第2話 初めての戦い

文字数 1,318文字

 気がつくと俺は荒野に立っていた。
転生により身長が縮んでしまったのか以前より視線の位置が低く、自分の手足も小さいようだ。服も中世のようなチュニックとズボンを着ている。

 そこにいきなり大きなエミューからの攻撃がきたのだ。子供の頃から習っていた体術で反射的に嘴を躱した。柔術系の達人であった祖父から仕込まれた体術は思わぬところで役にたったようだ。俺の体を狙い、エミューの嘴アタックが続くが、祖父から厳しく体捌きを習っていたので余裕を持って躱すことができている。また、全然息も切れないし。最後に声が言っていた体力数倍とはこのことかな。
 
 『



 脳裏に機械音のような声が響いた。どうやらエミューの攻撃を瞬時に読み切り、間合いを掴むことができる能力(スキル)らしい。

 続いての機械音の声、

 『



 気がつくと手元には80cmほどの片手剣が現れた。手に取るとプラスチックの刀のように軽く、振るとシュンと音を発するが、刃先は金属のようだ。

 しつこく襲ってくるエミューの鋭いくちばしと長い爪が見える。しかし元々の体術に加え、俊敏の能力を得た俺の敵では無かった。エミューの首が飛んだ。凄い切れ味、でも鋭すぎてバターをナイフで切ったようで手応えはあまり無かった。


 
  エミューから青い光の塊が出てくると、俺の胸に当たりスッと消えた。
 お腹の底で少し熱い感触があった。倒れているエミューに触れるとまた、機械音の声がした。

 Y/N



 Yを選ぶと、シュルシュルと巨大なエミューの体が霧のように消えてどうやらマジックボックス内に収納されたようだ。詳細はよくわからないが視野の片隅に収納ーエミュー・ラプトル(1)の文字が浮かんでいる。しかし他のステータスについては、よくわからない。すべてがゲームの世界のようにはいかないようだ。
  
  収納の他に浮かんでいる文字は、鑑定(初)、異文化言語(読み書き)、じいさんの言ってた3点セットだろうか。それと先ほど取得した俊敏、切断(武具) あと100ポイントだけ。今のところ見ることができるのは、これらだけのようだ。
 収納について気になったので試しに足元の石に触れてみた。

 機械音の声で、

 「

 Y/N

」と聞いてきた。

  Yと言うと、シュルシュルと石が霧のように消えてマジックボックス内に収納されたようだ。視野の片隅に収納 ー 石(1)の文字が浮かんでいる。また、 リュックに入れていたキャンプ道具や調味料なども収納されているようだ。これは便利かもしれないと少し嬉しくなった。
  
  視野の片隅に浮かぶ文字はタッチパネルのようになっている。でも鑑定(初)と異文化言語(読み書き)は触っても反応しない。もしかしてパッシブな状態を示しているのかもしれない。近くの森を見ると、視野の片隅に”

”との説明 が浮かんできた。

 もう夕暮れになってきたので荒野から歩いて近くの森に入った。鬱蒼とした樹々が茂り、早く寝場所を見つけないと厄介なことになる気がした。


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