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文字数 1,896文字
声を掛けられて見上げると、クラスのイジメグループに囲まれていた。
咄嗟に笑顔を繕うココナ。
おお、こわ。
西条が恨む理由ってウチらと違うの?
そういえば彼氏が居たって噂も聞いたことない。
ブリッ子ココナたんに聞けばいいんじゃね?
おい、お前ら席に着けー。
授業始めるぞ。
周囲を見回すココナ。
なんだかんだで進学校であり、授業中は静かなものだ。
中には内職している者も居るが、真面目に授業を受けている生徒は多い。
よく見ると紙飛行機はハート型にアレンジされており、翼には自分とサクトの名前が書かれていた。
イジメグループの嫌がらせかと思ったが後ろの席には誰も居ない。
ココナの席は最後尾であり、紙飛行機は背中から当たったのだ。
このまま放置するわけにはいかず、疑問に思いながら拾い上げると中にメッセージが書かれていることに気付いた。
『今日の放課後、いつもの屋上で二人の恋を成就させます。――キューピットより』
ますますイタズラの可能性が高い内容だったが、ココナはすぐに意図に気付いてしまった。
匿名のつもりだったのだろうが、彼女は勇者であるがゆえに犯人に心当たりがあった。
『もう一人の勇者と一緒に戦えますように』
委員長に渡された短冊だ。
接触を避けている理由はまだ分からないが、情報収集に来るかもしれないレベル4の勇者に、これを伝言板代わりにしてコンタクトを取れないだろうかというイズミの提案。
返事をしてくれなくても、こちらの意思を伝えることは出来るかもしれない。
言いながら少し離れた死角に罠の設置を始めるサクト。
スマホの録画機能を使って監視カメラ代わりにするのだ。
バッテリーが切れないようにコンセントと充電器を繋げる。
ただデータ容量の問題で、何度かメモリーカードを交換してやらなくてはならない。
もちろんこんなやり方は二人は反対するだろう。
だからこれは自分の仕事だ。
録画状況の最終チェックを行っていると、すでにもう一つ短冊がついていることに気付いた。
録画の解像度が低いため文字までは判別出来ない。
直接短冊を確認しに行く。
『七夕イベントが盛り上がりますように』
匿名だが恐らく生徒会だろう。
すぐ隣に胸元をはだけたイケメン男子生徒が立っていた。
その手にあるのは今設置したはずのサクトのスマホだ。