第40話 再び騎士爵屋敷に
文字数 1,403文字
冒険者ギルド経由でワイバーンの剥製を譲渡した地元領主エドモント辺境伯から、ついに呼び出しがかかってしまった。
表向きの理由はワイバーン討伐の顕彰と代金の支払いの様だが、家臣や騎士に取り込もうとする意図が透けて見えるようだ。宮仕えは前世で十二分 だし、じいさんのミッションとかを果たさないと前の世界には永遠に帰れなくなってしまう。それまではなんとか冒険者と魔術師としての独立性、いや根無草のスタンスを固守しなくてはいけないのだ。
俺はなんとか策を練ることにして、女騎士エレインの父親、リビングストン騎士爵の館を訪ねた。騎士爵は身分としては、辺境伯の配下であるものの、フランクに話せば一緒の立場で考えてくれそうな気がしたのだ。それにエレインにも久しぶりに会いたいし。
噴水の前をピリカを肩に乗せ、子犬のブランカを連れて歩いていく(透明イルカのフィンは水の中を気持ち良さそうに泳いでいる。指輪もハメているし、おまえのことも忘れてはいないぞ、ジミー)騎士爵屋敷が見えてきた。ついこの前のことなのに懐かしい気もする。門衛の若い兵士にリビングストン騎士爵との面会を請うと直ぐに通された。先日エレインを助けたことをまだ覚えてくれているらしい。
応接間に通され、最初にエレインと妹の金髪美少女リサがお茶とともに現れた。2人とも明らかに歓迎ムードである。特にエレインはあれ以降会っていなかったので、お礼も満足に出来ずに気が気でなかったようなことを述べた。
「もう過ぎたことだし、あまり気にしないでくれ。」と俺。
「そうはいきません。命の恩人なのですから、しかるべきお礼はさせていただきます。リサからもお願いしてください。」とエレイン。
リサも当然という口調で、
「お姉様を助けて頂いた恩人なのですから・・・」
と言いかけて、俺の隣のブランカ(子犬)とピリカに気がついたようだ。
「まあ、可愛い〜!ワンチャンとインコちゃんなのですね。よく慣れていること」と叫ぶ。インコでなくてオウムなのだが。
それから二人はすっかりブランカとピリカに夢中になっている。なんなのだ、これは。
ドアのノックの音がして、ダニエル・リビングストン騎士爵が入ってきた。相変わらずの金髪美男の偉丈夫振りである。そうだ、この人は領主には忠実だったな。どうしようかな。俺は挨拶もそこそこに、切り出した。
「実は・・・・」ダニエルは直ぐには俺の気持ちが理解できなかったようだが、
先日のお礼の件も頭にあったらしく真剣に聞いてくれて、最後には俺の本意を判ってくれたようだ。要するに、辺境伯にお会いして代金を受け取るのは良いのだが、それ以外は必要ないのだ。
「ワイバーン討伐は領主である辺境伯の責務の一環として、うやむやにはできんでしょうな。それよりそこは受けることにして、受け方を考えてはいかがかな。」
具体的に顕彰としては騎士やお抱え魔術師へのとりたてが考えられるが、そこはありがたくも辞退、代わりに領主の城下のこの街に住処を拝受したいと(地元の冒険者・魔術師としてのある程度の定着と貢献の印として)願い出るとのアイデアだった。
さすがは長年領主の下で宮仕えをしてきただけはあるな。ダニエル、グッドポイントだと俺は感心したのだ。これでいこう。
二匹と遊んでいたエレインとリサからは、近い内に必ず食事会に参加することを約束させられてしまった。まあいいか、二人とも可愛いし。
表向きの理由はワイバーン討伐の顕彰と代金の支払いの様だが、家臣や騎士に取り込もうとする意図が透けて見えるようだ。宮仕えは前世で
俺はなんとか策を練ることにして、女騎士エレインの父親、リビングストン騎士爵の館を訪ねた。騎士爵は身分としては、辺境伯の配下であるものの、フランクに話せば一緒の立場で考えてくれそうな気がしたのだ。それにエレインにも久しぶりに会いたいし。
噴水の前をピリカを肩に乗せ、子犬のブランカを連れて歩いていく(透明イルカのフィンは水の中を気持ち良さそうに泳いでいる。指輪もハメているし、おまえのことも忘れてはいないぞ、ジミー)騎士爵屋敷が見えてきた。ついこの前のことなのに懐かしい気もする。門衛の若い兵士にリビングストン騎士爵との面会を請うと直ぐに通された。先日エレインを助けたことをまだ覚えてくれているらしい。
応接間に通され、最初にエレインと妹の金髪美少女リサがお茶とともに現れた。2人とも明らかに歓迎ムードである。特にエレインはあれ以降会っていなかったので、お礼も満足に出来ずに気が気でなかったようなことを述べた。
「もう過ぎたことだし、あまり気にしないでくれ。」と俺。
「そうはいきません。命の恩人なのですから、しかるべきお礼はさせていただきます。リサからもお願いしてください。」とエレイン。
リサも当然という口調で、
「お姉様を助けて頂いた恩人なのですから・・・」
と言いかけて、俺の隣のブランカ(子犬)とピリカに気がついたようだ。
「まあ、可愛い〜!ワンチャンとインコちゃんなのですね。よく慣れていること」と叫ぶ。インコでなくてオウムなのだが。
それから二人はすっかりブランカとピリカに夢中になっている。なんなのだ、これは。
ドアのノックの音がして、ダニエル・リビングストン騎士爵が入ってきた。相変わらずの金髪美男の偉丈夫振りである。そうだ、この人は領主には忠実だったな。どうしようかな。俺は挨拶もそこそこに、切り出した。
「実は・・・・」ダニエルは直ぐには俺の気持ちが理解できなかったようだが、
先日のお礼の件も頭にあったらしく真剣に聞いてくれて、最後には俺の本意を判ってくれたようだ。要するに、辺境伯にお会いして代金を受け取るのは良いのだが、それ以外は必要ないのだ。
「ワイバーン討伐は領主である辺境伯の責務の一環として、うやむやにはできんでしょうな。それよりそこは受けることにして、受け方を考えてはいかがかな。」
具体的に顕彰としては騎士やお抱え魔術師へのとりたてが考えられるが、そこはありがたくも辞退、代わりに領主の城下のこの街に住処を拝受したいと(地元の冒険者・魔術師としてのある程度の定着と貢献の印として)願い出るとのアイデアだった。
さすがは長年領主の下で宮仕えをしてきただけはあるな。ダニエル、グッドポイントだと俺は感心したのだ。これでいこう。
二匹と遊んでいたエレインとリサからは、近い内に必ず食事会に参加することを約束させられてしまった。まあいいか、二人とも可愛いし。
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