第23話 再び冒険者ギルドへ

文字数 1,066文字

 どこの世界でもいつの世でも、先立つものは金である。騎士爵からのお礼金と魔物の換金でにわかには少しリッチになった気がするが、それでも固定収入を得る必要があると考えて、再び冒険者ギルドを尋ねることにした。常設のボードで依頼を受けるのが、冒険者の常道である。

 リスクの少ない薬草取りやペット探しなどの低いクラスの依頼からはじめるのがセオリーらしいが、俺はFランク、しかも先日のジェームスとの体術テストでDランクの依頼を受けることを認められたのだ。これを利用しない手はない。

 受付嬢のアンナは、相変わらずおっとりした美少女振りだが、とても仕事熱心でDランクの依頼を提示したボードまで連れていってくれた。

 ◯暴れ魔牛(ミノタウルス)の征伐(ただし、遠隔地300キロメトル)

 ◯サンドワーム(体長20メトル)の征伐(ただし、南の砂漠(200キロメトル)

 ◯ゴブリン族の集落の征伐(近隣地、ただし、ホブゴブリン、ゴブリンメイジなど含む)


 遠隔地はない、移動手段がないのだ。馬もだめ、馬車もないし、選択肢は当然ゴブリンである。俺は、その依頼票を剥がすとアンナに提出した。近隣地、郊外の村の近くで最近ゴブリンが異常発生しているらしい。

 依頼を受けた後ではあるが、さすがに、一人で集落を征伐できるのかと考えた。一人では、体力や魔力が尽きて詰んでしまうのではないか?

 そうだ。舐めてはいけない。ここは現実的なリスクを把握して対策を練る必要があるのだ。仲間が必要だ。前の世界のソースによると、こういう時はだいたい奴隷を買ってパーティーを組むパターンが多い気がする。後ろを託す奴は絶対に裏切らない奴隷(なぜか女性)が最適というのが異世界ものでのスタンダードであるようだ。でも、これから奴隷を探して奴隷商へ行き、お金を貯めてオークションなどで買取ったりする時間はないのだ。冷静に考えても、数週間以上は掛かるのである。俺は、数少ない知り合いを検討することにした。

 A. 騎士爵の娘、エレイン。
 メリット:頼みやすい、きれい。
 デメリット:俺より弱い。

 B.ギルドの指導員、ジェームス。
 メリット:物理的に強い。
 デメリット:ちょっと、いや、かなりうざい男。

 C. 魔術師ギルド、バネッサ。
 メリット:実力は別格の魔法の達人、美人エルフ。
 デメリット:特に無し。

 文句なしに、バネッサである。問題は受けてくれるかどうか。でも確か俺には特例でAランクの依頼も受けて良いと言ってくれたのもバネッサである。
 ここは、Go for broke(当たって砕けろ)だろう。


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