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文字数 2,717文字
4人のサクトがロケット花火を連発する。
発動時間が短い魔法のために、時間差で絶え間ない火線が三人を襲う。
乙森の言う通り、時折まぐれ当たりがあるものの、殆どは弾幕を張ってるだけで命中しない。
イズミの盾の後ろでチャンスを伺う三人。
盾から剣を抜きダッシュするイズミ。
相手はサクトの顔をしているが躊躇うわけにはいかない。
有効打を与えられるのは今、イズミしか居ないのだ。
ピンポーン!
イズミが斬り裂くと同時に正解音がこだました。
心配して駆け寄って来たココナが思わずステッキを落とした。
カラカラと乾いた音がボロボロの廊下に響く。
よくあるラブコメハプニングだが実際はそこまでロマンティックなものではなく、歯と歯がぶつかり合って痛いくらいだった。
お互い口の中を切ったのか、痛そうに唇を押さえながら起き上がった。
まだモンスターを倒し切れていないことに気付いたイズミが、ココナを突き飛ばしコマンドを実行する。
瞬時に盾と剣が変形し全身鎧がイズミに装着される。
水溜まりのような影と化したモンスターがフルプレートの騎士に迫る。
鎧の中に、身体の中に、意識の中にモンスターが侵入してくる。
同時に分裂が始まり、8人の騎士が生成された。
操られている間も意識はあったぜ。
分裂した後は自分が複数居る感じ。気持ち悪かったな。
だからその間に減ったHPもコマンド数もそのまま。
モンスターが化けてるのは一体だけ。
つまり、残りは全てイズミ本人の分身なんだよ。
そして誤って本人の分身を攻撃すれば増殖する。
これがこのモンスターの能力なのだとサクトは説明した。
幸い鎧姿になったイズミは自分で動けない。
何をしてくる様子もなく、ただ突っ立っているだけだ。
ダメージを与えられたとしてもハズレなら更に増える。
そうなればドツボにハマってしまう。
そんな気がするのは気のせいだろうか?
8人のイズミが一斉に全身の鎧をパージし、ほぼ下着同然のビキニアーマー姿になる。
さらにビキニアーマーにも手をかけ……
ココナが巨乳のイズミにタックルし、階段を転げ落ちて行った。
周囲に居たペタンコの分身達がベシャリと液体化して潰れる。
ライフルについたスコープ代わりのスマホカメラでスキャンする乙森。
階下のモンスターはすでに分裂を開始しており、16人のココナがポップした。
魔法を中断するサクト。
乙森は麻痺弾をココナ達に向け連射した。
クエスト:ブラックオアホワイト
タイムリミット:01:23:19
参加プレイヤー:4/5
ココナ LV3 HP 86%
サクト LV3 HP 62%
イズミ LV3 HP 0%
カナセ LV1 HP 95%