第3話 森の寝場所

文字数 793文字

 森に足を踏み入れると、まるでジャングルだった。足元は草ぼうぼう、周りは樹の枝葉が茂ってとっても歩き辛い。でも我慢してしばらく進むと、巨木が生えており、根元から数メートル上に大きな洞があいていた。飛び上がってみると驚いたことに体が軽くて一足飛びに洞までジャンプできる。さすが異世界。
 
 隠れるのに丁度良い、今夜はここで休むことにする。洞の中は乾燥していて枯葉を敷き詰めて寝袋を置くとふかふかのベッドのようになった。

  とりあえず、寝る場所は確保した。お腹も減ってきた。そういえば収納したエミューラプトルも一応鶏肉だろう。解体するのは大変なので、もも肉の肉塊を少し切り出した。
  
  収納からキャンプ用のダッチオーブンを取り出す。ダッチオーブンは厚手の鉄鍋。蓋も鉄で厚いので、煮込みやシチューにはぴったり。アメリカ西部のカウボーイが馬のお尻につけている奴だ。洞の外に出て、巨木の脇の地面の上で組み立て式のステンレス製焚き火台に火を起こす。ダッチオーブンの4本足を載せる。着火には枯葉、固形燃料は勿体無いので使わずに、枯れ木を集めて燃やす。枯れ木が白い熾火(おきび)になるまでしばらく待つ。

【鶏肉シチュー】
ダッチオーブンの温度が高まると、エミューのもも肉を塩胡椒して表面に焼き色をつけた。しっかりと焼き色をつけると煮込んだ時に旨味が逃げない。

 ミネラルウオーターを鍋半分、乾燥野菜(人参と玉ねぎ)を少々加え、ローリエ(月桂樹)1枚を入れて塩胡椒を加え煮込む。1時間するとグツグツと煮えて良い匂いがしてきた。

 エミューのもも肉シチューを食べると、塩胡椒味であるがしみじみと幸せな気分になった。残りはオーブンごと収納する。外はもう真っ暗になった。木の洞に戻り、LEDランタンを灯すと意外と広い。

  疲れていたので、寝床に横になるとすぐに眠くなった。明日はどうなることやらと呟くとそのまま寝入ってしまった。



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