第16話 魔術師ギルド

文字数 1,302文字

 冒険者ギルドを後にして、アンナに勧められた魔術師ギルドを訪ねることにした。すぐ隣に建っている建物である。しかし、冒険者ギルドと比べるとかなりこじんまりとした建物。一応2階建てという感じで、入り口は重厚な木製の扉だった。

 入り口の右側には小さなカウンターがあり、長身の赤毛の美少女が迎えてくれた。スタイルも良くて誰が見ても可愛いと思うような容姿、胸の名札にはドロシーとあった。

 目が合うと、お互い会釈をしたのだが、それ以前に、お互いの魔力量が否応なしに反応したようだ。彼女はかなりの魔力量の保持者のようで、何かが自分の中で反応している。

 先方も同じように感じたようで、すぐに、別室に通された。ギルド長のバネッサが来るらしい。

 しばらくすると、スリムで小柄な絶世の美女が現れた。後から聞けばいつもはフードを被っているらしいのだが、今は顔出しそのまま。こちらを見定めるためには、自分もフードなしに直視しないとよくわからないらしい。金髪ミディアムでスタイルも抜群、何より顔も整い過ぎていて耳が少し尖っていていかにもエルフの女性らしい。でも初めてみた。

 バネッサはソファーに座ると、こちらを見ながら組立式の魔道具をテーブルに置いた。取っ手がついていて、握れるようになっているが、その元には体重計のような目盛付きの機械が接続されている。昔の肺活量測定器のことを思い出してしまった。息を吹き込むと膨らんで目盛が反対側へ動いていくやつだ。

「では、この取っ手を握りしめて、魔力を込めてくださいね。」 とバネッサ。

 俺は軽く取っ手を握ると、丹田に少し力を入れて、魔力を込める。
 みるみるうちに、目盛りが振り切れてしまった。機械にはいくつかギアがついているようで、10倍、20倍、50倍、100倍のギアを替えるとそれぞれの魔力の単位で測れるらしい。

「もう一度、お願いしますね。」 バネッサは100倍のギアに切り替えた後で言った。

 再度試してみると、それでも目盛りを軽く振り切ってしまった。

「測定不能レベルということですね。」 バネッサはため息をつくと呟いた。

「次は、適性テストです。火、水、風、土、光の5つの適性を調べますので、この白い厚紙に血を一滴垂らしてくださいね。」

 冒険者ギルドでやったように、ナイフで指先を突いて、血を一滴垂らした。すると、白い厚紙に垂れた血痕から、5色の線が五方向に向かって伸び始めた。みるみるうちに、厚紙の端を全ての線が越してしまった。

 ありえないけど、全ての魔法に適性があるようですね。それもそれぞれが強烈なレベルで。」 バネッサは再びため息とともに呟いた。

 適性については2適性はめずらしく、3適性になると都市に一人のレベル。4適性では国に数人の宮廷魔術師、全適性はほぼ前例がない(超絶レベルらしい)。

 ランクについては規定があるのでBでスタート、でも依頼はAランクのものを受けて構わないのでとのことだった。バッジは水晶で出来ていた。バネッサは、ステータスを少しだけど参照できるという羊皮紙もくれた。完全ではないけれど、自分の魔力に満ちている時には、魔法やスキルの一部が浮かび上がるらしい。



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