のサクト――パンダミックが距離を詰めるためダッシュした。
ロケット花火がもう一人のサクトに着弾した。
ブブー!
クイズの不正解音のような効果音が響き、二人のサクトに異変が生じる。
思わず目を背けるイズミ。
一瞬グニャリとパンダミックがとろけ、分裂してサクトが4人となった。