第29話 戦いすんで

文字数 670文字

 その夜は、村長宅での祝勝会となった。なんといっても脅威であったゴブリンの集落は討伐完了、またそれよりも大きな災厄であったオーガの特殊体までも駆逐したのだ。村長と自衛団、村人の主なメンバーとドロシーの両親、それぞれご馳走を持ち寄って、ワインとで大騒ぎとなった。

 肴は、当然、魔大なまずの蒲焼である。切望したゴブリンたちの口には残念ながら入らなかったが、地元では美味で有名なのである。俺も収納からエミューのもも肉を取り出して供出する。こちらは塩焼きでも絶品なのだ。

 俺は、子供体型だが中身は35歳のおっさんである。少しだけと飲んでいるうちに、皆からのお酌の嵐で最後にはへべれけになってしまった。

 気がつくと、ドロシーの膝枕で横たわっていた。自分の村を救ってくれた俺に、感謝の意を示したかったのか、妙に献身的であった。しばらくすると、今度はバネッサが水を持って来て飲ませてくれた。本来誇り高いエルフはそんなことはしない筈なのであるが・・・。

 俺は、どうやらパーティー内での信頼を少しは得られたようだ。

 ドロシーの両親がヤケに酒を勧めてきた。次はいつ来るのかとか、どこに住んでいるのかとか、故郷はどこで家族はとか、かなり突っ込んでくる。隣でドロシーが少し頬を染めて頷いている。なんなんだ、この状況は。まだ俺は子供なんだぞ、この世界では・・・

 翌朝、三人揃って、二日酔いで頭の痛みを抑えながら、(回復魔法はないのかと俺が聞いても二人からは無視された)見送りに出てきた村長とドロシーの両親に別れの挨拶をして俺たちは馬車でブライトンへと戻ったのだった。



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