第5話 再び戦う前に(本の小部屋)

文字数 1,242文字

 朝食に昨晩の残りのシチューを食べていると、外はすっかり明るくなり鳥の鳴き声と動物の唸り声が遠くから聞こえてくる。

 外に出る前に、武道具を確認する。収納から”切断”の片手剣を取り出す。軽いが刃先は鋭く光っている。とりあえずこの剣が頼りだ。洞から地面に飛び降りると、ジャングルの中の散策を始めた。

 歩きながら、周りに”鑑定”を使って見ると、”

”とか、”

”とか色々なものが把握できる。でもほとんどが食べられないもののようだ。

 しばらくすると、小さく開けた場所にでた。真ん中に石造りの井戸のような穴があり、無理すれば降りられるようだ。覗き込むとそんなに深い穴ではない感じだ。念のためフック付きロープを垂らして降りてみる。すぐに底についた。

 横穴が空いているので暗い中、懐中電灯を照らして進んでいく。通路の壁はつるつるしていて不思議な材質でできているようだ。偶然、壁の色が変わっているところに気がついた。手探りで触って”鑑定”を使うと”

”のようだ。

 数分間触り続けて調べていると、壁の低い位置に”

”という箇所が見つかった。強く押すと、ゴゴッと音がして小さな扉が横に開いた。ようやく体が入るような隙間が空いている。くぐって中に入った。

 小部屋であった。空気が少し乾燥していて埃っぽい匂いがする。灯を照らすと造り付けの本棚と机があった。かなり古いもので、遺跡といってもよいくらいだ。

 本棚には大きく分厚い革表紙の本が数十冊並んでいた。図書館に飾ってある昔の聖書のような立派な装幀。机に数冊を重ねて、一冊開くと、凄い勢いで頁がパラパラとめくれた。

 異世界言語と鑑定が稼働したらしく、”

とのことであった。

 最後まで読み通すのに、速読でも10分、でもPCのダウンロードより早いペースで知識と呪文のような言葉が頭に入ってくる。一冊読むと少し頭がずきずきしたが、不思議と心の底に”続けるべき”との重々しい言葉が響き、次の本、また次の本と読み続けた。

 ”古代神聖魔法読本(応用魔法編ー聖(精神・治癒)・身体ー)”

 ”古代神聖魔法読本(上級魔法編ー上級4大・上級聖)”

 ”古代神聖魔法読本(神級魔法編ー精霊・空間・大規模)”

 さすがに4冊読み終わるとギブアップとなった。もう何も頭に入らないようだ。何が起こったのか俺にはわからないが、この世界に来てとても大切なことを身につけることができたような気がした。他にも錬金術大全、付与魔法大全、使役魔法大全、宝物地図や魔獣図鑑、草木図鑑、海獣図鑑などの本があった。読み切れないのでそれら全てを収納に。

 先ほどの4冊の魔法本を本棚に戻すと、不思議なことに小部屋から押し出されて元の通路に戻っていた。大昔の図書館のようなものだったのだろうか。よくわからない。通路をさらに奥に進んだ。





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