5-3
文字数 2,142文字
クエスト:境界線上の暴走者
タイムリミット:00:52:10
参加プレイヤー:8/8
ココナ LV3 HP100%
サクト LV3 HP100%
イズミ LV2 HP100%
モンスターは駅の中まで二人を追ってくることはなかった。
落ち着いたところでアプリから情報収集を始めたサクト。
ココナとはすでに連絡を取り、モンスターとまだ遭遇していないのならその場を動かず隠れていろと指示をした。
ただ集まるために無駄に勇者コマンドを使う必要はない。
仲間に絶対順守の命令を下す勇者コマンドは、いざという時の切り札になる。
一緒に逃げてきた別パーティーのウララが落ち着いた様子で尋ねる。
どうやら彼女にとっては珍しいことではないようだ。
人口密集地を拠点としているため、他の勇者と一緒になる確率は上がる。
それはエンカウント率が高くなることも意味してそうだが……。
琴吹市は激戦区なのかもしれない。
さっきからチラチラとウララの顔を伺っていたことに気付いたようだ。
直視出来ないのは男子高生には刺激的な衣装だからだろう。
可愛いなぁ、とウララは思ったのかもしれない。
もちろんそれもあるが、サクトは別の意味でウララの顔が気になってるのだ。
これでパズルのピースがひとつハマった。
星見先生は格闘技マニアで様々な有段者だ。
ココナのスカウトリストにも登録されていて、彼は武闘家タイプだった。
華奢だが妹である彼女も格闘技をやっていてもおかしくはない。
しなやかで引き締まった肉体から察するに相当強そうだ。
感慨にふけるウララ。
仲間枠が余っているのなら誘おうと考えてるのだろうか。
サクトが勝手に決めたことだが、こういうことは対等で言いたいことを言い合える立場同士の方がいいという考えからだった。
それに先生が加わってしまえば主導権を握られてしまうだろう。
サクトは純粋にこのデスゲームを楽しみたいのだ。
フルパーティーは勇者を含めて4人となっている。
つまり3人パーティーのウララのチームも一枠余ってることになる。
緊張感がなく明るく振舞っていたのはサクトの前だったからかもしれない。
ウララのチームはサクト達よりよっぽど深刻な問題に直面しているようだ。
それは願ってもない、むしろこっちから頼みたいことだった。
いくらゲームが得意な彼にも情報は必要だ。
ネットで検索することも出来ないし繰り返し自由に実験出来るわけでもない。
いつも命をかけたぶっつけ本番なのだ。
ただリアルコミュ力に少々自信がないサクトはどう切り出していいか迷っていたのだった。
なぜかそこにココナと委員長が現れた。
マップの位置情報を頼りに移動してきたようだ。
ココナは魔法少女に変身済みだが、イズミは自分で動けなくなるためまだ変身していない。